アクセル・ワールド 14


ついにメタトロンと直接対決!! 
≪最強のカタルシス≫で贈る、次世代青春エンタテインメント!

 梅郷中学の文化祭にて。ハルユキからチケットを受け取った女の子たちと、それを知った黒雪姫の視線によって、盛大な火花が散らされている中。文化祭は、みんなの頑張りをかたちにし、賑やかに進んでいた。
 しかしそのさなか、前日≪マゼンダ・シザー≫の手によってISSキットを寄生させられていた綸が倒れてしまう。緊急事態を受けて、黒雪姫たちはISSキット本体を護る≪大天使メタトロン≫討伐ミッションを決行する。
 万全の戦力で臨むため、まずは≪アクア・カレント≫救出に挑むハルユキたち。だが、帝城東門で待ち受けていた≪四神セイリュウ≫の猛攻に、一行はたちまち傷ついていく。
 そんな中、セイリュウ最大最凶の攻撃、≪レベルドレイン≫の恐怖がハルユキに迫る――!
(電撃ドットコム電撃文庫トップ新刊/既刊情報アクセル・ワールド14 より)

 今回はバトル成分が多めで、比較的サクサクと進行していったのはいいね。
 今巻の表紙のレパードは色っぽくていいね。そして今回は全編が加速世界の中で物語が展開していき、デュエルアバターの状態ばかりの状態だから、感情を表すためにも中のキャラクターのイラストが口絵などで肌色多めで描かれているなあ、そういう時(上手く言葉でいえないが)にキャラクターが出るときはあくまで外見がそうじゃなく内面だと端的に表すためなのか、裸で描くのがある意味お約束だが、ハルユキだけそんなときでもシャツ着ている状態で描かれている、それはまだ自分の容姿へのコンプレックスが強くこんなときもシャツを着ているのはそんな意識の表れか、とも考えられるけど、まあ、単純にハルの裸が描かれても誰得だからだろうけど(笑)。
 黒雪姫が「ウルトラ面倒くさいことになるぞ」といっていたが、いまどき聞かない強調の語句だな(笑)。
 ハルユキ、四神戦前に、「坂下門外の変」で討ち死にした武士たちの話を聞いて、自分たちと重ね合わせて弱気になっているのを、チユリに気がつかれ励まされたら、自らのテンションを上げるための空元気とはいえ「今回はどう考えてもこっちが正義だよな!」というのは、きっと「坂下門外の変」を起こした武士たちもそう思っていたし、第一元々四神が守護しているところに押し入ろうとして失敗したのを助けに行くのだから正義かといわれれば困るなあ、と無粋なことを思ってしまった。
 ハルユキ、四神戦で撤退するとき、空中で敵の追尾してくる攻撃を避けつつ頻繁に方向転換しながらも橋(敵の範囲外)へと近づいていくその空間認識力は凄いな。
 アクア・カレントとプロミネンスのブラッド・レパード《親子》、そして実年齢ではおそらくカレントのほうが年下(ハルユキと同学年と、ハルユキは推測している)だが「親」。あと、レパードを「ミャア」とアクア・カレントは呼んでいるが、それは実際の名前からきているとハルユキが推察しているけど、そういう由来か、それまでレパードのデュエルアバターが豹型になるから、そこからミャアがきているのだと思っていた(笑)。
 レパードの経験値を戻すために、チユリが「シトロン・ロール」を使った。それが成功した後、チユリが「必殺技を使っているときはゲージがぎりぎり足りないかと思ったけど」といったのを聞いて、黒雪姫がハルユキをちらりと見た、というが、確かにその前の描写にハルユキの手から光が流れ込んだという描写もあるけど、その時黒雪姫たちも気づかなかったと書いてあるから、なんでそのことを察することができたんだろ?その話を聞いて、ハルユキが何か(恐らく彼女にとって既知の)現象を起こしたのかもしれないと思ったのかな?
 ハルユキがいずれ来るタクムとの対戦のことを考えているとき、その時たとえ「何かを失う」としても、と不吉な予感が頭をよぎったり、あるいはタクムが何かを考え込んでいたりと何か不穏なものがあるなあ。この巻の序盤にあったニコと謡についての嫌な予感が既に今巻のラストにおいて実現してしまったので、たくむについての不吉な予感も早々に実現しそうな気配をひしひしと感じる(笑)。
 デュエルアバター、イラストでは口がないのにどうやって飲食するのだろうか、と思うけど、以前にどこかで書かれていたっけ。実際にデュエルアバターの状態でどうやって飲食するかについての具体的なディティールは完璧に忘却しているか、そもそも未知かなのだが、なんかそんな記憶があるようなないような。
 ニコが朝起きてきた時、他に起きてる人がいない中黒雪姫とハルが2人きりで話しているのを見て、黒雪姫に突っかかったりしたが、それでハルユキは「2人の王の間にぱちぱちと火花が走った――ような錯覚にとらわれ」たくらいだから、個人的に今までニコは2人をからかうためにハルユキに対して非常に親密なような振舞いを冗談でしているのだと思っていたのだが、実はフラグがたっていたりするのかな。
 マゼンタたちとの戦闘の前のマゼンタの語りを読んで、ようやく彼女らが共産主義的なことを理想に掲げているということにいまさらながら気づいた。しかし、キットが普及しても全員同じだけ戦力が底上げされるだけで、多少不均衡でなくなるけど、個人の能力の差は変わらないからあんまり意味ないんじゃないかと思うなあ。
 不意に起こったメタトロンとの対戦では、相手ごと助けたクロウの行動からマゼンタも協力し、共闘後はマゼンタも決着つけずに帰っていったりと、マゼンタが最後にはいい人っぽくこのたびの登場を終えるのはちょっと想定外だったなあ(笑)。