暦物語

暦物語 (講談社BOX)

暦物語 (講談社BOX)

内容紹介
美しき吸血鬼と出逢った春夜から、怪異に曳かれつづけた阿良々木暦。立ち止まれぬまま十二ヵ月はめぐり、<物語>は、ついに運命の朝を迎える!“光の魔術師”VOFANによる本文挿画12枚のカラーバージョンが、ポストカードセットとして発売決定! 青春に、予定調和はおこらない!

 発売することに全く気づいていなかったが、発売後に割合早く気づけてよかった。文庫本以外はあまり購入することがないから、それ以外の新刊のチェックはほとんどしていない。だからこうやって見過ごして発売後に知るということも多いなあ。
 第一話が4月、二話が5月と、月ごとの全12話で毎回キャラごとに1人ずつメインとなる登場人物、阿良々木くんとの対話役が変わっている。それなのに一年(12人)が持つことや男性がメインでの登場でない忍野以外が登場しないということなどから見ると、改めてキャラの男女比がかなり不均衡な比率であることが改めて実感できるし、阿良々木ハーレムといわれていることも理解できるよ(笑)。
 それと、今巻では怪異は起こらずに各話の奇妙、不思議な現象の真相が、現実的なオチに帰着するミステリ風(「風」なのは、推理がないから)の締め方なのはいいね。また「<物語>シリーズ」の大きな魅力のひとつである、掛け合いの妙が存分に堪能できる1冊だ。あと、巻を経るごとに増えてきていたメタネタとかエロスを感じるシーンとかは今回は大分控えめ。まあ、メタネタはともかく、このシリーズのエロいシーンは結構好きだから、少し物足りないといえば物足りないけど(笑)。
 そういえば、まったく関係ない話で恐縮だが、パワースポットという言葉が出てきたときにふと思ったのだが、ここ1年2年でになってやたらと見るようになって来た言葉だけど、なんか流行るきっかけとなった出来事ってあったのかな。
 忍野にとって、学校の怪談的な話も収集する意味があるような話なのか、そこらへんは意外だなあ。しかし、こうした他愛もないといえる話に忍野が興味を持って聞いているのは、なんとなくほほえましい。しかし第一話の真相はいいなあ、好きだなあ(笑)。
 『借金ってのはようするに約束事なんだから。将来、つまりは未来、稼いだお金からお返ししますよという、信頼なんだから。つまり、約束と未来と信頼で世の中は回っているんだ』(P101)ここらは、阿良々木くんのいいようの上手さに感心する。その後の『その約束と未来と信頼の狭間で四苦八苦している、青息吐息の社会人がいっぱいいることは秘密である。』も含めてね(笑)。
 三話こよみサンドで、忍野がいなくなったら即怪異か?と思ったら、これも怪異ではなかったか。
 神原の「遠慮は許可しない」という物言いは、好きだなあ(笑)。しかし、神原の家に掃除に行くことを、事前に羽川には言っていたって、いったいどういう関係性なのか、よく理解できないわ(笑)。
 影縫さんに一発入れるのに、忍に作ってもらった銃を用いようという発想はすごいわ(笑)。しかし、それでも100%失敗するアイデアと考えているのは、いかに影縫さんが人間離れしているかがよくわかる、というか銃を避けるのは普通の生命体では不可能だろうから、人間離れどころの話ではないかもしれないが。
 あとがきに『まあ、また何か間に挟まるかもしれませんが、それはそれで』(P447)とあるが、まだ何か増える可能性もあるのか、なんかここまで増えたら、当初の予定より増えてくれて嬉しい、となるよりまたか、という思いのほうが先に来ちゃうなあ(笑)。まあ、もちろん予定よりも余計に出たら嬉しいことには違いないんだけどね。