新約 とある魔術の禁書目録 7


 上条当麻が目覚めた場所は『暗闇の密室』だった。彼をそこに送り込んだのは、多角スパイ・土御門元春。この学園都市に、再び敵性魔術師が潜入し、持ち込んだ霊装で学園の壊滅を狙っているらしい。
 霊装による大規模術式発動阻止の『使命』を受けた上条は、残り数時間という緊急事態の中、急いで『暗闇の密室』から抜け出した!!
 ――のだが、目の前に広がったのは、名門お嬢様女子校の更衣室で……。
 今回も爽快に不幸が炸裂する上条。ド変態の烙印を押され、凶暴な女学生たちから追われる中、必死で『学舎の園』内で霊装探索を行う。
 途中で御坂美琴にも発見され、ついにチェックメイトかと思われたその瞬間……“幸運”にも、救いの手がさしのべられた。
 食蜂操祈
 常盤台中学、第五位の超能力者『心理掌握』の少女。
 この出会いは、偶然の産物か、それとも『何者か』による必然の産物か――。
 科学と魔術が交差するとき、物語は始まる!
(電撃ドットコム電撃文庫トップ新刊/既刊情報新約 とある魔術の禁書目録 7 より)

 冒頭の説明で、今回は久しぶりにシンプルな筋だからわかりやすくて面白そう、と思っていたら、途中から色々ややこしくなるなあ。まあ、この1冊で説明されている事情で十分わかるから別にいいけど。少し前までは、既刊を読み返さないから、もう上条とかがどういう意図でこういう行為をやっているのかとかほとんどわからないまま読んでいたからねえ。それと、当初の上条の目標(敵)が仏教系の人間とは珍しいなあ、と思っていたら結局ブラフだったので登場せずじまいか、ちょっと仏教系の魔術師(?)は見てみたかったので少し残念。まあ、攻撃できる範囲が周囲5キロで、攻撃目標とされた「学舎の園」が2キロ四方だから、周囲から攻撃することを端から考慮していないように見えるのはなんでだろうと思っていたから、虚だとわかり納得もしたけど。しかし、土御門は上条をなんてところに放置してくれているんだ(笑)、あと土御門は誰に頼んでそこまでもっていってもらったんだろ?
 「とある科学の超電磁砲」に登場する食蜂が登場!だが、上条に「あなたらしい」といっているが、以前にもそれなりに面識があるの?そこらへんのことは今後漫画の「とある科学の超電磁砲」にでてくるか、短編で描かれるのに期待かなあ。もしBD/DVD特典の小説にでている、とか出す予定とかだったら読めないので悲しいが。しかし、食蜂はなんか既に上条への信頼や好意が少なからずあるとは、ほとんど本編で描かれていない間に既にフラグがたちかかっているのは流石上条さんだ(笑)。まあ、上条さん、食蜂に妙に信頼されていて協力して貰っている事情は気になるので、いずれ明かされるのを楽しみにしているよ。それと、漫画で見たときは気づかなかったが、○○力というのが口癖なのかい食蜂さん。
 土御門妹の死のニュースには初期から登場している日常サイドのキャラだから、真相がわかるまで、えっ、と驚くとともに少なくない喪失感みたいなものを味わった。しかし、その真相を見ると、土御門なかなかにクレイジーだね。そして、土御門が学園都市にきた理由と義妹との出会いのエピソードがついに描かれているが、土御門妹の出自は意外だった。
 雲川芹亜、前からちょくちょくでていたが1、2シーン程度の登場ばかりだったので、本編とここまで関わるのははじめてだなあ。しかし戦闘までやっているのは、そういうイメージがなかったから大層意外だ。その戦闘中の雲川の台詞で『お前は一般と『闇』を殊更に区別して考えたがる種類の人間だ。この業界ではありがちなプロ根性ってヤツか。……そうやって免罪符を求めようとする弱い心を持っている、と変換してもよいけど』(P148)とあったが、実際には明確な区別がないのに区別する理由は、プロ自身が「闇」と一般を世界を2つに区別して、「闇」でするあくどいことへの免罪符にしたり、精神の均衡を図っているから、というのはそういうことは考えたことなかったがなるほどなあ、と納得できる。
 貝積、雲川がブレーンの学園都市の上の人というイメージしかなかったが、今回の土御門との会話での落ち着きっぷりを見るに、この人もひとかどの人物よな。
 薬味久子が語尾に☆をつけたり、「彼女達が好んで使う、蜂の毒」という文章もあったり、上条と土御門が対決したのも彼女の示唆があった故のことと見えなくもないから、ひょっとして食蜂がこの事件に関連してたりするのか、としばらく疑ってしまった。しかし食蜂は後半で上条に味方しているし、どんな状況になっているかをしかと把握していなかったから、敵方の人間ではないとわかりほっと一安心。結構好きなキャラだから、敵にまわったら悲しいからね。
 白カブトの垣根帝人、普段キーホルダーを装ってフレメアを守っているのか、彼も冷蔵庫になったり、白カブトになったり、キーホルダーになったり形とか大きさが色々と変わって大変ね(笑)
 フレメアを「自分の方法」で守るために、「ヒーロー」たちが相互につぶしあったりとすごいカオスな展開となっているなあ。
 恋査、7位の「原石」である削板の流石に使えず、能力が使えるのは科学サイドのみか。まあ、それでも十二分に脅威だし、他の超能力開発が意味なくなってしまうほどのインパクトをもっているけどね。それがポピュラーになったら、今後は、新しい超能力者が見つかっても、その能力は恋査が新たな能力を付与できる程度の意味しか持たなくなってしまうなあ。だが、どうも非人道的なものなので、表に出ることも一般的になることは、このままだとなさそうだが。しかし上条、さっきのは黒幕のサイボーグが使ってたのと同じ能力(超能力)だったから、敵も到着したのかという思考が頭によぎっというのは、敵が追いかけてくることを懸念するなら、さっさと壊しとけ、と思ったのだが、まあ、わずかでも人間らしさがあればそんなことはなるべくしないのが上条さんだから、しかたないけどさ。
 フロイライン=クロイトゥーネ、最後に出てきた場面見るに、ずいぶんと人間らしくなってきているようだから少し驚いた。