池上彰の選挙と政治がゼロからわかる本

内容(「BOOK」データベースより)

95のダイジェスト解説で、日本の政治の「いま」が見える!「衆議院参議院」「派閥」「二世議員」「政権選択選挙」「マニフェストと公約」「1票の格差」…。おなじみのわかりやすい池上解説で、今さら人に聞けない疑問をすっきり解決。税金をムダ遣いせず、有効に使う政治家を、賢く見抜くための本。あなたの投票で、世の中は変わる!

 帯に「投票前に知っておきたい」と煽り文句が書かれていたし、発売された時期的にも選挙前に読んでもらおうとしていたのであろうし、僕も選挙前に読んでみようかなと思って買ったのだが、その時はあまり本を読めない時期だったので結局読み始めたのは選挙後という体たらく(苦笑)。
 冒頭の「文庫版に寄せて」で民主党政権は高校の授業料を無償化したことが書かれてあるが、そういうところは良かったところだなと評価できる。だけど大学についても何らかの助成があったらより良かったね。と最近日本国が先進国でも屈指に金を高等教育に支出しない国だと知ったので、ただでさえ高齢化が進んでいるのに国の先行き不安だからそうした点を改善して欲しいと思い始めている。
 中国では最近になってようやく、日本でいう町内会長を選ぶようなレベルでは選挙が行われ、共産党が指名した人以外でも立候補できるようになったというけど、最近になってようやく町内会長レベルの選挙というのは突っ込みたくなるわあ、そこに立候補できるようになったからって意味があまり(笑)。市町村レベルでもまだ自由な選挙が行われていないというのは思ったよりも中国は民主化されていないんだな。経済的にはかなり開放されているから、民主化も省とか国のレベルでは選挙が行われていなくともそれ以下のレベルでは選挙が行われているのだと勝手に想像していたので、まだ町内会長レベルでしか自由な選挙がないというのは意外だ。
 選挙は人々の不満を解消するガス抜きの役割を果たしているから、民主主義の国では暴動はあまり起きない。暴動が起きるような国には選挙などの不満というガスを抜くための安全弁に問題があるというのは、当たり前のことだが言葉で簡潔に表されて改めてなるほどと納得。
 中選挙区制だと過半数以上を獲得するためには、同じ地区で複数の候補を立てなければならない。そのためその選挙区で同じ党(自民党)の候補同士が争わなければらなないため、その選挙区の候補同士の仲良くとは行かないので党の中でも違うグループに入る。そのグループが派閥でそのため党の中に多数の派閥が生まれ、派閥同士が争うことになった。
 『首相がいないで大統領だけでの国家は少ないのですが、代表的な例はアメリカです。アメリカの大統領は、国家元首であると同時に、行政の長でもあります。国防長官や国務長官などと呼ばれる大臣たちを集めて閣議を開いています。ほかの国ではふたりに分かれている役割を独占しているのです。』(P71)大統領制といったら真っ先にアメリカが思い浮かぶけど、アメリカの大統領制は一般的な大統領制とはまた違うものなのかとちょっと驚き。
 国会議員が「国会報告」の資料を作成し、選挙区の有権者に郵送すると1回の印刷に数百万円かかり、1万人に配布するときって代だけで80万円かかるので、年間に何度も発行すると莫大な金が消えるとあるけど、メールとかではいけないのかなあとちょっと思ったが、やっぱり紙媒体で配った方が読む人が多いとかそういった理由があるのかな。まあ、個人的にも長くて難しい文章を電子媒体で読むと紙で読むよりも目が滑るからそういった理由であるならばわからなくもないけど(笑)。
 都道県議会議員や市町村議会議員は別に仕事を持っていてその合間に議員活動をする人が多いため、年間出席日数が100日未満のところが多いというのは知らなかった。でも、考えてみれば、そんなところに議員になるような人が年中拘束されているというのも非生産的だから納得。
 『2012年の選挙では、民主党オバマ共和党ロムニー合わせて26億ドル(約2090億円)を使ったとみられています』(P155)アメリカの大統領選挙には尋常じゃないくらいの金がかかるということには驚いた。