アナザー・ワールド 王国その4

内容(「BOOK」データベースより)
病弱な占い師のパパ、薬草茶作りの達人のママ、パパを愛するパパ2。三人の親の魂を受けつぐ片岡ノニは、石の力を引き出せる娘だった。ノニは光あふれるミコノス島で、運命の出会いをした。その相手は“猫の王国の女王様”と死に別れた哀しみの家来・キノだった…。ランサロテ、そして天草。海風吹く美しい島々を舞台に、生命の奇跡を謳うライフワーク長編『王国』、それからの物語。

 その1〜3までを一気に読んでから、その4が文庫化するまで時間がたっていたから(といっても1年も経っていないと思うが)登場人物の名前をすっかり忘れていて、「その3」から結構物語時間が飛んでいて、前までの主役級の人たちが親世代(というかまんま親)になっているのだが、最初の数ページはこの語り手は一体誰なのだろう、すっかり忘れてしまっている!と思って焦ったが、読んでいるうちにどうも初登場らしいことがわかってようやく安心できた。語り手が子供の頃のエピソードでパパがママに「雫石」と言っているのを見て、ああ!そういえばそんな名前だった、前巻までの語り手は、とようやく思い出せた。まあ、そうして親のエピソードが出てくるたびにだんだんと以前の話を思い出せてきた。読み終えてから、感想を書くまで少し経っているのに、その1~3の断片的なエピソードを含めて覚えている、ということはようやくこのシリーズのことが大分頭の中に入ってきたのかな、まあ、今更かもしれないけど(笑)。
 今回の語り手のノニ、3人を親として育てられたってかなり複雑だな、離婚してそうなったとかならともかく、3人で一定の関係を保っている中で、ずっと育てられたのは普通じゃないねえ。
 雫石、楓が死んで随分経ったとはいえ、現在は他の若い彼氏がいる、というのはなんとなくすんなりとは受け入れられない、他のどんな物語でもそういう感覚あるが、それはなんだろうと考えてみたら、語り手でよく知っている人がどこの馬の骨とも知れぬやつ(相手がどういう奴なのかもまったく出てこないし)と付き合っているのが、なんとなく嫌なのかな?なんか頑固親父みたいね、とも思うが、そう思うとそうした頑固親父の気分にも共感できるようになりそうだ(笑)。
 ノニ、元カノのことにまだご執心のようだったが、読んでいるこっちとしては、その相手は現在においてはノニに対する敬意が感じられない上、俗物(まあ、「フツー」の価値観の人)っぽいからノニに相応しくない、と思っていたのから、ようやく吹っ切れたようなので安心できた。
 パパ2がノニに、ノニが生まれたときのエピソードを語っているところがいいなあ。なかなか雫石も大胆というか、極端というか。