デュラララ 13

内容(「BOOK」データベースより)
東京・池袋。この街は今まさに混沌の坩堝と化していた。首無しライダーと繋がる全ての人が巻き込まれ、決着の時を迎えようとしている。かつて親友だった少年たちは心と身体に傷を負いつつ、お互いを想いながらも対峙する。かつて犬猿の仲だった二人は、怒りを超えた最後の殺し合いへと発展していく。かつて額縁の向こうから見ていた少女は過去の自分を乗り越えるべく必死になる。かつて幸せだったはずの歪な恋人たちは、引き離されたその先の試練へと挑んでいく。そしてかつての首無しライダーは、その姿を街に誇示するように―。全ての始まりを告げたあの場所に集う時、歪んだ恋の物語が、幕を閉じる―。

 ついに第一部完結。しかしあとがきを読むと、1巻が出てから10年近くも経っているのか。初期から読んでいるわけではないから、そんなに以前から続いていたという事実には驚いてしまう。そして第二部は今回から2年後の日常冒険譚ということで、このシリーズの個性的なキャラクターが織り成す日常話はきっと面白いだろうから楽しみだ。それに個人的には日常を描いた話は大好物だからなおのこと楽しみ。そんな第二部、次の巻が発売されるのは春頃の予定ということで、今までのように1年近く間をおかずに、その日常冒険譚が始まる次作が読めるというので今から待ち遠しい。
 しかし今回は挿絵がないのがちょっと不満というか、何かあったのかと心配になる。イラストのヤマダスズヒトさんのスケジュールがタイトだったのか、それとも原稿があがったのが出版する直前だったのか。まあ、どちらにせよ、年末でいろいろと忙しかったのかな。もし、何か意図があって挿絵をなくしたのだとしたら失礼。
 静雄は、臨也は直接死んでいることを見ない限り、後に死体が見つかっても、それはフェイクで本当は生きているのではないかという疑念を抱かせる存在と述べているが、ずいぶんと歪な信頼だね(笑)。
 杏里がついに「罪歌」のことを門田たちに告白して、彼らがそろって恐怖を示さない『普通』の反応をしていることに逆に戸惑ったというが、確かに『普通』ではあるけど「普通」ではないものね(笑)。でも、杏里がそのことを打ち明けることができて、それを受け入れてくれる人ができたというのは本当によかった。
 帝人は相変わらずの一線何歩も越えたキレキレなクレイジーっぷりで、自殺しかけたときは、もう説得不可能だし、とっくに回帰不能点を越えてしまっているから(ヤクザからの恨みも買っているし、銃をぶっ放しているし)、ダラーズを自ら破滅に導き、自らの死によって幕を引こうとするこういう終わり方もある意味綺麗なオチなのかなとも思ってしまった。まあ、それでも結局彼が生き残り、そして赤林のおかげもあって、なんとか日常生活に回帰できそうな終わりだったことには、ホッと一安心。
 臨也は普段はパルクールで静雄相手に楽々と逃げおおせることができて、怪我をしている状態でも本気の静雄相手と対決してそれなりに持つどころか、怪我している状態でも静雄の攻撃食らわないどころか静雄の手数の数倍の攻撃をナイフで加えていて、さらに「最初からこうやって喧嘩してたなら……俺は、勝てたかもしれなかったのか。」(P308)なんていう感想を抱いてしまうなんて、臨也は静雄のことを化け物扱いしているけど、彼も十分以上に化け物だと思うわ。
 しかし周囲の人々が影の拘束に気を取られた隙に、臨也がいなくなっていたというのは、瀕死でも自分でさっさと逃げたと重い、それは彼らしいと笑っていたが、助けられたというだけなのか、なーんだ、それはちょっと残念。
 今回は第一部のクライマックスというだけあって物理的に満身創痍の人間がたくさんいるなあ。