連射王 上

内容(「BOOK」データベースより)
「俺、何かに対して本気になれるのかな?」何事にも本気になりきれない高校生の高村・昴。そんな彼は一人のゲーマーに出会い、“己の本質”と真剣に向き合うことになる。将来の進路を考え決めていく友人や幼馴染み。変わっていく周囲との人間関係の中で、彼の答えはどこにあるのか―。「―敢えて問いますが、君は、ゲームが好きですか」。異色の青春“ゲーマー”小説。

 前からちょっと気になってはいたが、いずれ文庫化になったとしたら読もうと思っていたので文庫化してくれて嬉しい。小説を単行本で買うことはめったにないからなあ。少なくとも10年くらいは、文庫にならなそうな本で気になるものなら単行本で買うけど。あるいはずっと前に単行本化してさっさと買わないと品切れしそうなものとか。
 自分は本気になれるかを大真面目に悩んだり、1つのことに熱中して人間関係がぎくしゃくしてそのことに悩んだりというのは、ライトノベルというよりも正統派の青春小説っぽい感じ。中々ライトノベルはわずかなボタンの掛違いで不和が生じたりするようなことを書くというのはないからなあ、主人公が隠し事しようとするが、バレバレだったり内心動揺しまくりだったりするのはよくみるけど(笑)。しかし岩田が何かを話したいのか何度か誘っているのにことごとく断られるのは可哀想なので、下巻では2人が気まずいまま終わらずに、物語終わる前に岩田との関係もきっちり修復してくれればいいな。
 実はゲームセンターとかに行ったことないので、その雰囲気とか良くわからんなあ、ゲームは格ゲーやシューティングとか瞬間的に的確なコマンドを入力したり動作をしたりというのは苦手なので、そういうことが上手い人は尊敬する。そして、竹さんが言ったように、シューティングは最終面がクリアできないと負けになるというシビアさがあるから、そういう意味でも敷居が高いから余計なあ。
 一回家庭用のゲームでVERYHARDをやってみた後にNORMALをプレイしたとき調子がよくいつもいけないところまでいけたということに何故だと疑問に感じて、その理由を探そうと考えるというのは、本人は『その事実を素直に喜べないところが、自分の損なところだと高村は思う』(P139)といっているが、そうした考える癖があるというのは美点だし、尊敬できる。そういう考える癖を持っているから、野球は好きでもレギュラーをとることに執着していない淡白な性質なのに、野球部でもレギュラーが取れるんだろうなあ。
 90年代の物語でレースゲームのことを実写と見まごうような、とあるがゲーム史に詳しくないから良くわからんが、もうそんなに精密なものだったの、それとも当時の人たちの実感であって現在から見たらそうか?と思うようなものなのかどっちだろ。
 竹さんの目標であるファーストプレイ・ワンコインクリアは壮大すぎて、常識的にありえないと素人でも思えるほど大きな目標だな。しかし竹さん、求道者的で格好いいな。
 安全地帯、そういうものでないとクリアできない場所があるのはハードだ。また、そういうのを最初に見つける人が当然いるというのは、よく考えれば当たり前のことなんだが今まで気がついていなかったので、すごい衝撃を受けた。