ドウルマスターズ 1

内容(「BOOK」データベースより)

―『ドウル』。それは、パイロットの『思念の力』を拡張させ、物理的な戦闘力へと変換する人型機動兵器『タイタニック・ドウル』の略称である。新米ドウルマスター・早乙女蒼生は地球の貧しい都市機構『オートン』に所属し、姉の朱理と共に横浜ポリス軍と交戦していた。強力な敵機体から最期の一撃を喰らいかけたその時、蒼生の類い希なるサイキック能力が覚醒、『エクサー』として目覚める。それを契機に、ドウルの最強最新鋭部隊『ソフィア』へ入隊を果たした蒼生は、宇宙へと向かう。そこでは、純白の専用機『ミスティムーン』を駆る最強のドウルマスター・玲音との運命の出会いが待っていた―。壮大な近未来宇宙を舞台に、少年と少女の『世界』を賭けた闘いが、今始まる。


 「魔法科高校の劣等生」の著者の新作だということで購入。イラストがとてもいいな、女性キャラが可愛いいし始めて見たイラストレーターさんだけど上手いし、かなり好みなイラストだ。
 巨大人型ロボット物で戦闘シーン多め。スピーディーな展開で王道な導入という感じで普通に面白かった。とりあえず続巻は読んで、それで次回からは学園物となりそうだけど、それで面白そうだったらそれ以後も継続して買うわ。
 このシリーズでは国家が解体され都市国家とその上に世界機構(太陽系開発機構)がある世界観だが、その太陽系開発機構(太陽系連盟)はそれなりに強大なようだが、その関係は絶対王政以前の王と貴族との関係みたいで指揮命令できる関係にはないようだ。その地上の都市国家であるポリス、ポリスの周辺の地域や主人公がいた小田原のように小規模でも独立して電気などの文明的なエネルギーが使えるオートン、それからもはずれ自然の中に身を任せる自然主義者という3つのグループ・階層がある世界を舞台としているようにある種の格差がある社会を舞台にしている。
 主人公たち少年少女(別に乗れるのは子供に限定されているわけではないが、主要キャラはそう)が巨大人型ロボットに乗ってバトルするというロボット物だが、そういうジャンルの作品は、そういう搭乗機だったり武器のスペック、車の性能とかにロマンを感じたり興奮するという性質じゃないというのもあって、あまり読んだことないなあ。ガンダム系のアニメもやる夫スレでキャラの名は知っているけど見たことないくらいだもの程度だな。
 そうやって慣れないからということもあって、戦闘シーンの描写を読むのにちょっと苦労したかなあ。
 しかし1巻の冒頭から登場人物紹介だけならともかく、兵器やキーワードという設定のページが数ページもあるということには、見慣れないことだからちょっと笑ってしまった。
 未来世界を舞台にしたSFだから、世界観などの設定を覚えるのは面倒くさそうと思っていたが、きっちり覚えていないと途中で何がなんやらわからなくなるというものでなく、世界の国のあり方以外には、ロボットとかスペースコロニー的なものとか宇宙への交通とかはわかりやすいものだから覚えようと思わなくても読んでいて自然に覚えられるくらいだし、それ以外の細かな違いはあまりないので、そのように設定にわかりにくいところがなかったのは良かった。
 如月龍一は敵対組織に入って(彼だけでなく、他の反太陽系連盟ゲノムスのメンバーが数人)敵対行為をとって交戦をしつつも、主人公らもやってきた太陽系開発機構直属のドウルマスターを訓練する学校に潜入し、そして冒頭の描写を見ると彼らと交流を深めるというのは、なかなか見たことがない面白い展開で、彼がどうなるのか読めないから今後が楽しみだ。
 しかし宇宙都市、大規模テロで都市住民全滅の危険があるってかなり危うい場所なのに、よくそうしたところに住んでいられるなあ。
 そして巻末の広告ページを見ると「魔法科高校の劣等生」は来年とかなり間が空くようで、このシリーズの2巻はその後か更に後だろうからいつになることやら。しかしその来年発売の「魔法科高校の劣等生」は期待していた九校戦の短編ではないのか……、もちろん本編が次のステージに進むというのも悪くないのだが、前回がほとんど九校戦が描かれず展開も速かったため不完全燃焼というかなんか早く九校戦について描いた短編集が読みたいと思っていたのでちょっと残念だ。