明治・大正・昭和史話のたね100

明治・大正・昭和史話のたね100 (文春新書)

明治・大正・昭和史話のたね100 (文春新書)

内容(「BOOK」データベースより)
大酒家だった明治天皇はどんな酒を好んだのか。伊藤博文はどのくらい英語が堪能だったのか。原敬はなぜ爵位を拒んだのか。性病をうつさないでくれと頼まれた新郎は誰か。巣鴨プリズンの中でトランプに熱中していた戦犯は。昭和天皇が使っていた象の脚のくず篭の仲間は。マッカーサーは本当にマザコンだったのか。吉田茂はどうして湯豆腐が好物だったか。香淳皇后の父は暗殺されたのか。柳田国男が「十六代将軍」を馬鹿にした理由は…こんな話が100以上。

 ああ、こうした歴史読み物って恐ろしく読みやすくていいなあ。あまりにも読みやすくて、途中で何回も読み飛ばしてないよなと不安になって、前のページをパラパラと見て確認したほど。こういう軽く読める歴史読み物をもっと読みたいなあ、ただ、そういうようなタイトルの本は、良し悪しの判断基準が僕の中にないから、本当に読みやすいものかが中々わかりづらいのがな、もし、歴史を変なフィルターつけて(現代的価値観から色づけして)あつかったり(あるいは妄想のような見解、奇説・珍説が主だったり)、扱っているもののほとんどが教科書レベルを水増しした薄い内容で中途半端に読みにくかったりしたら目も当てられないし。いやあ、あまりそういうのを読んでいないから、それらは、偏見に過ぎないのかもしれないけど。まあ、それにそういうのって発売したあとすぐ埋没しちゃうから、amazonとかで探してみるにしてもどうやって探していいのかわからない、というのもあって今まであまり読んでいなかった。
 戦後の話で「一万田尚登」という人名が登場して、苗字のルビに、「いちまだ」と書いてあり、そう読むのかとはじめて知った、今までは「いちまんでん」と読んでいたよ。というか、別のところで同じ苗字の人を見たのだがどこだったかな、と思ってwikiで人名を調べてみて解ったが、戦国時代の大友家の家臣にそんな人がいたのを見て、ああ「大友の姫巫女」で見たのか、とようやく思い出した。
 大倉喜八郎の一中節を聞かないために、福沢が名人と呼ばれる人(林中)が余興で長唄をしたあと、ことさら褒め称えて(『もはやこれ以上望むものはない。この上ほかのものを聴いては、せっかくの林中の味を損なってしまう』)、大倉が出てこないようにしたというのは、文中にもあるが『まるで落語の「寝床」』(P35)のようなエピソードで面白かった。
 土方与志、父が若くして自殺。それで祖父から莫大な資産と伯爵位を受け継ぎ、それを新劇運動に湯水の如く使い、伯爵位ソ連で過激な演説をしたため、返上することになった、こうした若い放蕩者が一代で受け継いだものを使い切る、というのが日本にもこういう人いたのか、となんか不思議とちょっと嬉しいような。まあ、江戸時代の若旦那あたりでもいそうな気がするが、江戸時代だと放蕩もこじんまりしている感があってあまり興味湧かないんだが、明治以後のそうした放蕩者はなんか好きかも、といっても西欧とかで放蕩していた連中には、そんなとこで金を落とすなら(当時まだ脆弱な経済力しかない)日本で、という気持ちが先に来てしまうから、そうした一面の気持ちよさを感じるような印象はないけど。
 『明治二十九年の慶応義塾の運動会には一万五千人が押しかけたという。』(P50)娯楽が少ないからって集まりすぎだろw、そんなスポーツで見せられるような人が集まっているような学校でもないのに。
 『政治家同士がやりとりした手紙など、そこから貴重な歴史の事実が浮かんでくることも希ではないが、電話やEメールで連絡されては証拠も残らない。歴史研究なども形が変わってくるのであろう。』(P63)あー、そういわれれば確かに、現代政治を後に見ると重要なやり取りがメールだったら困るだろうねえ、後世の人。
 裕仁親王昭和天皇)は、『皇室において実に百四十年ぶりの嫡出の皇太子であった。』(P78)一世紀半近くも皇后との間に男子ができて(あるいは成人して)いなかったのか!そこに吃驚だ。
 広島の第五師団の漢字一文字の通称は「鯉」、野球のチームも鯉だし、広島と鯉ってなにかあるのかな?と思ってググって見たら、広島城に「鯉城」という別称があるのがそうした鯉であらわされる由来のようだな。
 上原勇作のことを、晩年になっても知識欲が衰えなかった人として述べられ、『このような元老がいなくなったのと、軍部に無謀な雰囲気が醸成されてくるのとは決して無関係ではなかったのであろう。』(P132)と書かれているが、正直上原勇作の名前は、帷幄上奏ぐらいでしか知らないからイメージがすごく悪いんだがw。
 『仲のいい嫁と姑などというのはテレビのホームドラマにしかいない。』(P159)と皇室のそうした問題についての話でいっているが、なんだその断言はw執筆者が誰かわからんが、妙に実体験が感じられるような言葉だなw。