僕と彼女のゲーム戦争 7

内容(「BOOK」データベースより)

ゲーマーたちが最も熱くなる季節、夏。岸嶺たち現代遊戯部のメンバーは、ゲーム大会への参加を繰り返していた。そんな中、部員たちと比べて実力不足を感じていた岸嶺は、デバッグのアルバイトを通じて知り合ったプロゲーマーのもとへ教えを乞いに行くことを決意する。そして個人修業を終えて挑んだゲーム大会。夏休みということもあり、社会人が多数参加していたその大会には、かつて岸嶺たちと戦ったこともあるチャンピオンが強力なメンバーを率いて参加していたのだった。今回のゲームはFPS!強敵だらけのゲーム大会で岸嶺が覚醒する!?

 今回は基本的にBF4というFPSのゲーム一本について描かれる。このシリーズは軽く読めるから結構好きなのだけど、私がゲーム下手でほとんどやらない人だからかちょっと感想に困るな。
 冒頭から岸峰がバイトでゲームのデバックをするシーンがかかれるが、あとがきみたら著者がそうしたバイトをしていた時期があり結構実話なのね。そうした理由もあってか、リアルなゲーム会社の内幕って感じでちょっと面白かった。
 ただ、個人的にはそうした話はあまり語らずに、物語世界は物語世界として、カードゲームのアニメの世界のようにその世界の強者はそれなりの地位を持った存在として描いてくれたほうがいいな。なんか個人的にはもっとそうしたゲームがそうしたもの、ゲームのプロが市民権を得ている世界での物語か、あるいは日常系でいろんなゲームをやる話のどちらかに振れているほうが好きだな。
 まあ、そのどっちつかず感があるのが現実で、また理事長のようにゲームは子供の遊びという感覚が強い、そんな中でそれでもゲームを愛し、そこで真剣に勝負をしている人たちを書きたい、なんていう気持ちが著者にはあるのかもしれないけど。
 以前プロの格闘ゲーマーに指導を受けるシーンがあったが、今回はプロのFPSゲーマーに指導を受けるシーンがあり、それはあとがきでも書いているように本当にその世界のトップ選手に取材したことを語らせていて、トップクラスのプレイヤーの尋常でなさがよくわかる話で面白いのだが、以前もそうだったけど元となる人物がいるのに若い女性のキャラにしているのは、やはりちょっと違和感があるな。まあ、そんな風に感じるのも、元から男女比がかなりおかしいことになっていることもあって、元から男の方で、元となった人がいるからヒロインにもならないキャラなのにわざわざ女性キャラとしてださなくてもいいではないかと思ってしまうから。
 わずかなマップでの情報で、どうした進行経路をとるのかがわかったり、かすかな音からどこから敵が来るのかわかるというのは異次元すぎるし、そんな芸当ができるとは全く想像していなかった話なので驚くし、本当にそんなことできるのかという思いすらわくよ。でも、どの世界でもトップクラスの話はそうした素人には現実味がない話だからね。
 岸峰、瀬名先生にFPSのプロゲーマーに家庭教師をたのんだことが見抜かれて、専制に隠し事ができないと思っているが、その描写を見ると、どうしても、そんなのことがわかってどうして鷹三津が声優であるという事実がわからないのかが理解できないという思いにとらわれてしまう。
 権田原率いるプロもいるトップレベルのゲーマーチーム相手に、岸峰が立ち回り(読みあい)で健闘し、何度か痛い目にあわせているのが、こうした強者相手に知恵で善戦するという展開はなんか好き。
 今回の第一章のバイトでのゲーム会社のシーンといい、最後の権田原(宵闇の魔術師)がブラック企業を辞めて、プロゲーマー転向する決心をしていることが書かれた後、『あとはプロゲーマーになるか、プー太郎になるかのどちらかなのだ。』(P323)で今巻が締められたり、ちょっと世知辛くて切ない現実的な話がもはやこのシリーズの特色みたくなっているね。
 あとがきで、次回はシリーズ開始当初から現在までの、ゲームジャンルの流行り廃りについて触れられると書いてあったので、そうしたゲームの世界の流行については全く知らないのでちょっと楽しみ。