ログ・ホライズン 6


内容紹介
NHK Eテレにて2013年秋、アニメ化決定!!

いよいよ、新章開幕!!<アキバ>の街中で起こるはずのない殺人事件が発生!
アカツキは「天秤祭」を機に芽生えた焦燥や戸惑いを抱えたまま、
震える心を駆り立て<アキバ>の夜を奔走する。
力を得たい──彼女は今までためらっていた一歩を踏み出した。

 久しぶりの刊行で嬉しいけど、橙乃さんは「まおゆう」とか、メディアミックスとかで仕事をしていたのだろうが、個人的に追っかけているのはこの「ログ・ホライズン」と「放課後のトラットリア」だけで、前者は刊行予定が前巻で告知されたがずっと遅延されていたし、後者もwebでの掲載で追っていたが掲載誌が潰れるとかの事情で長い間更新されていなかったから、どうしたのかと心配していた。まあ、「ログ・ホライズン」は秋にアニメ化されるということで、その期間中に7巻が刊行される予定だというので楽しみだが、それ以後もあまり間をおかずに新刊を読めれば幸いなのだが、贅沢を言えば年2回くらいのペースで出してくれんものかなあ。
 ロデリック、外観再決定ポーションの量産型を作ったというのは、以前のアカツキのように違いに悩まされている人は多くいただろうから良いことだ。しかし、元はイベントで配られたものなので、レシピもない状況からのスタートしたものだったろうし、しかも現実世界の知識を生かせないものであるのに、良く作れたな。
 レイネシアが冒険者を枠に当てはめては見ることはできないとことに気づき、役割にはまらずに、ひとりひとりが全員違っている様に驚いているが、それはこの世界にとっての異邦人であるのとゲームからこの世界に取り込まれたのでお互いゲームの中での現実社会よりもしがらみの少ないずっと気安い関係だったからで、現実の社会人としてとなるとこの世界の人々と同様に役割にはまっているのだし、もし冒険者たちがこの世界で土着し始めるとすれば、そうした気質は徐々に薄れていって、そのうちそうとはいえなくなってくるとは思うが。
 レイネシア『”友達”という言葉を、彼女は避けているのかもしれない。最初からなのか、それとも人生のどこかで諦めたのか』(P112)というのは、わかるわあ。しかしその状態から、友達という関係性を承認して自分にとって大事なものと認めると、一歩踏み出したのはすごいわ。しかし、最近になってまた友情とかの他者との繋がりの重要性を再発見するような物語が増えましたね。
 そして、レイネシアやアカツキが独力ではどうしようもない案件に直面したことで、他者の力を借り、そして他者を巻き込む覚悟を決める。リーゼは「中学生」云々といっていたが、彼女らの決意が他者へ影響という責任を背負うことを自ら決心したというものだった、というのを実行している最中になるまで考えが及ばなかったか、まあ、普通中々そこまでは思い至らんよね。むしろ今回の作戦だけでそこに気づけたのだから、彼女は聡明といっていいだろう。
 モンスターは強いレベルのものが出るゾーンがそこかしこにあって、大地人はレベル的には弱いのに、都市間の流通はどうなっているのかと思っていたが、「主要幹線道路を魔物から守る結界技術」とあるのを見て、都市間の道路には結界が張られているから大丈夫なんだ、なるほど、と納得した。
 「空を翔けるものたちの空中の道」という、身軽な冒険者たちが跳んで移動するルートがあるというのは現実では絶対ない(スポーツとしてならともかく)から面白いな。現実だとスポーツ(パルクール)としても死と隣りあわせで見ているだけで冷や冷やするだうけど、死ぬ危険がないなら気持ち良さそうとも思える、まあ、個人的にはそんな高いところだと身がすくんでしまうからたとえ命の危険がなくともやらないだろうが。
 アカツキが死亡時に見た生死の境にある砂浜のシーンで、「セルリアン」という言葉が繰り返されたがどんな意味だよ、と思ってググってみたら「鮮やかな青」とか、「澄んだ空のような青」といったような意味なのね。
 『でも、本当は”本当の姿”なんてないのかも……』(P223)それは、いくらまるで違う面が混在していても、それらの複合体が人なわけで、どの綿も今までのその人の経験から作り出されたものだから、どれかを本当ではないと切り捨てていたらその人ではないよね。まあ、それを理屈ではわかっても、実際に人のイメージと違う面を見たときに惑わずに自然とその人の一面ということを承認できるほど内面のものとしているかというのはまた別の話だけど。
 フレーバーテキストが影響を持ち始めているというのは、この世界が数字で全てを数値化できるものから、単純に数値としてみることのできないものが力を持ちはじめたり、徐々に世界が拡大しているというのは、この世界はゲームからリアルに近い世界へと姿が変容しはじめているのかな。
 殺人鬼、冒頭に出てきた店で例の小太刀を買ったのはこいつだったのか。Webで読んだときは、正直流し読みであり、なおかつ通して連続で読んでいなかったから、今回読んではじめて気づいたよ。
 菫星『大陸からやってきた天の災いに気を取られ、西の脅威を過小評価してきた罪は、すべてわたしにあります』(P275)というのはなんだろう、今回の事態は西の首領の陰謀ってことかい?そして、「大災害」というのは、どうやってかはしらんが大陸からやってきたのか!そしてそれを突き止めているのがすごいわ。