ラブコメ今昔

ラブコメ今昔 (角川文庫)

ラブコメ今昔 (角川文庫)

内容(「BOOK」データベースより)
自衛隊員の皆さんに恋愛や結婚の経験談を語ってもらいたいんです」。二等陸佐・今村和久の前に現れたのは、隊内紙の記者の元気娘・矢部千尋二等陸尉。訊けば、夫婦の馴れ初めを、コラムに掲載したいというのだが!?「みっともない」と逃げる今村、ねばる千尋。一歩もひかない攻防戦の顛末は―!?様々な思いが交錯する、自衛隊員の結婚を綴った表題作を含む、十人十色の恋模様6編を収録した、国を守る男女の本気印恋愛百景

 有川さんの短編集。恋愛小説苦手なのだけど、ハッピーエンドで終わるという安心感があるから、有川さんのは普通に楽しんで読めるわ。発売したときは、チェックし忘れたかなんだったかしらないが、購入してなかったが、しばらくしてから棚一面に有川作品が並べられているのをみていると、文庫で読んでいなかったこの本があったのでそれでようやく購入。
 今村、隊内結婚について、もし「非常事態で夫婦共に死んだら」といった最悪の想定についてまで考えて隊内結婚する人は少ない、そういう想定(覚悟)を持ってなければいけない職場だということを、ここで指摘され、なるほどと納得。また、『有事を架空の想定にするのはやめなさい』(P52)という言葉にも、自衛隊というのは、単に訓練とか災害救助とか海外派遣で活動(まあ、コレも危険だけどさ)をするためだけの機関じゃない、特殊な職場ということを改めて感じさせられるなあ。表題作の「ラブコメ今昔」のラストの、吉敷のクールな対応格好いいなあ、と思っていたら、最後の短編の「ダンディ・ライオン」で出会いの頃が描かれて、急に来たから吃驚して力加減を間違えた突っ放し方をしてしまって後悔している内心を見ると、クールっぽいが意外と予想外の事態には弱いのね(笑)。
 「軍事とオタクと彼」ラストの写真のくだりは、軽く感動で泣ける、最初の「ラブコメ今昔」といいこの短編といい、後味が良く、ラストを読み返したくなるものなので、いいなあ。
 「広報官、走る!」テレビマンのルーズで高慢なところが良く出ている、つってもイメージだけど。それともアレ位、人の気持ちに無頓着じゃなければ、勤まらないのか?(役者やらがやたらとルーズなようだし、精神的な意味で)