デュラララ SH

内容(「BOOK」データベースより)

ダラーズの終焉から一年半。池袋は今、新しい風を迎えようとしていた―。首無しライダーに憧れて上京してきた『化け物』扱いされている三頭池八尋。首無しライダーの存在を金に換えようと目論む琴南久音。首無しライダーを取材して行方不明になった姉を持つ辰神姫香。それぞれの想いを抱えた三人が来良学園に入学し出会い、非日常は再び始まる。一方、池袋では、首無しライダーに絡んだ者が消えていく事件が起きていた。そこに巻き込まれていくのは、失踪した兄を持つ双子の姉妹、いまだ不良グループの中心人物として居座る少年、そして池袋最凶と恐れられるバーテン服の男。


 前巻であるデュラララ13巻から2年後の池袋を舞台としている。メインキャラクターは新たに高校一年生となった新キャラだというのは、なんとなく本編後の短編詰め合わせだと思っていたので、ちょっと予想外だった。ただ、前回のあとがきの内容は読んでいる時点で忘れているので、前回の時点でそういう風になるというアナウンスが既になされていて、そのことをすっかり忘却をしているという可能性も否めないが。ただ、メインが新キャラたちといっても彼らの周囲の人物として、これまで登場してきたキャラクターが非常に多く登場してきて、新キャラたちの視点で既存キャラに対する新鮮な印象が語られているのはよかった。そして、てっきりエピローグ的に1冊で終わるのかと思いきや、今回は1冊で終わらない上に、このエピソードが終わった後も、その後は1冊完結ないし連作短編という形でシリーズとなるということで、今後とも楽しみだ。ただ、今回は次巻へ続くということで、次巻まで相当間が空くだろうから、覚えていられるか心配だ。
 プロローグでの折原舞流の「ついこの前まで一年だと思ってたのに、もう三年だよ、三年。まだ3ヶ月ぐらいしか経ってないみたいに感じるよ」(P33)というメタ発言(前巻が1月発売)にはちょっと笑った。ただ読んでいるときは前回いつ発売だったっけということがとっさに思い出せず、今感想を書いているときに検索してメタでよかったんだよね、としらべたのだけど(苦笑)。
 首無しライターを取材していて失踪した女性ライターが、首無し馬をシューターと呼んでいたから首無しライダーはデュラハンじゃないかという噂話はあるが、そんな小学生みたいな安易な渾名はつけないと一蹴しているのは思わず笑った。
 平和島静雄の噂で『曰く、ネブラ社製のボールペンだけが彼の筋肉を貫ける。』(P151)とあって、以前アニメ化されたときにそれがネタになっていたことを思い出し笑った。そーいえば読んだのは結構前だから細かいところまでは覚えていないけど、原作小説のその場面にあんなに深々と刺したみたいな記述ってあったんだっけ?
 図書委員長(留年した帝人)が、何も知らぬ一年の女子から「あの眼鏡をかけたカッコイイ感じの先輩」とか大人っぽいとか言われているのは、なんかイメージと違い、現在の帝人がどうなっているのか、彼の話が読みたくなってくる。
 露西亜寿司、入学祝の学割とはいえ1人前380円のセットがあるというのは思わず目をむき、小説の中の話とはいえ、経営が心配になってくる。
 三頭池八尋、静雄とガチンコでいい勝負ができるレベルとは尋常じゃなく強いな。琴南久音は、なんでも自分でコントロールできると思っているというか、優秀すぎて刺激不足でなやんでいるような人間だが、メイン・キャラとなるのだから、今後はこのキャラがどう変わっていくのかちょっと興味ある。
 そして竜ヶ峰は非日常から脱却して堅気(?)に戻った、戻れたということなので本当に良かったわ。