ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 4

内容紹介

大森藤ノ×ヤスダスズヒトが贈る、
第4回GA文庫大賞《大賞作》、待望の第4弾!

「「「「Lv.2~~~~~~!?」」」」

先のミノタウロス戦での勝利により、Lv.2到達、世界最速兎(レコードホルダー)となったベル。
一躍オラリオ中の注目・羨望を集めることとなった少年の元には、仲間への勧誘が絶えない。
廻り巡る環境。そんな折――

「俺と契約しないか、ベル・クラネル?」
偶然にも自身の装備《兎鎧》を創った鍛冶師のヴェルフと出会い、仲間を組むことに。
しかも、彼は圧倒的な力を誇る《魔剣》唯一の創り手らしいのだが……?

犬人ナァーザ、そして女神ヘスティア、ベルが交わした2つのアナザーエピソードも収録!

これは、少年が歩み、女神が記す、
── 【眷族の物語(ファミリア・ミィス)】──


 今回は巻末に短編が2編付いていて、本編は短めで、ベルのレベルアップへの反響とこれまでベルとリリ2人というパーティー体制だったが、今回新たに鍛冶師ヴェルフが加入したので彼の紹介といった話。普通に読みやすかったけど、230ページ弱という本編の分量的にも、前回が第一部完結巻だったということで盛り上がる戦闘のあった巻なこともあって、ちょっとだけ物足りなさを感じてしまうな。そう感じるのはリリのときみたくベルを裏切ったりとかそういう展開もなく、すんなりとパーティーメンバー入りしたというのもそんな風に感じる要因かもな。
 ただ、そうしたパーティーを組む際のごたごたがないぶん素直に好感持てるし、レベルはベルのほうが高いが頼れる人という印象を持てるから、ベルが相談できる男キャラ、「相棒キャラ」ができたのは今後を考えると良かったな。それに今まで主なキャラにベル以外の男キャラが皆無に近かったから、そういう意味でもパーティーメンバーにそうした男性キャラが増えるのは歓迎だわ。
 プロローグのベル、まさに喜色満面って感じでレベルアップを嬉しがっているのを見ると、受付のエイナとか他の女性陣が彼の世話を焼きたがるのもわかる気がするわ。彼は天然のフラグメーカーですね(笑)。
 受付をしていたエイナが驚きのあまり、ベルが異例のスピードでレベルアップしたことを大声でいってしまうが、裏表紙の紹介文的には、知られたことで色々起こりそうな気がするので、彼女がそれをしてしまった直後にしっかりと謝っているのは良かった。もしあそこでなあなあにされるたら、ベルが人が善いから気にしなさそうだけど、彼の物語を見て、彼を応援しているので少し面白くないと思ってしまうだろうからね。
 ランクアップするとステイタスの能力値が一旦0となるって、だから前回ベルのSばかりのステータスにロキ・ファミリアの面々が驚いていたのね。高レベルならそうしたステータスは全部カンストしていて当然だと思っていたから、そんなレベル1のステになんで緒驚いているのだろうかとちょっと思っていたが、たしかにそうならオールSというのはベルの素質がいかにずば抜けているかがわかるから、それを知り驚くのもわかるわ。
 レベルアップした連中に神々が二つ名をつけるが、それは冒険者たちには格好いい名前だと思う名だが、神々にとっては格好つけすぎて痛いような(いわゆる中二的な)名前なのか。だから、つけられた二つ名について本人と神様のリアクションがぜんぜん違うのは面白い(笑)。
 ん?レベル2の冒険者であるベルは、下界での神々には一応身体能力的には勝っているというという設定なのか、ほうほう。どうも、そこらへんの設定は、前巻からかなり間をおいて読んだということもあって、かなりわすれているなあ。
 レベルが上がって、速さも力も魔法の威力も明確に上がっていると本人も自覚できているほどの変わりようがあるようで、そういった明確に強くなったことが読んでいても感じることができる描写はいいねえ。
 そして今回は鍛冶師ヴェルフと専属契約を結び、同時に彼がパーティーメンバーに入った。
 巻末の短編2編「クエスト×クエスト」は時系列的には3巻中の話で、「女神のカンパネラ」は時系列的には1巻より前、ベルがヘスティア・ファミリアに入って直ぐ、二人が出会って直ぐの話。
 「クエスト・クエスト」今回リリはベルが騙されて安い報酬を渡されそうになったことを看破したが、こうして怪しげなことをしっかりと見破っているエピソードを見て、リリは危なっかしい彼をフォローしてくれるいい相方なのかもなと感じるようになった。
 しかしベルは、それまでも効能の低い実際に彼が払った額の半額以下の価値しかないポーションを騙されて売られていたのに、簡単に赦しているのはいくらなんでも善人過ぎる、以前にリリを赦していたことからもわかっていたが、いつかその人の善さによって自らの足がすくわれないか不安でならない。
 彼女(ナァーザ)に借金という理由があって、それにベルが協力までするのはらしいけど、呆れる。そして彼女と彼女のファミリアの長であってヘスティアとも親交が厚い神ディアンケヒトの借金返済のために、素材収集を手伝うことになったが、そこで事前の承認もせずに彼を再び騙して囮とするというのは卑劣すぎてなにもいえない。不快。
 そうした手伝いはしたけど、これ以後疎遠になったというのなら納得できるのだが、ヘスティアとディアンケヒトの付き合い的にもベルの病的な人の善さ的にもそうはならないだろうから、思わず深いため息をついてしまう。そうしたナァーザが悪行をしたのに、全く豚が与えられずに終わるというこの話を、いい話風に終わらせているのが腑に落ちない。