鋼殻のレギオス 23


内容(「BOOK」データベースより)
グレンダン王家の武芸者クラリーベル・ロンスマイアことクララが心から欲するもの、それはレイフォンとの決闘。繰り返される(クララからの一方的な)挑戦の果て、クララがレイフォンに抱く想いは次第にかわっていき―。「これを使って、レイフォンに最後の戦いを挑みます!」決意表明をする彼女の手に握られている小瓶、そこに満たされた謎の液体の効能と、クララの新たなる野望とは!?天剣授受者レベルの力と技を持つ“嵐を呼ぶ少女”クララを中心に、レイフォン、フェリ、ニーナら、学園都市の人々を巻き込んだバトルと恋(?)の暴風が吹き荒れる。

 この巻はクラリーベル主役の短編集で、彼女のツェルニ時代の短編が主だったが、最後の短編ではグレンダンに戻ってから、最終決戦でのカリアン前生徒会長の演説時まで描かれているので、次回までどの程度進んでいたかを忘れずに済みそうなのでありがたい。次回いよいよラストに突入、副題の「ライフ・イズ・グッド・バイ」的には次の巻で終わりそうだ。
 今まではクラリーベルはレイフォンに対しての恋愛感情があるかは、おれの推測で云々、単純に武芸者としての強さに引かれているだけかもしれないとも思っていたが、クラリーベル視点で見るとあからさまに旗が立っているね(笑)。
 『出会った瞬間から人の全ての面を見ることなんてできない。人は見えやすい一面をまず見て、その人間に対しての印象を決め、付き合い方を決めるのだ。/そしてクラリーベルにとって、自分が惹かれたレイフォン・アルセイフというのは、レイフォン・ヴォルフシュテイン・アルセイフであり、彼を若き天剣へと導いた実力だ。』(P31)クララにとってレイフォンの魅力が強さにあることには違いはないが、誰もが最初は他人の一面を見ることで印象を決め、それに惹かれたりするというのは納得。今まで、これを読むまでなんとなく、彼の強さだけを見ているようで違和感があったがようやく素直に納得できた。今まで持っていた違和感の一因は彼女がレイフォンに見出された魅力が、レイフォン自身がツェルニ行きを決めたときに、一度は捨てること決心した能力だから、それを見込まれてもというのは本人も思ってそうだから、読んでいるこちら側としてもなんとなく彼女の好意を受け入れがたかったというのもあるかな。あと、武芸者としての強さも、レイフォンが培ってきた能力には変わりないのだが、少なくともツェルニに来てから本気で研鑽しているように見えず、生まれ持っての才能(実際はリーリンが無意識に附与した能力だから尚更)の部分だけに好意を寄せられているという感覚も少なからずもっていたからかな。でも、誰もが外面に現れた何か、あるいは外面から推測した何かを理由として好意を持ったりするのだから、彼女がレイフォンに好意を持つ理由となったのが強さだとしてもそれは他のひたむきさだったり、優しさだの精神的なタフさだのといったのに惹かれるのと何ら変わりないということをこの文章で素直に納得することができた。
 クラリーベルが入る小隊を第十四小隊に決めた理由が中二的な二つ名、衣装や登場曲に凝った演出をしたことが、彼女の琴線に触れたからなのは、なんというかクラリーベルの感性はちょっと残念ね(笑)というか、感想を書く段階になってようやく気づいたのだが、第「十四」小隊だから中二的なキャラ付けを新たにした理由か!そして、十四小隊の面々は彼女をスカウトするために、新たにそんなキャラ付けにするなんて、気合入っているなあ。なので、オフでは普通だから、ばっちり決めている冒頭のカラーページと素の状態である231pの挿絵とではイメージの差異が大きくて笑える。
 クラリーベルは、レイフォンが彼に気のある女性が周りにたくさんいるのに、そのことに気づきもせず常態を保っていることを普通不可能であるはずなのに、と内心考えているが、なんかもうここまで鈍感が極まるとレイフォンすごいな!と尊敬する気持ちすらわいてくるな(笑)。
 十四小隊のリーダーであるシンは、フェリのファンクラブのメンバーかよ!しかもナンバー4と初期w、しかもフェリに正座させられて起こられているのに頬が緩むって、うわぁ(笑)
 セリナが作った汚染中の動きを鈍くする薬、100倍希釈で睡眠薬、武芸者にも70倍希釈で効果有りって、案外武芸者と一般人との間に差がないな、と思ったら、武芸者は体が危機を感知したら自然と解毒が行われるのか。ヴァティ・レン、倒れているのに、目を全開にして、クラリーベルの行動を見ているって怖すぎだろ。