紳堂助教授の帝都怪異考

紳堂助教授の帝都怪異考 (メディアワークス文庫)

紳堂助教授の帝都怪異考 (メディアワークス文庫)


内容(「BOOK」データベースより)
時は大正。伝統とモダンが共存する帝都東京。その街を闊歩する青年が一人。若くして帝国大の助教授の肩書を持つ美青年は、博学多才にして超自然的なことにも通じているとか。警察の手に余る事件が彼のもとに持ち込まれることもあるという。そして、彼の傍らにいるのは助手の美少年。その賢さとまっすぐな心を青年はこよなく愛し、常にそばにおいている。これは帝都の巷で起こる不可思議な事件を、助手の少年が記録したものである。


 大正ロマンの時代の話ということで、読んだ、この作者さんの本はこれがはじめて。著者名は、日本人なのに外国人名のペンネームをつけているのは良くも悪くもインパクトがあるから、電撃かメディアワークス文庫の作家でそんな人がいたなということは覚えていたが。
 「香坂邸青年焼殺事件」ミステリー的な雰囲気のファンタジー作品。この最初の短編では、ちょっとまだ世界観になれていないのもあってかちょっと読みにくいかなという気もしたけど、助手のアキヲが女学生だと明かされ、紳堂のことを好きだという感情も出されるようになったから、一気に読みやすく、面白くなった。いやあ、男装少女は素敵ですね!しかし、彼の口の上手さなら犯人が死なずにすんだんじゃないかとか、事前に壺をすり替えておくとか他に違う結末があったんじゃないかとか思わないでもないけど、魔道によるものだから他で罰せられないとか、一度魔道に魅入られた人だからここで一旦刑務所に入れても出た後余計に厄介になりそうだから、紳堂はこういう結末にしたのかな。
 「秘薬の効き目」紳堂、意外とズボラで自宅が散らかっているため、アキヲが掃除に来ているが、アキヲは仕方ないなあといいつつも、頬をほころばせて喜んでいる様が目に浮かび微笑ましい。この短編の最後に紳堂がアキヲを少なからず女性として意識していることが判明したが、これにはアキヲおめでとう!といえばいいのか、紳堂にこのロリコンめ!といえばいいのか非常に迷うわあ(笑)。
 「沙世」人形師であるという設定が出てきたときから、ピュグマリオン的な想像しかつかない(笑)が、結局そうだったか。しかし、玄庵までがそうだとは全く予想外だったよ!