魔法科高校の劣等生 11

内容(「BOOK」データベースより)
USNAの最強魔法師部隊『スターズ』総隊長、アンジーシリウス少佐こと、魔法科高校交換留学生・リーナ。彼女の訪日と同時期に発生した『吸血鬼』事件は、彼らによる魔法科高校の襲撃、達也によるその撃退という結末で幕を閉じた。しかし『パラサイト』本体は『宿主』から抜け出しこの世界を漂い続け、そして次の宿主を見つけ出した。ヒューマノイドホームヘルパーロボット。付近にいた光井ほのかのパターンをコピーしたパラサイト=ピクシーは、その出自から、達也に付き従うことを決める。ピクシーからの情報により、『パラサイト』を理解した達也は、深雪らを連れ、残りの『パラサイト』を退治すべく、夜の青山霊園へと赴くが―。『最強の魔法師』と別次元からの『来訪者』を巡る激突は、魔法科高校を舞台に最終決戦を迎える!

 これで来訪者編も最後、そしてwebで連載されていた分もこれが最後!なので、いよいよ次巻から、達也たちが新章に突入し2年生となる、「魔法科高校の劣等生」の新エピソードが見ることができるので楽しみ!そして、次巻は10月発売とあまり待たずに次の巻を読むことが出来るとは思っても見なかったので、すごく嬉しい!
 今回は巻末に短編があり、その短編では横浜騒乱編の後の真由美の実家である七草家での休日の一日が描かれている。時系列的にもwebでも横浜騒乱編の後、来訪者前の話なのに、何故ここに持ってきたんだろうと思ったのだが、次巻達也たちが2年生になり、真由美の双子の妹たちが登場するから、その直前である今回に持ってきたのか。
 冒頭の雫とほのかの電話、4回も同じ話が出てきて、アメリカの雫の住んでいる場所では午前4時半って、ほのか一体いつかけ始めたのよ(笑)。
 達也の「再成」が「無制限というのは損傷の程度であって、回数ではない」ということだが、今まで両方だと勘違いしていた。まあ、「再成」がどれくらい消耗する魔法かは知らないけど、達也はサイオンがかなり多いようだからそれなりの回数「再成」できそうだけどね。
 そして今回は、八雲師匠のところで修行した遠当てがかなり活用されていて、修行の成果が出ているので嬉しい。
 達也、雫が自分のことを心配しているのを見て、「家族の心配をするのは確かに当たり前かもしれないが、ここまで熱烈なのは、実は珍しいのではないだろうか」というのは今更な上、「実は」とつけているのは笑える。
 USNA軍に対する四葉の動きがやたらと迅速だったのは、深雪が達也の身辺を脅かしているUSNA軍を排除するように真夜に依頼したからか!
 魔法師、トップクラスの能力は変わらないが、平均は世代ごとに上がっている。
 しかし、深雪「本当は、兄以外の男性になんて抱かれたくはない。それが深雪の本音だった。いや、本音というなら達也以外の男性に触れられるのもいやだった。」なんて、恋愛感情以外の何物でもないじゃないですか!本人が自身の抱いている感情を恋愛感情と認めていないだけという、雫の判断は実に的確だったな。
 パラサイト同士の交信が可能な範囲が「国境の内側であれば」なのは何でだろう、人間に宿っているから人間の決めた国境という範囲に束縛されているのだろうか?
 達也がエリカに「四葉」だと覚らせたシーンはいいね(笑)。いやあ達也、策士だわ。エリカを達也の「情報を守らなければならない」立場にさせ、しかも「結果的に、巻き込むこともできそうだし」なんて考えているなんて、黒いわ(笑)。そしてエリカが兄の修次にそのことを隠しながら、達也の内側に踏み込まないように説得するシーンも好き。
 藤林が今回出てきたのは元会長である真由美の代わりか。しかし、藤林と九島は祖父と孫娘の関係だけどそんなに親しい間柄ではないのか。
 達也「俺はいずれ、与えられていない選択肢を作り出し選び取る。割り当てられた『役』を捨てて、与えられた舞台から飛び出す。」(P319)といって、そのことが言葉ではっきりと示されたのは良かった。
 しかし真夜が水波を兄妹の家に送り込んでくるとは、すごく嫌な一手。家中にそんな人間を置くのはかえって反発を強めないかと、一瞬思ったが考えてみれば、達也はこれ以上ないくらい四葉という家への忠誠や愛着が無い人間だから関係ないし。