僕と彼女のゲーム戦争 3

 杉鹿まどかの加入で、ようやく四人のメンバーを揃えることができた、現代遊戯部。ついに夢への第一歩を踏み出した彼らが向かったのは、ジャパン・ゲーム・バトル・チャンピオンシップ――通称JGBCのチーム戦が開催されている会場。
 チーム戦ならではの難しさに直面しながらも奮戦する現代遊戯部の面々! そして岸嶺は試合会場で、意外な少女と運命の出会いをするのだった……!?
 電撃マオウ7月号(5月26日発売)からコミック連載も決定した、いま注目のシリーズ。第三巻となる今回も、あの人気ゲームが実名で登場するぞ! 乞う、ご期待!!

(電撃ドットコム電撃文庫トップ新刊/既刊情報僕と彼女のゲーム戦争3
 より)

 折りたたみのカラーイラスト、瀬名先生がケッとでもいいそうな表情をしてやぐれているのは子供っぽくて思わず笑みが浮かぶ。
 『ミステリーの中にも古典だとか真本格だのとジャンルはいくらでも細分化する。』(P17)とあるけど、新本格じゃなくて真本格なのは誤字なのか、それとも僕が知らないだけでそういうジャンルがあるのかどうだろう。
 天道、<宵闇の魔術師>的な名前が好きだから、自分たちもそうしたものを付けたいと感じて、岸嶺に<魂の転生者>なんてひどく中二っぽい名をつけようとするセンス(笑)。そうしたものに痛々しさを感じず格好良さだけを感じるのはある意味世間からずれているお嬢様っぽくもあるね。しかし直前の発言で、部として参加している以上チーム名が「伊豆野宮学園現代遊戯部」以外の名前は有り得ないと言っているのに、舌の根が乾かないうちにそんな名前をつけようとしているのには笑う、どちらも同じようなものだとも思うのだがなあ(笑)。それから、その後も「キミには必殺技の<魂転生>があるじゃないか」(P238)というなど、どうも彼女の中ではその名前で決定しているようだな(笑)。
 大会時にガーディアンヒーローズで、岸嶺はランダムで弱いキャラらしいローパーを使うことになったが、その対戦の模様が描かれているが『相手が弱い立場に陥ったと見るや、すかさず襲い掛かる触手モンスターという構図は、考えてみると結構ひどかった』(P41)という地の文には笑った、襲い掛かったのが女キャラだからなおひどいが、指摘されなければそんなこと気にならないのに、言われたら笑うのをこらえきれない(笑)。
 前回の引きから幼馴染キャラが図書館の子だということは予測が付いていたが、まさかその新ヒロインである幼馴染の鷹三津宮美に声優という属性をつけてくるとは想定外だったわ。それでカラーの瀬名先生の表情がわかったわと思ったら、どうもその後を読んでいくと瀬名先生には知られていないようだな。まあ、知られたら瀬名先生がひどいことになるだろうし、もし知られていた状態でカラーのようなことをしていたらもっと殺意の波動がでているだろうなと思って納得した(笑)。
 しかし鷹三津、出会って早々の鈴鹿に好戦的な態度をとるなど、十数年ぶりに再会した幼馴染になんで既に恋愛感情を抱いているのか、そして出会って数日なのに彼の周りに女性が多いことにジェラシーを感じているのかが不思議だったが、それは、お嬢様学校で培養された結果、彼女の中の岸嶺像が理想化していったとか恋愛に対する憧れとか想像で、身近で好意を持っている男性といったらまず第一にあがるのが、かつての親友の(当時から幼い恋愛感情があったのかもしれないけど)岸嶺ということなのかな。
 そして部室についにエアコンが導入されたか、きっと裏で瀬名先生がエアコン獲得のためにいろいろとゴリ押しというか、うざいほどのアピールをしていたんだろうことが容易に想像ができ、またその光景が眼に浮かぶよ(笑)。
 あと生徒4人になったから、瀬名先生がはずされて解説役にスライドしそうな雰囲気になっていたが、瀬名先生のゲームでの見せ場が欲しいから、まだまだ瀬名先生には主要メンバーで居てもらわないと、と思っていたので、鷹三津が仕事上の都合もあるためあまり大会での参加ができなさそうなのは個人的にはよかったかな。どうも今巻を読んでいると瀬名先生には指揮適正、指示の上手さがあるようだが、最後に「白衣を着た顧問教師とか(中略)少なくとも目立っていなかったわね。」と言われているのは上手いと言われないという事実には、思わずホロリ(泣)。
 そして鷹三津の歓迎するためにともにゲームをやるときに、今回は「ファミリーフィッシング」というゲームで遊んでいるが、こうした非バトルゲームでわいわいやっているのをみるのも面白いよね。それに毎度毎度大会などでの対戦で勝敗競うだけでなく、こうしたゲームやそうじゃなくても普段の部活での練習なども見せてくれると嬉しいかな。
 しかし鈴鹿と鷹三津の間で右往左往している岸嶺を見ると、浮気がばれて焦っている男のようで情けないわあ(笑)。
 駿河学園電子遊戯研究部、チーム戦のライバル的な存在になりそうだ。ラストやあとがきを見ると、次回に格闘ゲームで彼女らと対戦することになるようだ。しかしこの学校もお嬢様学校のはずなのに、部長の一条が、主人公らと対峙するJGBCの今回のゲームである「エースコンバット」を妹がやったことないことを知ったら、頭を抱えて「我ながら育て方を間違ったわ。こんなことならもうちょっと色んなゲームさせとけばよかった」なんていっているのは面白い、そんな発言を見てみいると主人公たちが通う伊豆野宮学園よりも浮世離れしていないようだね。
 しかし天道の中二的なセンスを素直に格好いいと感じ、仲間にそうした名前を付けようとしたり、駿河学園電子遊戯研究部が彼らを挑発して対決をふっかけてきたのが、物語のライバル関係みたいだということで非常に嬉しそうなのが子供っぽくてひどく愛らしい。生徒会長などという肩書きもあり大人っぽい人なのかなとも思っていたが、ようやく彼女の本質はそうした子供っぽさにあることに気づいた。
 そして岸嶺、ゲームを触り始めて日も浅く、こうしたジャンルのゲームを十分に練習できていないのに、駿河の部長・一条に「やるわね、こいつ!あたしが撃墜できないなんて!」といわれるなどそこそこ上手さを見せているのは、彼の成長はすごいな、それとゲームと一体になるような状態でなくても集中力が高いからそうして成長に目覚しいものがあるのだろうな。
 そしてラスト近くで毎回恒例となった着替えを岸嶺が見てしまうシーン、今回は当然新たにヒロインになった鷹三津の着替えシーンだが、もうこうも毎回同じだとエロいとかよりも先に思わず笑いが漏れ出てしまうよ。
 しかし岸嶺の極度に集中してゲームに入り込んでしまう状態が、鷹三津いわく「JGBCではよくあることですから」ということだから魑魅魍魎が随分大勢居るのだな。
 そして最後に天道がいるのに鷹三津が司会云々といっているが天道は驚いた様子がないから、天道は鷹三津が声優だということは知っているのか。それが生徒会長だから知っているのか、瀬名先生に伝えないだけで、同じ部員である鈴鹿も知っている(打ち明けている)のかどっちだろう。