ログ・ホライズン 7

内容紹介
NHK EテレにてTVアニメ絶賛放映中!

シロエは、八兆の金貨を求めて北の大地に旅立った。
だが、そこで突きつけられたのは大規模戦闘(レイド)の予告。

アキバを頼れない状況下で、シロエがレイドメンバーに選んだのは、
自称銀河系アイドルのてとら、<円卓会議>入りを拒んだマサチューセッツ率いる<シルバーソード>、
ススキノでの戦闘に敗れ、未だシロエを恨むデミクァスら。


一度は別の道を進んだ男たちが協力し、最難関のレイドに挑む。
前人未到の地へ軍師シロエの真骨頂!!

●アニメと同キャストでおくる豪華ドラマCD付特装版! ●
〈円卓会議〉成立から数日。
シロエのギルド〈記録の地平線(ルビ:ログ・ホライズン)〉、最初の任務は理想の家探し!

 ドラマCD付の特装版を購入。Webで切れ切れに読んだときはあまり感じなかったけど、今回纏めて読んだらいいシーンがたくさんあって、すごく面白かった。
 ドラマCDは、アイザックとクラスティの戦闘シーンと、それを見て仲裁に入ったソウジロウと彼らの会話が面白かったわ。ソウジロウになぜここにいると尋ねたら、ソウジロウはそのゾーンの景色がいいからギルドのメンバーと一緒に来たのだが出てくるモンスターのレベルが高いのでレベルの低い子にはこのゾーン行けないと思っていたけど最近このゾーンは夜になるとモンスターが出なくなると気づいてこのゾーンに来たのだとここにいる理由を説明した。しかし夜にモンスターが出ないのは、実はクラスティが訓練していたからモンスターがいなかっただけで、そのことをアイザックにもしかしてとクラスティにこそっと尋ねたが、クラスティは彼らのために自分がやっていたと思われたくないから言うなとこっそり口止めしたのが面白かった。あと、仲裁に来たソウジロウが相手の視線を自分に固定する技を使ったことで、アイザックがお前にしか目が行かないと文句を言ったら、ドルチェがまあ、アイザックさんもソウジロウが云々といっていたことにも笑った。
 各チャプターの始まりの見開きページのキャラクターの紹介のところで直継やシロエのレベルが90を超えているのはちょっと嬉しかった。これは今回のチャレンジ終了時点での数値ということでいいのかな?シロエは円卓以後とても忙しかった朗からそんなにレベル上げができていないだろうしね。
 冒頭は西の長である濡羽の気持ち悪さが良く出ているわあ。元々西の情報があまり出てこないのに巨大だから不気味という感じがしていたが彼女の気色悪さも含めてますますそうした印象が強まった。しかし彼女は西の全権を自由に操っているようで、インティクスという輩に操られもしているのか。うーん、なかなか複雑ね。
 しかし直継とシロエの友情はいいねえ、言葉に出していないところをでも深く思いやっているという感じが。
 シロエは菫星との交渉をみると改めて不器用だなあと思う、そこにたどり着くまでに相当な努力を重ねているだろうに、そしてたとえ彼と会わなくても実行できただろうに金を獲得できただろうにわざわざ呼び出して真っ正直に頼みごとをするなんて。まあ、その妙な不器用さが魅力でもあるのだが。
 シロエが達成しなければと考えている目標が高いから、自らすごい縛りをつけてプレイしているようなものだが、しかしその縛りの多さとかきつさがあるから彼がその目標を達した後の光景もその成果も非常に鮮やかで大きなものになる。だから個人的には、そこに至るまで思考的にも行動的のも相当苦難の道をたどっているのだが、そうした過程よりも結果に目が行ってしまって、彼を鮮やかな策士といった風に見てしまうし、周りにもそう見られてしまっているのだろうな。 
 本物の武闘派ギルドであるシルバーソードがススキノに本拠を移したおかげで、ススキノの治安が改善されたというのは本当に良かった。今まで北の都市の治安についてずっと引っかかっていたからそれを知って安心したよ。
 てとら、見抜き云々といっていて吹いた。最近その言葉を知ったということもあり、より笑ってしまう、そんな言葉アイドル(自称)が使うなよ。そして初対面からやたらと直継へのスキンシップが激しいことに違和感を覚えていたが、最後になって実は男の娘だという真相を知り、なんか腑に落ちた。今回初登場だがてとらの個性が自然に立っているし、いいキャラだと素直に思える。それにてとらと直継との会話も好きだ。
 同一の弱体効果は蓄積しないが、別の職業クラスの弱体効果なら重なるということだから、そうした意味でもシロエ(や濡羽)のような付与術師で経験があり、優秀な存在というのは貴重なんだろうな。
 今回のフルレイドでの戦闘はすごく熱いシーンが続くから読んでいて本当に面白い。
 クラスティが武器に飲み込まれるとは今後のアキバ、円卓会議が不安定になりそうで心配だ。彼自身についてはどこに飲み込まれたとしても、それなりに刺激的な日々を楽しく過ごせるだろうとは思うのであまり心配はしていないのだが(笑)。まあ、シロエが無事に今回の計画を成功裏に終わらせてアキバに帰ることができても、まだまだシロエがやらなければならないこと、そしておそらく円卓の中では彼にしか問題の解決が図れない問題が新たに増えたな(笑)。
 シロエが死亡して、こんなにも深い後悔と無力感を味わわされてもなお諦めるなんてことは考えずに先に進もうとしているのは格好いいなあ。
 複数のレイドボスが移動してきて、一緒に攻撃してくるというゲーム次代にはありえなかった事象によって全滅した後に、シルバーソードのギルマスであるウィリアムのあふれ出る本気の言葉で、血の出るような叫びで、自分たちの情熱を、誇りを、そして逃げないという覚悟を語ることで仲間を奮い立たせるシーンは素晴らしい。本当に格好いいし、彼の言葉には心が動かされる。
 『サーバーに記録されたビットの情報になんの意味があるかって?あるんだよ、意味が。俺があるって決めたんだ。それはすごくて、素晴らしいもんだって俺が決めたんだよ。(中略)どんなにアホに見えたって、偽者じみた金ピカだって、俺が、俺たちが、それはすごいって思ったらそれはすごいんだよ。それが選ぶってことじゃねーか。俺は選んでここにいるんだ!』(P240-1)
 そして今回シロエはフルレイドでも大いに活躍しているので、エルダーテイルの世界が現実になっていても、シロエの全力管制戦闘が衰えていないことが知れたのが良かった。
 しかしシロエが懸念していた第三のなんちゃらというのは、海外編に出てたアレかねえ。だとしたらその懸念も故なき者ではないのだが。
 それと巻末のエルダーテイルMAP東日本編でのシブヤの説明を呼んで、シブヤはプレイヤータウンだけど銀行がなかったということをすっかり忘却していたことに気づいた。
 そして2014年の初春にはログ・ホライズンTRPGが出て、橙乃ままれさんがGMをやって「オーバーロード」の丸山くがねや「マージナル・オペレーション」の芝村裕吏もプレイヤーとして参加しているリプレイが発売されるということだから絶対買う。あと、ルールブックもエルダーテイルの世界観をもっと詳しく、色々と細部まで知ることができて妄想も膨らみそうだから、設定集だと思って、買うつもり。