勝負 剣客商売 11

剣客商売〈11〉勝負 (新潮文庫)

剣客商売〈11〉勝負 (新潮文庫)

 

内容(「BOOK」データベースより)
その試合「負けてやれ」。秋山大治郎が義父・田沼意次から一刀流の道場を構える谷鎌之助との試合を命じられた経緯を報告すると、小兵衛は即座にそういった。鎌之助はその試合に仕官がかかっていたのである。勝負を前にして苦悩する大治郎には、まもなく初めての子が授かろうとしていた…。初孫・小太郎の命名をめぐる小兵衛の意外な一面など面白さがいよいよ冴えるシリーズ第11弾。

 このシリーズの感想を書くのも遅々として進まないなあ。
 「剣の師弟」大治郎が修行に出たのは、父である小兵衛から勧められたとかそういったことではなく自分から願い出たのだったのか!
 しかし「しかし大きな声ではいえぬが、これはもう、徳川の世も長くあるまいな」と小兵衛に言わせているが、こういう予言的なことを言わせるのは、流石小兵衛だ!と感心するよりも、造り物だと改めて思ってしまい冷めてしまう。
 「初孫命名」小兵衛が野グソをしていたところ、まだ埋めてもいないのに、近くに男が2人きて、浅野幸右衛門の遺金目当てに秋山小兵衛の家に強盗をする話をしたが、そのうちの1人の「先生」と呼ばれている浪人もその臭いに特に気づいた様子がないくらい鋭敏さに欠けるようなので、もう実際に戦闘に入る前からもう勝ったなという感じだ(笑)。
 しかし浅野幸右衛門の金は隠宅に保管しているわけではなく、別の場所にあるということに驚いた。どんな隠し場所なのか気になるなあ。小兵衛が考えて隠したのだから、相当見つかりにくい場所だということはわかるが。
 「助太刀」「女武芸者の杉原秀から、小兵衛がゆずり受けた手裏剣術の剣術で使う飛び道具」である蹄という鉄片を小兵衛が普通に戦闘に使っているのは、飛礫を使うのだから使えても不自然ではないが、本当に何でも使えるのね(笑)。それの使い方の修練をろくにしてないだろうに。
 「小判二十両」小兵衛、小野田万蔵を、自分の恩人の息子とはいえ見逃すのは、普段の自分と関わりない事件でもわりと積極的に動いているところをみるとちょっとどうなんだろうとは思うなあ。まあ、そこが人情味があるともいえるけど。しかし異母兄弟で互いを気づかず、そういう状況になっているとは、なんという偶然なのだろうか。そうした奇妙な事情もあるから、そうした行動に出たという面もあるのかな。
 「彼女の台詞の語尾がかならず「よう」になるのは、じつに愛嬌があって」と解説にあるが、その語尾が可愛らしく感じる人もいるのかと認識を新たにした。正直特徴的な語尾はライトノベルなどで乱用されることも多いので、苦手になっていたから、可愛いとかどうとか感じる前に引いてしまう癖が付いていた。