図解 牢獄・脱獄

図解 牢獄・脱獄 (F-Files No.029)

図解 牢獄・脱獄 (F-Files No.029)

内容(「BOOK」データベースより)

牢獄・監獄の歴史から、施設の構造、被収容者の生活、代表的な脱獄の手口や事件、有名な脱獄者までを、図解で解説。

 ロンドン塔は一つの塔というわけではなく、東京ドーム約1.5個分の広さを持つ城塞だった。ロンドン塔は有名だから名前だけは聞いたことがあるけど、実際にどういう建物かについて全然知らなかった(苦笑)。
 1章では「世界の牢獄」では、章の名前どおり世界の有名な牢獄だけでなく日本の牢獄について書かれてあり、それらがどういった建物かについてイラストが書いてあってイメージしやすくて、それを見るだけでちょっと面白いな。もっと詳細に書かれていたらもっと嬉しかったけど、一つの項目について見開き2Pだから無理な願いかな。だが、もうちょっとここの分量増やして欲しかったかな。
 「パリ・サンテ刑務所」という所内の施設の不衛生さや、所内で蔓延する麻薬、暴力同性愛などの問題を暴露したという本はちょっと面白そうだと思って、amazonをチェックしてみたけど新品はないのか残念。
 刑務所の過剰収容の問題は日本だけではなく、「現在は、刑務所の過剰収容状態が世界各国で問題となって」(P38)いたとは知らなかった。
 日本の一般の刑務所では禁固刑の人は独居房で懲役刑の人は雑居房という風に分かれているとは知らなかった。今まで、運とかあるいは素行のいい人が独居に入れてもらえるとかかと思っていたが、懲役と禁固との違いなのか。そして死刑執行が決まったものは刑務所ではなく拘置所に居る。
 日本では刑務所から逃走件数は近年、年間5人行くことは滅多にないようだが、逃走を計画したり実行途中で取り押さえられた人はそこそこの人数が居ることに驚いた、それでも多くの年は一桁だけど。しかし平成11年なんか85名がそうした計画段階や実行途中の人が懲罰・受罰をしているとは驚き。
 スタンフォード監獄実験のことも触れられているのがちょっと嬉しいが、本格的にこの実験のことについて書いた本を読みたいなあ。でも、どうも手軽に手に入れられそうなもので、そのことについてそれなりの分量が書かれた本が、ちょっと見つからないからなあ。もしかしたら探し方が甘いのかもしれないけど。
 17〜8世紀フランスではプロテスタントの人間を囚人としてガレー船へと拘禁して働かせていたが、その時分に生きてガレー船での労働から釈放される確率は50%にも満たなかったというのは恐ろしいな。
 今までシベリアはもっとある特定の小さな地域、ロシアでもっとも寒さが厳しいような地区、のことかと思っていたけど、ウラル山脈以東のロシアの領土すべてのことをさす言葉だとは知らなかったので、今回図でシベリアを示したものに非常に大きな地域がシベリアとして色が塗られていることに驚いた。地理をほとんど勉強してなかったのがバレる(苦笑)。
 流刑は明治になってからも旧刑法にも書かれており、完全に廃止されるのは明治41年(1908年)に現行の刑法が出来てからで、つまり20世紀初頭まで流刑という刑罰が存在していたというのは驚きだ。
 海外ではヘリコプターを使った脱獄が何件も起こっているというのは驚いた。本当の話と聞いても、現実というよりも映画の話みたいと思ってしまい、現実感を感じることができないな。
 6章の「脱獄者たち」では現実に起こった事件や、有名な小説(アルセーヌ・ルパン、「門て・クリスト伯爵(岩窟王)」)などで用いられた牢獄から脱出するためのトリックを紹介しているが、それは5章の「脱獄の手口と対策」で書かれたことと重複している箇所がいくつもあるのはちょっと残念。