ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンライン 1 スクワッド・ジャム

内容(「BOOK」データベースより)

身長183cmの女子大生・小比類巻香蓮。長身コンプレックスが災いし“現実世界”では人付き合いが苦手な彼女を変えたのはVRMMO“GGO”だった―。身長150cmにも満たない理想の“チビ”アバターを手にした香蓮は、全身ピンクの戦闘服を身に纏い、プレイヤー“レン”となってGGO世界を駆け回る!そんなレンの前に現れた美人プレイヤー“ピトフーイ”。GGO内ではレアな女性同士、意気投合するのだが―ある日レンは、最強ガンナー決定戦“BoB”のチームバトルロイヤル版“スクワッド・ジャム”への参戦をピトフーイから打診され…。時雨沢恵一&黒星紅白による、もう一つの『ソードアート・オンライン』が登場!


 あとがきを見ると、どうやら著者がソードアート・オンラインのGGO(ガンゲイル・オンライン)編を読んで、この設定なら人の死なないガン・アクションを現代日本人を主人公でかけると思って、二次小説が書きたいと思って、SAO作者川原礫さんに許可とって書いたという本で、いわば持込み企画だったようだ。
 しかしあとがきで、自分でもつっこんでいるけどタイトル長いなあ。
 色々な銃を出して、それぞれの特徴などの説明(出てくる銃の種類が多いので、一つ一つの説明はさすがに控えめだが)やエムがレンに実戦的な戦闘のレクチャーをしているなど、現代、実際の銃について好き勝手、満足の行くまで書きたいという強い気持ちが伝わってくる。
 レン=小比類巻香蓮は、GGOでのキャラよりもリアルのイラストの方が好きだなあ。
 中堅以下の強さだったが、常に夕日の世界の中でくすんだピンクの装備は見辛いため、紀州がよく決まった。そのため待ち伏せして砂漠フィールドで、彼女はPKを繰り返し、姿を見れずに殺されると噂になる。まあ、その噂を自ら聞いて、街でその装備をしたり、あるいはそうした待ち伏せは止めたようだが。中堅以下のレベルでそんなことを出来るのは凄いわ。そうしたジャイアント・キリングは、多少リアルより耐久力高いとはいえ、銃器の世界だからこそだな。レベルが大きな力を持つファンタジー系のものではそうはいかないだろう。
 ピトフーイ、キャラの顔に刺青入れたら、ナンパ避けになったと話しているが、VRMMOで69ページみたいに半裸のような格好で過ごしていることもあるようだから、ナンパされるのもある意味当然と言うか(笑)。
 レンの好きな歌手神崎エルサ、反応からしておそらく神崎エルサ=ピトフーイっぽいなあ。
 原作ソードアート・オンラインで扱われていたBoB(個人戦)ではなく、スクワッド・ジャム(チーム戦)という大会を新たに設定して描く。主催者、ガンマニアの50過ぎの小説家って、著者本人か(笑)。一瞬年齢にびっくりしたけど、原作の2025年時点での年齢か。
 レン、ピトフーイが参加できないため、彼女の友人のエムと組んで、スクワッド・ジャムに参戦することになる。
 しかしエムのレンに対する実戦レクチャー、実戦的過ぎて、ちょっと引くわ。というか原作でほどよく誤魔化されていたところに、現実的な戦闘方法を書かれるとVRMMOでそうした銃器を使った殺し合いを行うなんて怖い世界だなとちょっと感じてしまう。まあ、そうした重さがあるからこそ、キャラを成長させるのに便利というのもあるかもなあ。
 エムが、さほど親しいわけでもないのに、レンのことを囮にした作戦平然と立てているのはちょっと笑える。落ち着いているからそうは見えないけど、そういうところから見るとエムは中々に自由な方だな(婉曲的表現)。
 そしてスクワッド・ジャムでは10分ごとに、全てのチームのリーダーの位置を全チームが知ることが出来るというルールだが、それを用いてリーダーのレンを囮にしているのを見ると、そのためにリーダーにしたのではという疑念が強く胸中より湧き出てくる(笑)。
 モブ同士の戦い、BoBやSJといった大会では死体が残るため、最後自爆して散っていった敵の身体はその後、爆発が起きた空中に再構成されて、その後自然落下した。華々しい散り際だったはずなのに、仕様のせいでシュールに(笑)。よくこんなネタ思いつくなあ、現実でもそうしたゲームあるのかしら。
 十二章、十三章のレンの戦闘シーン、危機一髪の連続だが、熟練の相手プレイヤーたちに機転と身軽さで奮闘していて格好良くていいね。それも途中まではエムの援護なく、全くの独力での戦いだし。あがいてあがいて、最後にはエムが援護しにきたこともあってスクワッド・ジャム優勝。
 しかしその戦闘の最後で、愛銃のピーちゃん(P90)を壊されたことに憤激しているのは、散々エムに囮にされても怒らなかったのに、ここで爆発したことはちょっと意外だったので思わず笑いがこぼれた。
 エムはピトフーイを本当に恐れていることがわかるが、どうした関係なのかと思ったら、エピローグを見るに尻にしかれている、DV受けてる(のかエム=Mで、そういうことがすきなのかもしれないけど)という関係なのね。そしてピトフーイ、SAOの生還者か。