RPG W(・∀・)RLD ろーぷれ・わーるど 15

内容(「BOOK」データベースより)

エンディングを迎えても世界は続いていく―。邪神ギャスパルクを倒した勇者PTが解散した後、ユーゴとショウはそれぞれのパートナーと共に、エターナルで穏やかな日々を過ごしていた。数ヶ月後、ガイアに戻ったはずの仲間たちが、突如エターナルへの帰還を果たす。ラムダの謀略、メタボの決意、そしてユーゴの未来への構想。それぞれの思惑が渦巻く中、平和な世界に響く不穏な声―「我らは決して滅びない。決して…!」エターナルにはまだまだ勇者の力が必要だ!!クリア後の世界を描いた後日談と、文庫未収録の短編2本も収録された“RPG”真の最終章がここに!!


 シリーズ最終巻。後日譚&短編。短編は冒頭に2編あり、「ショウのモテモテ大作戦」は5巻の最中の出来事、もう一つは5巻と6巻の合間の出来事と結構前の話なので、今更読んでもいまいちなんか懐かしいなあとしか感じられない。
 「ショウのモテモテ大作戦」ショウが好きな女の子(エル)の気を引こうとラムダに悪役をやってもらい、自分が助けるという小芝居をするという策はあまりに低次元過ぎて、居た堪れない思いを抱いてしまうので、とても見ていられない。
 「恐怖!ほらーげー・わーるど」マナーとか礼儀じゃなくて、誰も居ない館で何故か食事だけが自分たちの人数分用意されているという状況はいぶかしく思って当然なのに、ユーゴ以外誰もそんな疑問を抱いていないことには違和感を覚える。雨の中を長く歩いてきたから、そんなことを気にしていられないほど、疲労しているということなのかなあ。
 最後の実は家自体がモンスターだったというオチから、そのモンスターが用意した食事は、人間から作られたのではないかという推測がユーゴの脳裏に浮かぶが、でもあの食事はおいしかったと言い合うPTメンバーを見て、その推測を心にそっとしまっておくというオチは、ちょっとゾッとするね。
 「エンディング後も続く世界」邪神討伐から10ヵ月後までを描いた中篇だが、単純に邪心を倒して幸せな世界とはいかないのね。いや実際平和にはなっているけど勇者となり、世界の構造を知ったユーゴたちは、また別の責務を好んであるいは好まずとも背負って、今までのような身軽さはなくなっているのは、当然のことなんだろうけど、自由が束縛されているようにも感じるので、ちょっと全面的にめでたしめでたしとは思いづらいな。
 ラムダとメタボの行きて戻りし物語もいいなあ。いや、正確にはこのゲーム的世界が彼らのベースではないのだから行きて戻って、さらに行く物語かな(笑)。
 しかしユーゴの父親は、異世界から持ってきた大量の金品を怪しまれずに換金する伝手があるって、彼は一体何者なんだろう(笑)。
 ラムダは建国したり、そのためにヴァイオンを利用したりと想像以上に大きなことをする男だなあ。普通に彼は勇者PTの中で、一番有能で、切れ者な男だったな。
 神から加護を受けてレベルが上がっていたが皆もとのレベルに戻った。その時というか現時点でエルは36レベル。しかしレベル1になったショウは35までレベルを上げているのだから、冒頭のイラストを見たときに35ってずいぶん低いなと思ったが、案外高いというか、予想以上に結構高いレベルまで、そしてエルと釣り合いの取れるレベルまで戻していたのだね。かなり以前に読んだから最終決戦前のレベルの詳しい値は覚えていなかったが、その段階では異世界(地球)からきた勇者たち以外の勇者PTの面々の素のレベルが50くらいまで行っていたと勘違いしていたので、ショウの35レベルが低く映ってしまったのだな。
 メタボが再度この世界へと転移してきたときに、パジャマ姿で移ってきて、そこでたまたま通りすがった人に街まで案内してもらっていたが、その道中での会話をしているときにこの地がラムダが建国しようとしている国と知ったメタボが、実はメタボキングだと名乗ったが、それに驚かれたことで「今の今までは、名前なんかどうでもいい旅人と思って確認してなかったんでしょうネ。」と内心思っているが、あんたもその通りすがりの男のことを「男」としか読んでおらず、あんたも名前を見てないじゃないかというツッコミはしてはいけないのかな(笑)。
 しかしユーゴの偽教団を作り、世界に危機感を持たせるようにするという企みは危うすぎるし、効果に対してリスクが大きすぎるものだから、ユーゴは本当は、というか普通に頭悪いだろと感じるわ。行動力と責任感があることは認めるけど、知略という点では四流もいいとこだろ。知恵が特別秀でているわけではないのに、世界を騙そうというのはあまりにも無理がある。ユーゴのそんな謀は危うすぎるものだったから、本物の教団が出てきて胸をなでおろせた、……はずなのだが、なぜか偽教団計画も続行するというのだから、思わず頭を抱えたくなる。ユーゴのバカァ、見ていて冷や冷やするというか、今後は描かれないけど、その後に著しい不安を残す幕引きには苦笑してしまう。