ソードアート・オンライン11 アリシゼーション・ターニング

内容(「BOOK」データベースより)
キリトが謎のファンタジー世界に入り込み、二年が過ぎた。“北セントリア帝立修剣学院”の“上級修剣士”となったキリトと親友ユージオの二人は、人界最強の秩序執行者“整合騎士”目指し、修行の日々を過ごしていた。“上級修剣士”の二人には、身の周りの世話役があてがわれる。キリトにはロニエ、ユージオにはティーゼ。四人は互いに絆を結び、充実した修士生活を過ごしていた―その時。突然、“悪意”はやってきた。ロニエとティーゼが、下劣な貴族達の罠に嵌められる。それを知ったユージオは彼らに対して剣を抜こうとするも、教会への信仰心で身体が動かない。その時、ユージオの右目を凄まじい激痛が貫き、奇妙なしるしが浮かび上がる。それは、ユージオには読めない神聖文字の羅列だった。―「SYSTEM ALERT」。


 あとがきによるとこの巻のサブタイトルはターニングポイントの意味ということ、分量的にはどうかわからないということだが、半分のイベントが終わったということなのかな、残りの半分に果たしてどれくらいの巻が費やされるのかはわからないが。
 キリト、「正しくない法は法じゃない」という言葉を持ち出して、ウンベールの法の抜け穴を使った道徳的に間違っている行為を非難しているが、法とは関係のない行為にその言葉を持ち出すのは、微妙にずれている感じがしなくもないんだが。
 『人間とは、もともと、善と悪の両方を持つ存在だからだ。/禁忌目録は、人間の悪のほんの一部を押さえ込んでいるに過ぎない。だからライオスとウンベールは、法の粗い網目を軽々とすり抜け、いや、ある意味では法に則って、罪なき少女たちを汚すことができる。』(P127)禁忌目録で大まかな悪事は妨げられるから、法にはすべての悪を防ぐ力があるという信仰を持っているのかねえ?そして不備が見つかっても目録は強制的に防ぐものだから、解釈でどうにか現在の目録のままで正しいと強弁できないし、一旦こうしてすり抜けた不道徳な行為を目の当たりにしたらユージオのように違反行為に出るまで抗いきれるかはともかく、目録は不完全なものだという認識を持たざるをえないよね。
 170ページになってようやく現実世界サイドの話が出てきたが、そちらの世界の話もあることをすっかり視野の外だったから、転章でそちらの話に移ってちょっとビクッとした。そして、『ゲーム初期は、すぐそばを黒衣のソロプレイヤーが歩いていたのだ。』(P171)プログレッシブの設定を反映させてきたかwww、しかし、そうするとどちらが正史となるのだか、まあ、両方の設定が重なっているというのでも別にいいけどさ。
 アリスとユージオ、ようやく邂逅して、とりあえず目標にかなり近づいたといえることもできるが、
 キリト、痛みへの耐性が自分の弱点だと意識しているが克服できずにいる。まあ、仕方ないけど、ヒーローといってもやっぱり時代に縛られるのね。キリトの時代よりもこの世界の剣士たちのほうがずっと高いだろうから。たぶん現実世界においては、キリトのそうした部分はそう気にする程度の弱点(普通の人と比べて痛みに弱いわけ)ではないと思うので、この世界においては(あるいは現実世界で格闘技をするのには)弱点となるということかな。
 『仮想文明シミュレートですらなくなっているのではないだろうか』(P299)といっているが、文明が作られる過程の研究とか、未来のシミュレートとかでも、かなり有用そうじゃない、中の人たちの生命・人生を自らの研究のために弄んでいいのかというような倫理的な面が非常に問題になるだろうが(まあ、それは今更か(笑))。