バカとテストと召還獣 12

内容(「BOOK」データベースより)
あわや敗北か!?という劣勢の中、遂に年貢を納―否、開き直った雄二の策により、首の皮一枚繋がって試召戦争の一日目を終えた二年生。依然戦力差が大きく開いたまま突入した二日目だったが、雄二の指揮の下、二年生は勢いを取り戻す。そんな激戦の最中、作戦行動中の明久の前に三年生代表の高城が立ちはだかる。瑞希の悩みとその真意を聞かされ、明久は…!?バカたちの饗宴、ついに終幕!


 まだ短編集がこの後出るらしいが本編はこの巻で最後。最近続々と毎巻読んでいるライトノベルシリーズが終わったり、終わりに近づいていて寂しい。
 今回は本編最終巻ということもあって、真面目な感じで進行していって、本来のバカやってるコメディ要素が少なかったのはちょっと残念だな。ただ、その一方最終局面だから女性人が振るうバイオレンスな場面もなかったのは良かったが。
 脱走しないためにFクラスの面子の後ろに実力(成績)がトップの人間を配置して、逃げたら見せしめってソ連かよ(笑)。しかしそんな状況におかれても、ふてくされて手を抜くということがないなんてFクラスの面々って案外真面目なんだね。
 雄二が霧島さんと付き合うことになったことで、明久は『仕方がない。みんなと一緒に処刑という形で我慢しよう。願わくば、その処刑が戦勝祝いの楽しい処刑でありますように。』(P62)なんてことを考えているけど、どんな蛮族の宴だよ(笑)。というか、妙に軽いトーンで内心そんなこと思っているから、かえってその思いの本気さが伝わってきて怖いわ。
 高城先輩は明久に身を引かせるためにあえて見当違いな非難を加えているのだろうけど、その非難を真に受けて吉井が凹んでいるので、高城先輩にはちょっとイライラ。雄二が混ぜっ返して、明久にそんなことを気にする必要はないと示しているけど、それでもずっと明久が暗くなっているのは彼の生真面目さ、愚直さ、優しさなんだろうな。……普段、Fクラスの面々から逃げたり、彼らと合同して雄二を処刑しようとしたりしている姿ばかり見ているとそこらへんを忘れがちになるけど(苦笑)。
 しかし常夏コンビの夏川、敵で友人でもなんでもないのに、吉井がいつもと違い、暗い雰囲気をまとい落ち込んでいると見るやハッパをかけて奮起を促そうとしたのは、明久と常夏コンビは付き合い(?)は短いけど腐れ縁的な繋がりになっているということが感じられて良かった。……ツンデレ、とは気色悪いから言いたくない。
 美波の明久への告白、凹んでいる明久に対して慰めるわけでも発破かけるわけでもなくただ自分の思いを告げることで、彼の迷いを断つ。最高の処方箋となったね。このシーンで一気に美波のことが好きになったわ。
 バカテスト、第十八問の保健体育のムッツリーニの答えで初潮について詳細に書いてあるのは、その知識があるのは彼のキャラ的に当然かもしれないがちょっと引くわ。しかし工藤もそうだが詳細に加工が加点もないのに、そんな詳細に書くなんてなあ、その分次の問題に行ったほうが点数的にもいいんじゃないかという気がしなくもない。ただ初潮は体重と大いに関係あり、43キロに達する頃に初塩が見られることが多いというのはへえ。
 明久が校内放送で告白した直後のイラスト、不敵な笑みというより不真面目に見える顔でいまいちシリアスに見えないなあ、ある意味人徳か(笑)。
 最後に男女の交際が禁止されたときに、仲間と一緒に学園長室に押しかけたが、明久はそのことについて『(決して人数で圧倒してこっちの意見をゴリ押そうというゲスな考えではない)』(P273)としているけど、そんなこと言わなければ、単純な全員の憤りによる行動だと捉えて、そんな目論見なんて気にしなかったのに、そんなこと書いてあるともうそうとしか思えなくなってしまう(笑)。
 最後のイラスト、イラストだけ見れば次のステージへ踏み出していくという明久と雄二って感じで格好良く見えるのだが、実態はFFF団の処刑から逃げるために窓から闘争しようと窓枠に足をかけているんだから、最後までしまらないのは流石のこの悪友コンビらしさだな(笑)。
 そして新シリーズは予定ではあるものの、「バカテス」からテストと召還獣を抜いて他のものを入れたものを考えているようなので物語の雰囲気はそう変わらなそうだから、新シリーズがでたらそれも読んでみようかな。