7月に読んだ本のまとめ

2014年7月の読書メーター
読んだ本の数:12冊
読んだページ数:5654ページ
ナイス数:321ナイス

中世ヨーロッパの家族 (講談社学術文庫)中世ヨーロッパの家族 (講談社学術文庫)感想
15世紀、百年戦争末期からバラ戦争の時代のイギリスのジェントリ(紳士階級)であるパストン家の1000点を越える書簡から、中世の家族を見る。そういう趣旨の本だけど、土地紛争に関係する話がものすごく多いので、土地争いが主題だっけこの本ってちょっと思ってしまう。そうした長期間にわたる土地紛争が、中世の一定以上の家柄にとってつきものだったかもしれないが、タイトルから想像していた内容とは違ったかな。38ページに家計図がついていたり、最後の章の後に登場人物一覧が付いているのはありがたい。
読了日:7月31日 著者:ジョゼフ・ギース,フランシス・ギース
神話の力 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)神話の力 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)感想
対談。解説にあるようにモイヤーズが聞き手に徹したことで、深く豊かな内容を持っていて、読みやすいけど軽くない内容となっているので、思ったよりも読むのに時間がかかった。様々な神話のエピソードやそれらが意味するところが語られて、色々と印象に残る言葉はあったけど、それらの中でも『サタンは神を愛するがゆえに人間に頭を下げることができなかった。彼は神の前でしか頭を下げられなかった。』(P425)というペルシアの物語についての話なんかはとても興味深く、面白かった。
読了日:7月31日 著者:ジョーゼフキャンベル,ビルモイヤーズ
刑務所なう。 完全版刑務所なう。 完全版感想
もともと収監中にメールマガジンなどで配信されていた内容ということもあってか、特定の囚人や刑務官などの著者以外のある特定の人だったり、そうした人との刑務所の中での交流などが描かれないのは、仕方ないこととはいえ少し味気なくも感じる。入所当初は甘いものは好きではないし、好きにならないだろうと書いていたが1年も経たないうちに甘いものを美味しいと思うようになっていることは少し笑った。そして幸せを感じる閾値が低くなって些細なことに幸せを感じるようになっていると認識しながらも、それでも喜んでいるのは微笑ましい。
読了日:7月31日 著者:堀江貴文
北の舞姫 芙蓉千里II (角川文庫)北の舞姫 芙蓉千里II (角川文庫)感想
フミの人生は相変わらず難易度ハードだな。ただ読んでいて胸が痛くなるような場面があっても、彼女はめげずに前を向いて行動し続けているから、それほど気が滅入らずに読むことできる。フミが新作の舞「鷺娘」を舞っている時の描写は読んでいて本当に素晴らしい舞であることが伝わってくる、神がかった演技をそれに相応しい描写を文章でするのはすごいわ。
読了日:7月31日 著者:須賀しのぶ
新宿鮫 (光文社文庫)新宿鮫 (光文社文庫)感想
以前「この警察小説がすごい!」が出たときに近所の本屋でフェアをやっていた時に購入してから1年半くらい積んだままになっていたがようやく読了。個人的にハードボイルドは少し苦手で、やたらと警察用語が多用されても馴染みがないから面食らったけどそれでも非常に読みやすかったし、面白く読めた。「エド」のパートは最初はなんであるのかわからなかったが、最後に彼の視点で事件の終結させた時の鮫島の活躍シーンで、彼が鮫島にヒーローを見たおかげで鮫島がより一層格好良く映ったので、そのためだったかとそこでようやく腑に落ちた。
読了日:7月30日 著者:大沢在昌
大江戸商売ばなし (中公文庫)大江戸商売ばなし (中公文庫)感想
様々な呼び売りでの商売や有名店、また芸人や見世物など多くの江戸の商売が紹介されている。ただ、茶店や飯屋みたいな飲食系の商売が書かれていないのは少し残念。この本で紹介されている色々な商売を見ると、店舗を構えてという商売よりも家々や道々をめぐって商売していた職種の多かったことに強い印象を受ける。紹介されている商売ごとに一つの項が設けられていてその項の中で、その商売について書いた文章が多く引用されているのでそうした商売をしていた情景が浮かびやすくもあるけど、引用文は昔の文章だからちょっと読みにくくもあるかな。
読了日:7月29日 著者:興津要
黄金旅風 (小学館文庫)黄金旅風 (小学館文庫)感想
江戸時代初期、寛永5年から10年(1628〜33)という寛永12年に日本船の渡航禁止を申し渡される直前の時代の長崎が舞台となり、日本人による海外交易への締め付けが段々と厳しくなっていく海外交易黄昏の時代を描く。主人公の平左衛門と共に活躍するようなポジションにいながら、火事場での事故であっさりと亡くなった才介や、平左衛門・才介の幼馴染でいずれ物語の本筋と関わると思いきや結局関わらずにキリシタンとされて殺された真三郎、そんな彼らの話からは人の命の儚さみたいなものを感じるな。
読了日:7月28日 著者:飯嶋和一
迷いアルパカ拾いました (文春文庫)迷いアルパカ拾いました (文春文庫)感想
動物園シリーズ3作目。都筑刑事の部下の大柄の刑事がアルパカにつばを吐きかけられ、それでも歩み寄ろうと草を持って近づいたが更につばを吐きかけられ、その後に人をなめるのが好きなキリンに顔をべろべろとなめられたということが、語り手の桃本と都筑刑事が話している裏で起こっているのは一層シュールで笑えた。それにそれら一連の出来事がたった1ページのうちに畳み掛けるように起こっているのがより一層笑いを誘う。そして服部君は相変わらず変態っぷりで、相変わらず桃本のこと好きすぎでした。
読了日:7月21日 著者:似鳥鶏
ドウルマスターズ (1) (電撃文庫)ドウルマスターズ (1) (電撃文庫)感想
巨大人型ロボット物はあまり読まないが、展開もスピーディーで読む前に想像していたよりも面白かった。今回は導入部だけど、これからも面白くなりそうだ。あと、イラストも結構好みだ。しかし1巻から兵器やキーワードという設定のページが冒頭にあることにはちょっと笑ってしまった。設定を小説内であれこれと親切に多くを説明してくれるのは、それを冗長だと感じる人もいるかもしれないが、個人的にはこれくらい色々と説明してくれたほうが設定を記憶しやすいし、その後が読みやすくなるのでありがたい。
読了日:7月18日 著者:佐島勤
兵士に聞け (小学館文庫 (す7-1))兵士に聞け (小学館文庫 (す7-1))感想
書かれる事の少ない「職場としての自衛隊」や普通の人としての自衛官たちの姿や悩みを書いているノンフィクション。そうした自衛隊員たちのリアルな姿や自衛隊の現実を克明に書かれていて興味深い。4部構成。レンジャー徽章を得ることが給与や出世に影響しなくてもレンジャー訓練に挑む自衛官たちの姿を描いた「第二部 さもなくば名誉を」や、はじめての自衛隊の海外派遣でカンボジアに行った自衛隊員たちの実戦に近い場所に身を置いた当時の揺れ動く内面や、そこに行ったことで変わった意識などが書かれている「第四部 帰還」が特に面白かった。
読了日:7月14日 著者:杉山隆男
脳のなかの幽霊 (角川文庫)脳のなかの幽霊 (角川文庫)感想
脳の一部を損傷した人の症例から、脳のある部位はどういった機能を果たしているのかなどについて語り、そこから「人間とは何か」的なテーマに迫っていくのは、それもそれで楽しいのだが、脳についての話は馴染みがなく難しい話だからいまいち理解できていない感がある。それに個人的な好みとしてはオリヴァー・サックスのような脳の損傷で特殊な症状を患ってしまった人のエピソードを中心に描くような本のほうが好きだな。
読了日:7月10日 著者:V・S・ラマチャンドラン,サンドラ・ブレイクスリー
楽園のカンヴァス (新潮文庫)楽園のカンヴァス (新潮文庫)感想
伝説的な謎の美術コレクターに招待されたティム・ブラウンと早川織絵は世間に公表されていないアンリ・ルソー「夢をみた」の真贋の判定を頼まれ、同時に真贋について説得力ある説明をした者にその絵画の取り扱い権を譲渡すると言われる。ただし真贋の判断・推理は1週間、7章からなる「物語」を毎日1章ずつ読み進めるという風変わりな方法で判断することが求められた。そうしたことやコレクター氏が有名作家の未公表作を多く所有していたことなどもあって幻想的な世界に迷い込んだような雰囲気があることや大団円な最後だったことはいいね。
読了日:7月4日 著者:原田マハ

読書メーター

ラ/
小/////5
エ/
ノ/
歴//
そ//





ライトノベル 1
小説 5
エッセイ 1
ノンフィクション 1
歴史 2
その他 2

 7月はほとんど読めなかった、12冊はちょっとひどいわ。



7月に読んで特に面白かったもの
「やる夫達はアシハラに夢を見る」
 今まで読んでいなかったことを後悔する上質なファンタジーのやる夫スレ。
本好きの下剋上 〜司書になるためには手段を選んでいられません〜」
 web小説。なろう。読みやすくて面白いし、技術導入がかかれ、それが好評を得ているのを見るのは嬉しいから、読んでいて楽しい作品。憑依転生系なので物語が進むペースの遅さという、この系統の欠点はあるけど、門外漢にはそれなりに説得力のある技術導入の過程が描かれているので、NAISEIチートではあるが、そこらへんの嫌味が薄く、 本人もただ本が少ない世界でより多くの本を読みたい、あるいは不便ないくつかの身の回りのものを改善したいというところからそういう行動を起こしているので、主目的が金とかなり上がりでないというのもそうした嫌な感じがないどころか面白く読める。
「兵士に聞け」

兵士に聞け (小学館文庫 (す7-1))

兵士に聞け (小学館文庫 (す7-1))

 今まで知らなかった、自衛隊に所属する個人の姿が描かれているのは興味深かった。