マージナル・オペレーション 2
マージナル・オペレーション 02 (星海社FICTIONS)
- 作者: 芝村裕吏,しずまよしのり
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2012/09/14
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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内容(「BOOK」データベースより)
中央アジアでの戦いを経て、一年ぶりに日本に降り立ったアラタと2ダースの“子供たち”。彼らを待ち受けていたのは、空港での通り魔事件と、日本の国家組織を名乗る謎の女性“イトウさん”だった―。通り魔事件、イトウさん、新興宗教、そしてかつての上司と同僚…全てが結びついたその時、アラタは東京の市街での作戦遂行を決意する―。『ガンパレード・マーチ』の芝村裕吏が奏でる“現代の神話”、堂々の第二楽章開幕。
今回は舞台が日本ということで主人公アラタの活躍も控えめ。しかしアラタは変に経験をつんだから、フツーの日本人に対して内心でやたらと上から目線で語っていることに辟易してしまう。一応そうした日本人への視点について、彼らを監視している政府の人間に「自分の過去と同じ、日本人を憎む必要もないでしょう」とたしなめられてはいるけど。
まあ、主人公がようやく大人になったばかりで気負いもあるのだろうが、ジブリールに対してやたらと子ども扱いをしたり、あるいはフツー日本人に対しての妙な優越感を持っている(自信の源がそこしかないだろうから仕方のないことではあるが)。しかしアラタは、色々なことにまだまだ覚悟が定まっていない成熟していないので、それなのに村上春樹っぽい達観したような文章で語られると、まず、自分のことをちゃんとしろよと思ってしまう。前巻はそんなこと思わなかったが、子供たちと長い間付き合ったりしての心境の変化や舞台の変化もあって、今回はそこらへんが妙に気になってしまった。
『有事の際はどういうわけか壁際に沿って走る人はあまりいない。』(P18)というのは、ちょっと面白い豆知識だ。
子供たちに日本でいろいろと見てほしいとはいえ、彼らが稼いだ金を浪費しているように見えるから心が痛むわ。
アラタの指揮下にいる半分の子どもが電車の手すりに手が届かない背の低さであるという記述を読んで、今までの経歴を考えると、より彼らの経歴が悲しく痛々しいものに感じてしまう。もちろん彼らにそんなことを言ったら、同情されるものではないし、侮辱するなと思われるだろうが、とっさにそんなことを思ってしまった。
しかしアラタと行動を共にする、数少ない大人であるオマルはいいやつ過ぎるくらいいいやつだ。
購入したばかりのクロスボウが使えるかどうかを早めにチェックするために、政府の人間から尾行(監視)されるのがわかっているのにジブリールとラブホテルに行ってそこでチェックしていることには笑ってしまう。
しかしアラタは子供たちの教育云々なんて考えているけど、いざ仕事となったら、自分たちの武器などを知られないために、相手の死体を爆破しようとあっさり命じたりできるのだから、教育云々で悩んでいるのが正直悩んでいる振りにしか思えない。しかし子供たちの安全のためにも手心を加えるのは厳禁だとしっかりと意識して、そこらへんをわけているのは流石プロフェッショナルだということもできるけどさ。
日本編は今回限りでさっさと出国しなければならないことにはなったものの、日本でそれなりの稼ぎも得たし、新たに大人のメンバーも幾人か加わりソフィアとも合流を果たすなど、それなりの成果もあったようで良かった良かった。