私とあなたの青春革命

私とあなたの青春革命。 (電撃文庫)

私とあなたの青春革命。 (電撃文庫)

内容(「BOOK」データベースより)
天道優馬がこの春から入学した白桜台学園は、多くの現役人気アイドルたちを輩出した『アイドル学科』が存在する特殊な学校。当然ながらアイドルたちを守るために校則は厳格で、生徒会や風紀の取り締まりもとても厳しい…。しかし、その圧政にただ一人立ち向かう少女がいた!謎の合言葉“青春革命”を掲げ、その神出鬼没さで体制側を翻弄し、抗い続ける彼女は―はたして何者!?そしてどういうわけか彼女に見初められ、声をかけられてしまった優馬の平穏な学園生活はいったいどうなってしまうのか!?「私と青春革命、はじめましょう?」―彼女の誘いから、日常が変わる!嵐を呼ぶ学園青春ラブコメディ。

 「アイドライジング」の続きまだかな、中々新刊が出ないなと思って、ひょっとしてもう「アイドライジング」は打ち切りなのか、と心配したが、この1巻のあとがきでは「好評続刊中」とあるので、まだ希望はあるか、しかし「アイドライジング」の方が断然好きだし面白く思っているので、こちらを書くために「アイドライジング」を終結させるようなことはないことを期待したいなあ、だから自分でも酷いとは思うのだが、率直に言うとこちらのシリーズは「アイドライジング」より売れて欲しくないなあ。
 「下ネタという概念が存在しない退屈な世界」と似たような、圧倒的な組織に対抗するレジスタンスという構造だが、こういうの流行っているの?同じ敵や目標を見据えて行動することで、密接な関係になるのが比較的説得力があるからか(素人の浅知恵的な推測だが)。
 稲葉がした、彼女が相手から貰った手紙の1通をなくしたという相談に、麒麟堂先輩は『確かに……アイドル科の書いたラブレターなんていう物品を生徒会が発見したら』(P119)といっているが、稲葉の相手もアイドルの人なのかな?アイドル科に男がいるのかしらないけどさ、でも、先輩が主催者の一人だということがわかってからは、ひょっとしたら稲葉の相手も知っていてそれがアイドルだということも知っているんじゃないかとも思えてくる。それとも、ただ単に編集で文章を削除したり、直しているうちに文章が変になってしまったのかな。
 仮面夜会に生徒会が乱入するシーン、正直面が割れないのだから、思い切り逆襲すれば人数的にも数倍いるんだから、そちらの方が、その後生徒会も大人しくなり今後の夜会もやりやすくなるのでは、と思うのだが、そうすれば再び夜会に乱入して怪我をするリスクを負うほど使命感が高い人間ばかりでないと思うし、今後の夜会もやりやすくなるのだと思うのだが。夜会の生徒会乱入で、麒麟堂先輩が逮捕されて、ひょっとしたら逮捕されるかもと危機感を抱いていたのか、彼女が主人公に手紙を残していて、その手紙の終わりに『白桜台はいい学校です。』(P247)とあり、自分が逮捕されたときにしか読まれない手紙にそれでも「いい学校」と書いているのは切なさを感じるなあ。
 生徒会長の鳳凰堂、正直正直そんなに学園内のことで神経質になるのなら、、アイドル科と他とをもっと厳格に隔離すれば済む話じゃんと思ってしまう。いやあ、そうしたら話が始まらないのはわかるけどさ。部下を信じていないから部下にまで理想が共有されず、理想を持っているのは正直なところ彼女一人のように思えるし、部下はただ生徒を優越感に浸りながら厳格に処罰しているだけのようにみえるし、彼女の理想も、一般生徒のことを人間とみなしていないからこういう異常な規制で虐げることを正しいと本人には思えるだけだという、独りよがりなものだけどさ。そして、麒麟堂のように優秀な人材が何人もいるならこんな手段とらないといっているが、トップが数日以内だけでこのようなイジメ的な吊るし上げを生徒会が行う事態になり、生徒会の横暴が日常になっているからそれにほとんど全ての生徒が非難の声をあげないというグロテスクな状態になっていることからも、鳳凰堂が作った生徒会がいかに鳳凰堂一人にかかっている、というか正常な判断できる人間が鳳凰堂一人しかいない状態になっているのがわかるから、現在の体制がベターとはとうてい思えないのだが、彼女にとって見ればストーカー事件が起きていないのだから、その他のいかなる不便も知ったことではないのだろうが。そして、麒麟堂のやっていることを革命ごっこといっているが、鳳凰堂はそれなのに友人をストーカー被害で失った(死んだわけではないが)という背景を武器にして、また本人の熱意とカリスマ(これがなかったら正直何故掌握できているのか説明できないし)で、またストーカー被害をなくすことがトップになるさいの公約の一つ目にそれを挙げたことで、同情を得や協力を得て勝つ流れになったのだろうが、しかし結局は視野が狭い圧政者であり、成功してしまった全体的なビジョンのない革命家という評し方しかできないなあ。結局彼女に賛成する人って、圧倒的に上の立場に立つことで優越感に浸れる私兵(生徒会)であり、カリスマを持つ彼女個人の信奉者とかで、本当にその政策に賛成する人なんて圧倒的に少数派なんじゃない、少なくとも学園内では、学外のアイドルのファンにゃ支持する人もいるだろうけどさ。まあ、なにか正しいものでもそれを厳格に押し付けて他の被害を顧みないとする統制的政策は、その実行者以外にとってははた迷惑だということはよく理解できた。