11月に読んだ本のまとめ

2014年11月の読書メーター
読んだ本の数:21冊
読んだページ数:7917ページ
ナイス数:494ナイス

イギリス史10講 (岩波新書)イギリス史10講 (岩波新書)感想
連邦制、複合性、多様性に着目して書かれているイギリス史。『一六五三年一二月に成文憲法「統治章典」が制定され、クロムウェルが護国卿に就任し、三つの家産国家は消滅して単一の「イングランドスコットランドアイルランド共和国」となった。』(P132)ここでようやくブリテン諸島は単一の共和国に。オランダ総督オラニエ公ウィレム(英国王ウィリアム3世)を招聘した『名誉革命によって、商業覇権も人材もノウハウも、覇者オランダ(およびユグノ・フランス)からプロテスタント・イギリスに軟着陸した。』(P154)
読了日:11月30日 著者:近藤和彦
理想のヒモ生活 6 (ヒーロー文庫)理想のヒモ生活 6 (ヒーロー文庫)感想
フレア姫は初登場の前回から新ヒロインとあおり文があったけど、正直女性キャラでもっともありえなさそうなキャラだと思っていたので、本当に新ヒロインになりそうなことはとても意外。両国の国益的にも彼女を側室に迎えることはメリットあり、フレア姫的にも結婚後も自由に活動できるというメリットがあって自らそういうことを提案し、合意に至った。冒頭の結婚指輪の風習が根付きはじめているとか、蒸留酒が職人の手で作られるようになったなどの描写は、別世界・文明の文物・風習が新たに根付いていく様をみるのはなんとなく楽しいからいいね。
読了日:11月30日 著者:渡辺恒彦
エンジェルフライト 国際霊柩送還士 (集英社文庫)エンジェルフライト 国際霊柩送還士 (集英社文庫)感想
海外で日本人が、あるいは日本で外国人が事故などの不慮の事態で亡くなったときにそのご遺体にエンバーミング(防腐処理)などをした上で生前の姿に整えて遺族の元へ送っている国際霊柩送還士を描いたノンフィクション。国際霊柩送還士という言葉は日本最初の国際霊柩の仕事を専門にしている会社であるエアハース社が用いているもの。著者はそのエアハース社に取材してその会社の人々の真摯な仕事ぶりについて書いている。国際霊柩送還士の仕事は『最後にたった一度の「さよなら」をいうための機会を用意することなのだ。』(P263)
読了日:11月30日 著者:佐々涼子
絶対音感 (新潮文庫)絶対音感 (新潮文庫)感想
絶対音感が科学的にどういう現象かという説明や、それが天才の証明かみたいな話もあるけど、絶対音感教育の話がメインかな。絶対音感は欧米では天性だとする見解も根強いようだが、日本での絶対音感教育の成果や文庫版あとがきに科学的にも絶対音感は遺伝でないということに落ち着きそうとあるのを見ると、教育・環境が大きいみたい。絶対音感教育は1930年代前半に園田清秀によって開始され、子供に和音をあてさせるなどその教育法は現在の絶対音感教育の起源となった。しかし絶対音感教育が日本独特のものだとは知らなかった。
読了日:11月28日 著者:最相葉月
八月の蜂起 小説フランス革命 11 (集英社文庫)八月の蜂起 小説フランス革命 11 (集英社文庫)感想
第二部2冊目。この巻では蜂起成功し、王権は停止され、いよいよ王の処刑というフランス革命の大きな山場が近づいてきた。前回ジロンド派が民衆を使って圧力かけたが、それに王が逃げず堂々と相対したことで王の人気が高まったが、ラ・ファイエットフイヤン派)の軽率な行動、そしてブラウンシュヴァイク公の宣言で敵が目的は王とその家族の解放と宣言したことで王の人気は急落。ダントン、今度はジロンド派抜きでの蜂起を企てる。その蜂起にデムーランは参戦し、ロベスピエールも協賛。そして八月の蜂起(1792年8月10日)が始まる。
読了日:11月27日 著者:佐藤賢一
あいにくの雨で (集英社文庫)あいにくの雨で (集英社文庫)感想
後半の展開から探偵役っぽい獅子丸が信頼を抱く相手が犯人という真相を理解し、名探偵としての役割と私的な感情の板ばさみに苦しみ、その役割に葛藤するという話になるのかと思った。しかしその真相は、真相を知ったことで苦しむ探偵という構図は一緒だが、予想していた犯人・探偵役が異なる結末。作者は本格推理小説の人なのだから、そんな順当にはいかないと予想しているべきだったけど、久しぶりにミステリーを読んだということもあって、変に勘ぐらず素直に読んでいたのでこのどんでん返しには素直に驚いた。
読了日:11月26日 著者:麻耶雄嵩
【Amazon.co.jp限定】ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 6 書き下ろし4PリーフレットSS付き (GA文庫)【Amazon.co.jp限定】ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 6 書き下ろし4PリーフレットSS付き (GA文庫)感想
ベルはまたもや神、今回はアポロンに目をつけられ、彼の神はベルを手に入れようとしてかなり強引な手段を使ってきて、ファミリア間の総力戦ウォーゲームでの対決となる。人数的に圧倒的不利な状況であったが、勝利を掴む。そして今回ついにリリとヴェルフがヘスティア・ファミリアに正式加入。ようやくファミリアのメンバーが増えたのは嬉しい。またエピローグではファミリアの新たなホームに新しく加入したメンバーと引っ越してきところが描かれていて、そうしたシーンは彼らがまた次の段階に進んだということを感じさせてくれるからいいね。
読了日:11月25日 著者:大森藤ノ
近世大名家臣団の社会構造 (文春学藝ライブラリー)近世大名家臣団の社会構造 (文春学藝ライブラリー)感想
近世の武士人口の多くを占める大名家家臣、その身分は上から「侍・徒士足軽以下」の3区分にわけられる。その比率は概ね「侍」4分の1、「徒士」4分の1、「足軽以下」2分の1。それらのうち徒士足軽の間には身分的隔離の太い線が引かれていた。足軽以下を支配階層の「武士身分」ではなく、町や村から供給される側面を持つ「武家奉公人」として把握する研究が近年になって本格化。足軽は基本的に一代抱えで、武士身分の象徴ともいえる袴もはけなかった。また終身足軽として働くのではなく、足軽として何年か働いて辞める者がほとんどだった。
読了日:11月24日 著者:磯田道史
IT〈4〉 (文春文庫)IT〈4〉 (文春文庫)感想
最終巻。全4冊と結構な長さだったが、最初から最後まで倦まずに読み進められた面白い小説でした。今回は現在と過去、双方のパートでほとんど同時にクライマックスへ向かって進行していく。そして現代パートでの最終決戦で仲間の一人が欠けてしまったが、今度こそItを完全に打ち滅ぼす。すべてが完璧とはいかないまでもまずまずのハッピーエンドを迎えられて良かった。ただItとの最終決戦後、彼らに再び忘却がはじまり仲間のことを、戦いの記憶を思い出せなくなっていき、今後再会することはないだろうというのはちょっと寂しいな。
読了日:11月23日 著者:スティーヴンキング
人類が知っていることすべての短い歴史(下) (新潮文庫)人類が知っていることすべての短い歴史(下) (新潮文庫)感想
上巻は宇宙とか地球についてが主だったが、下巻では生物について多く語られている。微生物とか細胞の話や、生物や人類の進化の歴史についてわかっていることとわかっていないことなど。この本を読んで今まで思っていたよりもずっと人類が知らないもの、わかっていないものというのは多いということを実感する。植物学者カール・リンネ、自らの偉大さに酔いしれ、余暇を自らの偉大さについての長文を書くことに費やし、その自己評価に疑問をさしはさんだ人間には、雑草の名前をその人にちなんで命名したというのは思わず笑ってしまう。
読了日:11月21日 著者:ビルブライソン
空白の五マイル チベット、世界最大のツアンポー峡谷に挑む (集英社文庫)空白の五マイル チベット、世界最大のツアンポー峡谷に挑む (集英社文庫)感想
想像以上にハードで本格的な冒険物のノンフィクション。ツアンポー、未発見の大滝を求めて探検されるも1924年に大滝がある可能性否定的に。しかし、その時探検されなかった「空白の五マイル」は、最後の地理的空白部として現代の冒険家にロマンを与えた。著者自身の02-03、09年のツアンポーでの探検の話の他に、ツアンポーの探検史(1章)、93年にツアンポーの支流ポー川早大カヌー部員が死亡した出来事(3章)、98年の米国の探検隊による幻の大滝の発見(5章)などが書かれていて、そうした章で語られるエピソードがまた面白い
読了日:11月20日 著者:角幡唯介
ジロンド派の興亡 小説フランス革命 10 (集英社文庫)ジロンド派の興亡 小説フランス革命 10 (集英社文庫)感想
第二部開幕。今回はジロンド派の動きとルイ16世が中心に描かれる。再びの物価高で市民の不満高まり、革命が始まった1789年のようなぴりぴりした空気が漂う。ルイ16世主戦論者のジロンド派の内閣を作って、彼らに開戦させ、また敗戦の責任をとってもらうことで自分が王のまま絶対君主制に戻すことを企む。開戦後、ジロンド派など主戦論者の思惑と異なり、緒戦の戦況劣勢。フランス軍の脆弱さを知り、反戦を唱えていたロベスピエール主戦論が優勢だった開戦前は一時期勢いがなくなっていたが、緒戦の結果を受け彼の主張の説得力増す。
読了日:11月17日 著者:佐藤賢一
ロシア市民―体制転換を生きる (岩波新書)ロシア市民―体制転換を生きる (岩波新書)感想
冷戦体制崩壊後の市民生活の激変によって生じた現在(99年当時)のロシアの社会問題(貧しさ、激しい格差、家庭やコミュニティの崩壊、募る失望)を書いた本。ルーブルのレート切り下げ以後、モスクワでは公共料金を滞納している世帯が53%と過半数を超えた。そして当時ストリート・チルドレンはモスクワには少なくとも3万人いて、ロシア国内の全児童の5%がそうだと推定されていた。そうした惨状を見るとよくロシアは持ち直したなと感歎するような思いを抱くし、そんな状況から強いロシアを復活させたプーチンに強い求心力があるのも納得。
読了日:11月16日 著者:中村逸郎
IT〈3〉 (文春文庫)IT〈3〉 (文春文庫)感想
リーダビリティが高いので、長い小説だが読んでいて全然だれない。今巻、過去パートがかなり多いのは嬉しい。ようやく過去パートでマイケル・ハンロンがはみだしクラブに加わり、ついに過去パートでも彼らは全員そろった。いかれてる悪童ヘンリー・バワーズらとの石合戦、化物との最初の対決など戦っているシーンが多く、そうした敵に相対しているということもあり仲間たちの団結が一層強固なものになっていく。しかし物語後半に入ったから仕方ないことだけど、子供たちの日常的なシーンが少なめだったのはちょっと寂しかったかな。
読了日:11月14日 著者:スティーヴンキング
人類が知っていることすべての短い歴史(上) (新潮文庫)人類が知っていることすべての短い歴史(上) (新潮文庫)感想
ユーモアのある軽妙洒脱な語り口で書かれた、知識がなくとも読んでいて楽しめる宇宙についての科学史。人類がいかに宇宙や地球あるいは原子・素粒子などについて、より正確でより深いさまざまな知識を得てきたかという歴史が、学者たちのさまざまな発見などのエピソードなどによって書かれる。ある発見・理論ができたことによってどういうことがわかるようになったのかなどについて、非常にわかりやすいかたちで説明されているのは嬉しい。また、学者たちの個性を感じられるエピソードや科学の小ネタ的な話を見るのも楽しい。
読了日:11月11日 著者:ビルブライソン
臨死体験〈上〉 (文春文庫)臨死体験〈上〉 (文春文庫)感想
多くの体験者の体験例をあげられているが、そのどれもが具体的かつ個性的で、幻想的な体験だから読んでいて興味深く面白い。それ以外に研究者(といってもオカルトな人ではない)や体験者へのインタビューなどについて書かれている。通常の臨死体験では、体験者は幸福感を覚え、死の恐怖はない。たとえ内容的にはネガティブな臨死体験だった人でも、全員が全員ではないが、多くの人はその体験をポジティブにとらえている。
読了日:11月10日 著者:立花隆
紳士協定: 私のイギリス物語 (新潮文庫 さ 62-7)紳士協定: 私のイギリス物語 (新潮文庫 さ 62-7)感想
ソ連は資本主義国の外交官用にロシア語が上達しない特別コースを設けていたので英国でロシア語研修。英語でロシア語を学ぶので最初はホームステイしながら英語の勉強。そのホームステイ先で出会った聡明で孤独なグレン少年との出会いと別れを書く。こうした年の差の友情が描いたものって好き。この著者が自身の体験を書いた本は外れなく面白い。ただ、扱っている期間が短く、主な人物も著者、グレン、同期の武藤だけなのでちょっと内容薄めかな。しかしあとがきにあるように教養小説(または児童文学)のような雰囲気があり、それはそれで悪くない。
読了日:11月9日 著者:佐藤優
民俗学の旅 (講談社学術文庫)民俗学の旅 (講談社学術文庫)感想
いかにして民俗学の道に踏み入れ、歩んできたかだったり、影響を与えられた人や場との出会いや関係、仕事の遍歴などを書いた自伝的な本。渋沢敬三との師弟関係は師を深く敬愛していることも、師が弟子をとても慈しみ、心を配っているのが伝わってくる強い師弟愛を感じさせる関係でいいな。戦前は渋沢敬三が作ったアチック・ミューゼアムで活動していて、戦後は農業指導をしたり、林業金融調査会や離島振興協議会の仕事を奉仕でしていたということもあってか、大学で講義するようになったのは50代になってからというのはちょっと意外だった。
読了日:11月7日 著者:宮本常一
TOKYOオリンピック物語 (小学館文庫)TOKYOオリンピック物語 (小学館文庫)感想
日本の社会の時間を守る、団体行動に向くという性質を確立させるなど、一つの転換点、画期となった出来事であった東京オリンピック。デザイン、記録映画、選手村での料理、史上初の五輪でのコンピューター導入、民間警備会社といった大会を裏方として支えた人たちが、いかに東京オリンピックを成功させるために情熱を注ぎ、新しい試みを導入しながら奮闘したかが描かれる。プロジェクトX的な、大きなプロジェクトの成功譚で面白い。
読了日:11月6日 著者:野地秩嘉
文庫 わが魂を聖地に埋めよ 下 (草思社文庫)文庫 わが魂を聖地に埋めよ 下 (草思社文庫)感想
その地のインディアンにとって神聖な土地ブラックヒルズで金が産出することがわかり、政府はその土地を取り上げようとするが拒否され、戦争となる。その一連の戦いではクレイジー・ホースが見事な戦術を駆使したことで「合衆国軍隊はインディアンとの戦いで最大の敗北を喫し」た。だが、それを受けて政府は戦闘に加わらなかった保留地インディアンや友好的だったインディアンの部族に対しても圧力や攻撃を加えたことで、「究極において北部平原インディアンの自由がついに失われるという結果がもたらされる」(P116)。悲劇で終わる英雄譚。
読了日:11月5日 著者:ディー・ブラウン
キスカ島 奇跡の撤退―木村昌福中将の生涯 (新潮文庫)キスカ島 奇跡の撤退―木村昌福中将の生涯 (新潮文庫)感想
米軍から「パーフェクトゲーム」といわれたキスカ撤退作戦。カムチャッカ・アラスカ間にあるアリューシャン列島特有の濃霧が続く時間を見計らい密かに救援艦隊が島に近づきキスカ守備隊を全員救出。その前日にレーダーで陸地を日本艦隊と誤認して砲撃し撃退したと思って、その日だけ米艦隊が補給に戻っていた。撤退に気づけなかった米軍は撤退後にキスカ島上陸作戦を敢行し、3万人以上の兵員を用いて半月にわたって無人キスカ島を攻撃していた。キスカは玉砕したアッツの隣の島のようだが、今までアッツは南方の島だと思い違いをしてたわ。
読了日:11月4日 著者:将口泰浩

読書メーター


ラ//
小/////5
ノ/////5////
歴///
そ//

「紳士協定」「TOKYOオリンピック物語」ノンフィクション換算。



ライトノベル 2
小説 5
ノンフィクション 9
歴史 3
その他 2


11月に読んで特に面白かったもの
「エンジェルフライト 国際霊柩送還士」

 海外でなくなった日本人、日本で亡くなった外国人のご遺体をきれいにして遺族のもとへ送るお仕事。遺族の話には思わずうるっときた。
「近世大名家臣団の社会構造」 侍・徒士足軽の3分類とそれぞれの違い。足軽は基本的に城下町近郊の農民がしていたなど色々なことを知れて、面白かった。
「IT〈4〉」
IT〈4〉 (文春文庫)

IT〈4〉 (文春文庫)

 IT、ホラーだということで今まで読むのに二の足を踏んでいたことをちょっと後悔するほどに面白かった!
「人類が知っていることすべての短い歴史」
人類が知っていることすべての短い歴史(上) (新潮文庫)

人類が知っていることすべての短い歴史(上) (新潮文庫)

人類が知っていることすべての短い歴史(下) (新潮文庫)

人類が知っていることすべての短い歴史(下) (新潮文庫)

 知識がなくてもすらすらと読める面白い科学史







「お嬢と五人の奇人達 5-1」
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 毎回楽しみにしてるシリーズの5話開始。といっても、相変わらず投稿ペースが早いからいつの間にかまだ読んでいない話がいくつも溜まってしまうけど。