僕と彼女のゲーム戦争 6

内容(「BOOK」データベースより)
1泊2日のゲーム合宿である「学校対抗戦」に参加した現代遊戯部の面々。岸嶺以外はみんな女子という状況で、初日の個人戦の日程を終了する。その夜、岸嶺は持っていた写真を巡って、天道とぎくしゃくしてしまう。そして合宿2日目。チーム戦でゲームをプレイをする中、天道は昨夜のことが気になりゲームプレイに精彩を欠いてしまう。いつもと様子の違う天道を気に掛ける杉鹿は、ゲーム中にチャットを用いて天道に話し掛け、状況を打開しようとするのだが…。今回はチームワークが鍵になる団体戦。実在ゲームで熱いバトルが展開されるぞ!

 折りたたみカラーの甲斐ヶ原の部長の<吹き抜ける風>のイラスト、前回東方でチルノを使用していたので彼女の髪色が青なのがちょっと笑える。しかし鈴鹿の金髪はたびたび言及されているのに、鷹三津のピンク色っぽい髪とか彼女(今回見たら、駿河坂の白滝も青色か)の水色の髪がなんともいわれないのはなんでだろうと一瞬思ったが、こうした絵の髪の色で青色の髪だったら黒、赤色も茶髪というのがお約束か。もっと黒っぽい、茶色っぽい青や赤色なら違和感がないが、そうでないと今回のように一瞬なんでこんな色と疑問符が浮かんでしまう。そしてその折りたたみイラストの裏面にCiv5とあるのを見て、今回はそのゲームやるのかと知り、Civニコニコ動画の三元とか10元のマルチプレイの動画がとても面白かったということもあり期待感が高まる!
 そして前回の展開からしてそうだと思ったが、ついに天道が岸嶺を意識しはじめ、ようやくヒロイン化したか。しかし、まあ、彼女くらいはヒロインにならなくても良かったかなという気もするけどね。いや、嫌いとかではなく女性キャラを全員ヒロインにするのはちょっとなあと感じてしまうから。あと、正直天道が最終的に岸嶺とくっつくのがいまいち想像できないというか、最初に出てきたからという理由以外でそうなる理由が無いように見えるから、ヒロインレースに参加して傷ついたりしているのが見たくないというのもあるなあ。
 祗方院「わたしたちがプレイするゲームを用意したんじゃ公平性に欠けるもの」といっているが、前日に岸嶺と一回戦で当たるようにして落とそうとしたり、彼に負けるようにと言った人間が言う台詞ではないなあ、「公平性」云々という言葉は、まったく開いた口がふさがらないよ(苦笑)。
 駿河坂が今回も挑発してきたが、甲斐ヶ原がだいぶアレだったから、そうした彼女らの登場には癒しを感じる。まあ、元々わりと好意的に見ていたけど、主催校の副部長がアレやったということもあって、彼女らが登場するとホッとするレベルにまでなった(笑)。
 「ゴースト・リコン・フューチャー・ソルジャー」をやっているときにまた岸嶺はゲームの世界に入り込んだが、1巻の頃は性格までその入っている役に合わせていた気がするが、いつの間にか入ってもキャラへの同化はないのに、躊躇なく戦えているのは能力が微妙に変化しているのではないかという気がしないでもないのだがどうなのだろう。
 しかし岸嶺はどうやらCivのセオリーまである程度ちゃんと知っているようなのは、どれだけの知識を短期間で詰め込んでいるんだよと毎回つっこみたくなるが、天道、鈴鹿、岸嶺の3人は3年でJGBCという目標が出ているため、1年以内に多数のゲームを操作し戦えるようにならなければ行けないというのだから物語の都合的に仕方がないのかなあ、まあ何でCEROコードがあるから、多くのゲームを登場させるには18になっていたほうがいいから3年なんだろうけど、それと素人からはじめるというはじまりと、(猶予一年で)全国優勝を目指すというのは、よく考えてみるといまいち食い合わせが悪い気がするなあ。
 それとCivツンドラに鹿の戦略資源が置かれていることに関連して『実際、ツンドラに住む人々は落とし穴を作り、そこに小便したという。すると塩分に惹かれてやって来た鹿が簡単に落ちるので、それを食べて生活していたらしい。』という豆知識が書かれていたが、その豆知識はちょっと面白いな。そして岸嶺、援軍が望めない地理的条件だからって「とほほ」と口に出して言うのは珍しい(笑)。
 Civマルチプレイの三原則「1、軍事ユニットを作れ。/2、軍事ユニットをもっと作れ。/3、軍事ユニットは十分作ったか?じゃあもう少しだけ作れ。」というのは軍事ユニットばっかで笑えるし、それがいかに重要なのかもわかるいい評語。
 岸嶺を場所的に仕方ないことだが一人でがんばってくれといわれて悲鳴を上げているが、天道は「今日だけはそれが少し楽しく感じられ」たというのは、自分が困っている原因である岸嶺が困るのを見て、S的な喜びを感じているのは(たぶん本人にとっても)意外な側面だろうから、新境地開拓って感じでいいね(笑)。
 岸嶺がプレイするイギリスに隣接している3カ国が全部同一チームで四面楚歌上体なのは笑えるが、それを外交(謀略)でどうにか打開しようとしているのは燃えるなあ。ニコニコ動画マルチプレイの動画もそうだけど、素人が見ているとやっぱり外交で二枚舌、三枚舌などを駆使したりしているのを見るのはやはり魅力的だ。
 祗方院、甲斐ヶ原のチームの各国が攻め込まれているのを見て直ぐに他の国がどういうチームわけになるのかを見分けられるのは頭の回転が速くてすごいね。
 甲斐ヶ原が初期の配置的にいい場所を引いたというのもあって、終盤では他の2陣営から戦争を仕掛けられまくっているのを見て、前巻からのイライラがいまだに残留していたので、ようやく溜飲が下がる気分だ。
 瀬名先生は前回、今回とやたら人間(恋愛)関係についての助言をしたり、ネームドキャラとかモブでメタ発言をしたりという今までのイメージにあまりないことをしていたが、それには『このところゲームに参加できないおかげですっかり薄くなった影をどうにかしようと思ったらこれだ!』(P209)という理由があったのね、まあ、これもメタっぽい発言だが。
 それから前回と今回で思ったんだが、意外と鷹三津はセガ意外のゲームでも普通に上手なんだね、セガ以外のゲームは下手というピーキーなキャラかと思っていたよ(笑)。
 しかしおそらく甲斐ヶ原の面々の前で「声優」とか「ゲーム大会の司会」とか言っているが、それって秘密じゃなかったの。瀬名先生も知らないからてっきり秘密なことだと思っていたが、どうだったっけ。しかし瀬名先生が学校で盗聴をしているという驚愕の事実を知ったということもあり、今回多幸の生徒の前でぽろっといっている程度の秘密なら瀬名先生に知られていそうなものだが。
 しかし最後で祗方院が自分たちだけになったとき悔しさをあらわにしていたり、甲斐ヶ原の部長<吹き抜ける風>には普段「猫被り」をしているということが知られているとわかりチーム内では、おそらく素の性格が知られているのだと思うとちょっといやな奴という意識が弱まった。そして<吹き抜ける風>(本名:権田原茂美)は<宵闇の魔術師>(本名:権田原茂男)の妹だったのか!それは意外な繋がりだったわ。そして宵闇の魔術師も妹には甘いのか、妹について「いささか子供っぽいところが弱点」とその性格を「いささか」子供っぽいで済ませている(笑)。
 そして夏にはJGBCの月2回参加の制限も撤廃されるという特別の規定があるのか、うんゲームを売りたいという思惑がよくわかる制限の撤廃だ(笑)。
 次回は「電撃文庫マガジン」に連載していたものをまとめた短編集だということで、本編よりも多彩なジャンルのゲームが描かれていそうなのでとても楽しみだ。