クトゥルフ神話TRPGリプレイ るるいえあんてぃーく

内容(「BOOK」データベースより)

空手が特技の高校二年生、樋口さやか。彼女は放浪癖がある叔父に頼まれ、今日も骨董店「るるいえ堂」の店番をしていた。寄せ木細工の小物入れ、金の象嵌がきれいなブローチ、ちょっと気味の悪い油絵、外国語で書かれて読めない古い本、大昔の石板、羊皮紙の巻物―なにやらいわくありすぎな感じの品々に囲まれながら今日もさやかは店番中。そんなさやかのもとに今日も奇妙な客が―。



 ニコニコ動画ではクトゥルフTRPGのリプレイ動画は結構見ているけど、書籍になっているものを見たことはなかったので前々から一度読んでみたいなと思っていたのだけどようやく読むことが出来た。というかTRPGのリプレイ本を読んだの自体たぶんこれがはじめてだな。
 イラストがニャル子っぽいと一瞬思ったが、いまいち自信がなくてググッたら、やっぱりニャル子さんのイラストの人だった。
 しかし最後の著者紹介のところで気づいたのだけど著者KPの人はライトノベル作家でもあり、以前に読んだこともある「クダンの話をしましょうか」の作者でもあるということに吃驚した。
 「おわりに」でも書かれているが、この本に収録されている3話はわりと直線的に進行する話。なので、頭の中がぐちゃぐちゃになることがなく読めた。そういうシナリオで編集の上手さもあるのだろうけど、これだけの分量でシナリオ3話分の話が収録されているというのはちょっと意外だった。ニコニコ動画だと一つの動画当たり、普通どれぐらいの文量なのかがわからないから基準が自分の中でもよくわかっていないから、ニコニコ動画だと一つのシナリオが終わるまで、動画形式だから結構かかるから、続けざまに3本も読み、動画よりも文章という形態の方が読み進めやすいので、短くまとまっているという印象を得ただけという可能性もあるけど。
 しかしシナリオ終了後の正気度回復や次のシナリオ開始前の成長ロールは読んでいて面白かった。こうやってキャラが数字上で明確に成長していくのは、読んでいて楽しいよね。しかもこの卓ではハウスルールで、毎回シナリオ前に5回の技能成長にチャレンジできるロールがあるから、そうした楽しみが普通よりも大きいからなおいいなあ。
 「リプレイ一話」プレイヤーが4人なのとわかりやすいキャラ立てをしてくれたから、それぞれのキャラクターが覚えやすいのが良かったわ。しかし京、最初からPOW(精神力、0になったら死亡。)が30ってめちゃくちゃ低いなあ。それで正気度ロールを失敗しても、減少値が低く済んでいるので、ちまちまと減っているが、地味に硬くて。一時的狂気にも陥らなかったのはすごいわ。
 「京のワンポイントご奉仕」で心理学ロールをあまり多く要求するとキーパー(進行役、ゲームマスター)にうるさがられるとはなるほどな。
 ディンダロスの猟犬『原作の知名度に比べて、名前だけが一人歩きしている感じのするクリーチャー』だということは知らなかった。動画とかでもよく出てくるから、有名なんだと思っていたが、やつが登場する原作自体はあまり有名ではないのね。
 「リプレイニ話」技能値が90を超えると、2D6(6面ダイス二個)分の正気度回復ができると知り、ああ、だから動画でも技能値を89で止めていることが多いのかと気づく!以前、何処かの動画で説明されていることを見た気もするけど、実際にそのルールが適用されて、正気度が回復しているのを見るのは初めてだ。
 何やらわからぬ血濡れのノートの代金を吹っかけて、幾つかの高価な指輪などをその代わりとして相手がだしてきたら、お代はこれで十分ですと全部貰っていったのは笑った。
 しかし犬浄土のお祖父さんの語りには少しゾクリとくるなあ。
 辰巳教授、元が高いとはいえ、英語ロールがばちばちと決まるな。こんなに言語ロールで失敗がないのはちょっと見たことないな。
 そしてラストには辰巳先生が不定の狂気のせいもあって、醜態晒して、一気にあかん人に。
 しかし京、シナリオ終了時の正気度が13というのはほとんど見ない領域の数字だ。
 「リプレイ三話」最後まで一人の脱落もせずにキャンペーンを終了できるかと思ったら、最後にD100ロールが来て、流石に一人永久発狂してしまったか。
 そしてキャラロストを避けるのはニコ動だけのことではなく、普通に日本でのクトゥルフTRPG界隈がそんな感じの傾向にあるのね。