博士たちの奇妙な研究

博士たちの奇妙な研究―素晴らしき異端科学の世界 (文春文庫)

博士たちの奇妙な研究―素晴らしき異端科学の世界 (文春文庫)

内容(「BOOK」データベースより)
幽霊屋敷を人工的に作る!?地球の軌道を動かして温暖化を解消!?人工タンパク質から恐竜を復元させる!?神秘体験は脳にヒミツあり!?エイリアンのメッセージはDNAに残されている!?etc.不可思議現象の解明から奇抜な発明まで、世界の科学者たちが大真面目に研究する新説、奇説を紹介。知的刺激が満載のオモシロ科学本。

 科学やオカルトについての軽い読み物といった感じで面白かった。また、科学の軽い読み物ってほとんど読んだことないから、楽しく読めたし、他にも似たようなものがあったら読みたいという気になった。まあ、類書を読んだことがなかったから一層楽しめたという面もあるのかもしれないが。
 脳には、神を感じるときに働く場所や仏教の僧が深い瞑想状態に入っているときに働く場所があり、その両者の場所が違うというのはちょっと面白い。
 宇宙人に誘拐されたと信じる人は、何らかの睡眠障害を持ち、それが原因で起きる幻覚や夢を信じる傾向があり、その「体験」を思い出すとPTSDに襲われることもあるということには驚き、そうした睡眠障害での幻覚がそのような数奇な「体験」をする原因、とそうした「体験」の理由が明らかになっていたことははじめて知った。
 「チェンジ・ブラインドネス」(一つグレーのもの(間)を挟んでの間違い探し)や「スローチェンジ」(徐々に変わっていく)は、テレビでよく紹介されるようになったが、単に視覚認知の盲点というだけのもので、頭のよさとは無関係ということは、そうだったんだとはじめて知った。
 食事と性によって刺激される脳の部分が同じということは知っていたが、音楽でゾクゾクとする感覚によって刺激される部分も同じ場所であるとは知らなかったが、食事と性と動物として生存のために必要であるものと音楽による刺激を同じ部分で感じる、というのは興味深いし面白い。
 人間の耳では聞こえない、超低周波音が流されたとき、22%の人が不安、畏怖、悲しみ、悪寒などを感じるなど、耳には聞こえないのに人間の情緒に働きかける音の存在というのは面白いな。
 ドッペルゲンガー、偏頭痛の前兆現象として、光が見えたり視野が暗くなったりすることがあるが、その中に死者の姿や自分の姿を見るという例があり、そうした前兆現象を伴う偏頭痛には少数ではあるが生命にかかわることもあり、そう考えるとドッペルゲンガーを見て死ぬという言い伝えはまったく根拠がないものではないということは面白い。
 ストレンジ・マターという、花粉一粒くらいの大きさで、数トンの重さを持つ物質があり、それが1990年代に地球に衝突し、そのことで2回地震が起きていたというのをはじめて知りビックリしたが、それよりもその地球に衝突したストレンジ・マターはミクロサイズであるため地球を突き抜けたということの方が驚きだ。著者が、人体消失や人体自然発火と関連があるのではと想像しているが、もしそうだったらどんなに技術が進歩しようが、防ぎようがなさそうなのがちょっと怖いね。