ソードアート・オンライン プログレッシブ 2

内容(「BOOK」データベースより)
アインクラッド第二層のボスモンスターを、激闘の果てに倒した“ビーター”のキリトと、その暫定的パートナーである細剣使いアスナは、次なるフロアへの階段を上る。第三層。そこで二人を待ち構えていたのは、フロア全体を深く包み込む大森林と、初めての大型キャンペーン・クエストだった。森の中で戦う二種族のエルフの騎士たち。そのどちらかに加勢することで、クエストは開始される。“ベータテスト”時は必ず相討ちになっていた二人のNPCだが、キリトたちは黒エルフの女性騎士“キズメル”を生き残らせることになぜか成功してしまう。ベータ時との違いに戸惑いながらも、NPCであるキズメルと交流を深める二人。一方、他プレイヤーたちによって、ついに第三層初の“攻略会議”も開催される。そしてその会議の場で、キリトとアスナは、ひとつの重大な選択を迫られる…。


 プログレッシブ1巻では1、2層の攻略しかやっていなかったから展開遅いなと思っていたが、2巻では3層での話で、結局3層しかクリアしておらず、展開が遅いと思っていた1巻よりも攻略ペースが更に下がるとは思わず突っ込みを入れたくなる。数階層分飛ばして、1つの回想での話を書くのなら分からなくもないのだが、飛ばさずに1冊で1層というペースでやるのは流石に遅すぎ。次回はエルフクエストの最終章(9層)まで終わらせてくれるのならば、ちょうど良いペースだと思うので、そのくらいまで終わらないかな。「あとがき」でこの階層でのエルフクエストの後半が飛ばし気味になったということを反省しているようだけど、いやいや、むしろあのくらい飛ばす部分があったほうがちょうどいいから!
 「プログレッシブ」では年齢や経験的なことがあるからしかたないことなのかもしれないけど、キリトの幼さがかなりでているので、SAO1巻の時の彼はだいぶクールだった印象があるのでイメージとだいぶ違うことに違和感を覚えてしまうな。また、なんだかAWのハルユキにでも引っ張られたのか、「う、うん」など微妙に言葉がつっかえていることが多いのもイメージとのギャップがある。ライトノベルでよくある強引さのあるヒロインと気弱な主人公といった感じになってしまっているように見えるのが残念だ。
 あとがきに「月夜の黒猫団」に入るまでの半年が不明だったから、アニメ化時に最低1層攻略を書こうとしたことがこの「プログレッシブ」を書くきっかけだったといっているけど、現在の「プログレッシブ」の流れで、「月夜の黒猫団」に入って〜という展開はちょっと想像が付かないし、本編のアスナとの関係もだいぶ変わってしまっている感じがするから、もう本編の流れに修正することは難しいと思うので、本編でキリトが実際経験した話というよりもイフストーリーとすっぱり割り切って考えたほうがよさそうだ。でも、そうだとするとSAO11巻のアスナの『ゲーム初期は、すぐそばを黒衣のソロプレイヤーが歩いていたのだ。』(「ソードアート・オンライン 11」P171)という述懐が意味分からなくなるしなあ。まあ、その辺の折り合いは「プログレッシブ」を読み続ければわかる……のかなあ?
 キリトもアスナも、キバオウがダンジョンで叫んでいるのを聞いて辟易するような思いを感じているのは、ちょっと笑った。そして読んでいるだけだけど、キバオウにそういう感情を抱くことは、共感してしまう(笑)。いやあしかし、キバオウさんはキャラ濃いなあ、「プログレッシブ」の1巻を読んだのはかなり前だけど全く印象がぼやけていないもの(笑)。
 キズメルは特別なNPCであるようだが、自分ひとりだけそういう思考を持ち、他の周りの同族たちが意思のない普通のNPCだというのはちょっとホラーだな、と思っていたら、周囲のダークエルフにもそれなりに個性が見え隠れする人がチラホラいそう。ただ、キズメルがそうで、周りの人間が全部単なる意思を持たない人形だったらかわいそうだから、そのように見えたら「そうだ」と勝手に思ってしまう、願ってしまうから、実際のところ他のNPCもそれなりに人格のあるような人物なのかどうかについてはよくわからないけど。
 アスナがもしSAOの世界に閉じ込められてから過ごした日数が現実ではもっと短い、出来事だったならと一瞬考え、それを即座にまやかしの希望を持ちたくないと否定したことにキリトは『フルダイブ中の感覚や思考を何百倍にも加速させるなど、どう考えても不可能だ。』(P173)と考えているが、それは「アクセル・ワールド」を連想させるが、確か以前AWとこれとは繋がりないとは書いてあったが(記憶が確かならば)二つの世界観の根本は一緒だと思うので、そこらへんをAWの加速世界はどのように解決させたのだろうかと少し気になる。
 2層を攻略してから、つまりかなりの緊張を強いられるボス戦を戦ってから、1日しか経っていないのに平均20時間かかるギルドを作るためのクエストをクリアしたというのは、両グループのメンバーはタフだし、デスゲームであるのに集中が持たないだろう状態でそうしたクエストを侵攻するとは大胆不敵だ。そのタフさは流石、デスゲームが始まって真っ先にこの塔の攻略をすることを決意した、攻略組だな。
 ハラスメント防止コード、未成年が女性NPCに触れることを懸念されての導入だったようだ。まあ、それが導入されてなかったと想像すると、女性NPCに触れまくる奴が増えて、なかなかに世紀末的な様相を呈したであろうことが容易に予測できるな、特にこれだけ長い間ゲーム中で拘束されるとなるとね。
 キズメルの風呂シーンのイラストはめちゃくちゃエロくて、いいね。特にやわらかそうな胸が。それに無防備でエロイお姉さんキャラ大好きですわ。それにキリトの年齢を考えると、余計にいけない感じが増して滾るぜ。
 キリトは待ち伏せしてきたギルドDKBの一員であるモルテがギルドALSのパーティにも加わっていることに気づくが、それ以前の挿絵で両方のギルドのメンバーと一緒にいるモルテが書かれているのは、ライトノベルならではといった趣向で面白いな。もし文章だけなら、ふうん、で終わっていただろうけど、両方がイラストに描かれていたことによって、そのことに気づくとあっという驚きが生まれる。
 キバオウさん、クエストをキリトに任せるというなど妙にツンデレっぽいな、憎めないキャラだ(笑)。しかし彼は口は悪いけど、かなり公正というか、自分のギルドのメンバーのジョーという男(どうも奴が、どういった意思によってかは知らないがキリトへの悪意を煽りたてているようだ)に惑わされず、むしろジョーを叱責して、キリトを非難する言はあまり口にしていないのは仮にも攻略組のリーダー格の1人だと感心した。
 エルフの抗争という連続するクエストは、ボス攻略に必須なクエスト報酬という偽情報(ベータではそのようなことはなかった)がとびかったが、結果として解毒potを持っていくようにという情報をくれた。その情報を他の攻略組の面々にキリトが明かしたときに、それくらい当然基本として持っているから微妙な空気に包まれたという場面はなんか好きだな。