1月に読んだ本のまとめ

2014年1月の読書メーター
読んだ本の数:15冊
読んだページ数:5316ページ
ナイス数:487ナイス

絶海ジェイル Kの悲劇’94 (光文社文庫 ふ 24-2)絶海ジェイル Kの悲劇’94 (光文社文庫 ふ 24-2)感想
イエユカシリーズ第2作。今回は主にイエ先輩の視点で進行していく。共に監禁された亀井伯爵の令息が殺されないように散々かばって自身が恥辱を受けているのを見て、今までもっと冷淡な人だと思っていのが恥ずかしくなるほど、気高く優しい人だと気づく。そしてイエ先輩に散々恥辱を受けさせていた、波乃淵の末路にはスッとする。
読了日:1月31日 著者:古野まほろ
実録 ドイツで決闘した日本人 (集英社新書)実録 ドイツで決闘した日本人 (集英社新書)感想
現在でもドイツの学生結社の一部では、刃渡り90センチの真剣を用いたメンズーアという決闘が合法とされ現在も行われている。メンズーアでは、目を保護するために鉄製のめがね状のものをきつく締めて、上半身や腕にもしっかりと防具をつけた上で、片腕に剣を持ちその剣で相手の頭部に向けて切りつけ、打ち合うもので、その時に体や顔を動かすと「臆病で卑怯な態度をとること」(ムッケン)とされて失格となる。また決闘での傷は麻酔なしで縫い付けられ、そして決闘の傷は名誉なものとされるため、わざと刀傷を鮮やかに残すように縫合する。(続く)
読了日:1月31日 著者:菅野瑞治也
英国王室史話〈上〉 (中公文庫)英国王室史話〈上〉 (中公文庫)感想
イングランド王家がライオンの紋章を使い始めた当時は、同じデザインだけど、ライオンではなくレオパード(豹)だったというのはちょっと笑った。なんで同じデザインで表す動物が変わるの(笑)。また、有名なマグナ・カルタは、調印後2ヶ月で一度破棄されていたというのは知らなかった。ヘンリー六世の王妃マーガレットは、夫であるヘンリー六世が捕まっても統率力を発揮して各地で転戦した上、王を救出してスコットランドに逃れて、その10年後ヘンリー六世を一年だけとはいえ、王に復位させたというのはすごすぎる。
読了日:1月31日 著者:森護
聖書を語る (文春文庫)聖書を語る (文春文庫)感想
イスラム世界では売春は死刑だが『エスコートクラブなどは売春クラブではなく結婚紹介所とみな』して『エスコートクラブで紹介された女の子と三時間結婚して五万円の慰謝料を支払って離婚する』(P43)「時間結婚」という裏道は(無駄に頭を働かせているのが)面白い。聖書では元々マリアは年頃の女と書いてあったのが、ギリシア語訳された時に処女と誤訳された。そして福音書にはイエスには弟が居たと書いてあるのに、正教会は弟なのになぜかヨセフの先妻の子供ということにし、カトリックは誤訳問題に踏み込まず、弟が居たことを黙殺している。
読了日:1月30日 著者:佐藤優,中村うさぎ
オシムの言葉 増補改訂版 (文春文庫)オシムの言葉 増補改訂版 (文春文庫)感想
新たに11章が追加。イタリアW杯ではユーゴ代表がPK戦にもつれた時、PKを外したらメディアに、単なるバッシングでなく、民族間の溝を深めるような宣伝として利用されかねなかったのでキッカーをやりたがらなかった。今回読んで、選手たちがキッカーを避けたい気持ちが、単に外したら嫌だなとかでなく、非常に重いものだったということに気づく。そして11章で、オシムはそのW杯優勝できていたら戦争は避けられたのではないかと考え、自責の念を持っていることを明かされ、そんな重いものを背負っていたのかと、ハッとさせられる。(続く)
読了日:1月30日 著者:木村元彦
若き日の哀しみ (創元ライブラリ)若き日の哀しみ (創元ライブラリ)感想
「陽のあたる城」牛を見ているように頼まれていたのに一頭の牛がいなくなってしまい、この世の終わりみたいな気分になり、どうしようどうしようと思って、「見つからなければ、旅に出て二度と戻らない」とか「見つからないうちは戻らない」と考えて、悲壮な気分になるとともに、仕出かしたミスよりもずっと大きく自分を罰する想像をすることで、そんな悲壮な気分になっている自分を哀れんだり、どこかへ行くと想像することで少しの期待をする。そんな忘れていたような子供の頃の感情の動きや揺れが実に見事に描写されていて、すごく魅力的だ。
読了日:1月30日 著者:ダニロ・キシュ
アナバシス―敵中横断6000キロ (岩波文庫)アナバシス―敵中横断6000キロ (岩波文庫)感想
ペルシア軍より先に山頂を占めようとクセノポンは兵士たちを叱咤して急がせていたが、ある兵士が私たちは盾を持って疲れており、あなたは馬に乗っていて条件が平等でないと文句を言ったため、馬から飛び降りその男の盾を取り上げ早足で歩き始めたが、騎兵用の胸当てをしていたので直ぐにペースが下がり、かえって行軍の邪魔になったので、他の兵士たちはクセノポンの言葉に反駁した男を殴りつけて再び盾を持って歩かせ、再びクセノポンは馬上の人となり、行けるところまで馬に乗って進んだという挿話はその締まらなさがたまらなく面白い。(続く)
読了日:1月29日 著者:クセノポン
マージナル・オペレーション 02 (星海社FICTIONS)マージナル・オペレーション 02 (星海社FICTIONS)感想
今回は舞台が日本ということで主人公アラタの活躍も控えめ。しかしアラタは変に経験を積んだから、フツーの日本人に対して内心で見下しているようなのは少し辟易してしまう。購入したばかりのクロスボウが使えるかどうかを早めにチェックするためとはいえ、政府の人間から尾行(監視)されるのがわかっているのにラブホテルにいってそこでチェックしていることには笑ってしまった。日本からさっさと出国しなければならないことにはなったがそれなりの稼ぎも得たし、新たに大人のメンバーも幾人か加わるなど、それなりの成果もあったようでよかった。
読了日:1月28日 著者:芝村裕吏
デュラララ!!×13 (電撃文庫)デュラララ!!×13 (電撃文庫)感想
第一部完結。第二部は今回から2年後の日常冒険譚ということで、このシリーズの個性的なキャラクターが織り成す日常話はきっと面白いだろうから、次巻発売予定の春が今から待ち遠しい。帝人は相変わらずの一線何歩も越えたクレイジーぶりを発揮していたので、もう日常生活に回帰することは不可能なのではないかと思ったが、最後にはなんとか日常生活に復帰できそうな終わりだったので、ホッと一安心。
読了日:1月27日 著者:成田良悟
大飢饉、室町社会を襲う! (歴史文化ライブラリー)大飢饉、室町社会を襲う! (歴史文化ライブラリー)感想
大きな富を持つ有徳人は相応の徳を社会に示す必要があると考えられていた。そして飢饉の時などに有徳人が窮地を救うために何らかの行い(例えば、地域の有徳人が賦課を建替えるなど)をするのが当然であるという考えが浸透していた。そうした考えが応永の大飢饉の後は、為政者から民衆に一方的に施されるものであった徳政にも及び、徳政は民衆の側から蜂起をして要求されるものとなった。(続く)
読了日:1月19日 著者:清水克行
新約 とある魔術の禁書目録 (9) (電撃文庫)新約 とある魔術の禁書目録 (9) (電撃文庫)感想
オティヌスは自らの都合のいい世界を作れるとはまさしく神の所業だな。流石にここまで人外だとは予想外。彼女は上条に絶望的な、上条が世界の無用者だと感じさせるような、世界を多々味わわせる。そんな中で色々懊悩しつつも最後には、なおもヒーローとしての性質は失わずに前に進む決断をする上条さんの精神的な成長を描く巻という感じ。オティヌスはそれを彼に絶望を与えるためだといっているが、俯瞰してみると成長のための試練を与える神にも見える。(続く)
読了日:1月14日 著者:鎌池和馬
ゲート―自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり〈3〉動乱編ゲート―自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり〈3〉動乱編感想
ロンデルという街は『当時はまだ亜神だった学問の神、エルランとラーによってつくられた私塾が礎となった』(P68)ようだが、「神の私塾」という単語には思わず笑ってしまった。ヤオはロゥリィに言われ、幸運に『ご縁』があるからと五円玉を持っているようだが、亜神なのに違う世界の迷信を勧めていいのか、ロゥリィ(笑)。しかし皇帝は最後の出番でそれまでの態度と大きく変わっていたが、何かしらの策があるのかしら。
読了日:1月13日 著者:柳内たくみ
明治断頭台  山田風太郎ベストコレクション (角川文庫)明治断頭台 山田風太郎ベストコレクション (角川文庫)感想
明治四年の近代的な警察機関が出来る以前、復古的な弾正台がその役割を担っていた頃を描く。川路利良平安時代のような格好の香月経四郎の弾正台の大巡察コンビが主役。最後の「正義の政府はありえるか」は素晴らしかった。香月の告白によって以前の伏線とは全く思わなかったエピソードが伏線として機能するという鮮やかさは痺れる。序盤に無頼漢の羅卒たちが酒を飲みながら、何か大きな目標に命を捧げたいという気持ちを語っていたが、単なる愚痴と思っていたので、最後に彼らが実際に命を賭けた場に立って百人力の活躍をしていることに感動。
読了日:1月11日 著者:山田風太郎
世界屠畜紀行 THE WORLD’S SLAUGHTERHOUSE TOUR (角川文庫)世界屠畜紀行 THE WORLD’S SLAUGHTERHOUSE TOUR (角川文庫)感想
今まで屠蓄の仕事や屠蓄業の人を色眼鏡で見るような態度は根本的にはかつての差別から来ていると初めて知った。最初は「部落解放」で連載されていたから過敏に反応しているのかと思った。しかし日本、韓国、インドのようなかつて屠蓄業の人が被差別階級だった地域では現在でも偏見があるのに対してアメリカ、チェコイスラム圏、モンゴル、バリ島の人々は少なくとも国民レベルでは屠蓄職人の仕事に否定的な印象を持っていない。そのことを見ると確かに日本、韓国、インドでは屠蓄業の人への偏見は強く、それはかつての差別の名残なのかもと感じる。
読了日:1月8日 著者:内澤旬子
図解 牢獄・脱獄 (F-Files No.029)図解 牢獄・脱獄 (F-Files No.029)感想
流刑は明治になってからも旧刑法にも書かれており、完全に廃止されるのは明治41年(1908年)に現行の刑法が出来てからということで、つまり20世紀初頭まで流刑という刑罰が存在していたというのは驚きだ。6章の「脱獄者たち」では現実に起こった事件や、有名な小説(アルセーヌ・ルパン、「モンテ・クリスト伯爵(岩窟王)」)などで用いられた牢獄から脱出するためのトリックを紹介している。それは面白いんだけど、5章の「脱獄の手口と対策」で書かれたことと重複している箇所がいくつもあるのが少し残念。
読了日:1月7日 著者:牢獄研究会

読書メーター

ラ////
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「アナバシス」はノンフィクション換算。



ライトノベル 4
小説 3 
ノンフィクション 4
歴史 2
その他 2

 1月はろくに本を読めなかったので、今月はもうちょっと読めるように頑張りたい。


1月に読んで特に面白かったもの
「実録 ドイツで決闘した日本人」

実録 ドイツで決闘した日本人 (集英社新書)

実録 ドイツで決闘した日本人 (集英社新書)

 ドイツで現在もメンズーアという決闘が行われているなんてまるで知らなかったので、知らなかった意外な世界をかいま見れて面白かった。
「明治断頭台」 最後の展開が抜群に面白い。
「世界屠畜紀行」
世界屠畜紀行 THE WORLD’S SLAUGHTERHOUSE TOUR (角川文庫)

世界屠畜紀行 THE WORLD’S SLAUGHTERHOUSE TOUR (角川文庫)

 屠畜のことについて詳細、そして明るく書かれているのはいいね!
「アナバシス」
アナバシス―敵中横断6000キロ (岩波文庫)

アナバシス―敵中横断6000キロ (岩波文庫)

 数年来読みたいと思っていた本だが、ようやく読むことが出来てよかった。