ソード・オラトリア 3

内容紹介
ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』外伝、待望の第三弾!

「アイズたんLv.6キタァアアアアアア!!」

先のダンジョン探索において、謎の女調教師、階層主・ウダイオスとの激戦を経たアイズ。
しかし念願のLv.6に昇格した【剣姫】の表情が冴えないのには理由が。

「こ、恋煩い? アイズたん、男なんか?」
一つ――やっと出会えた白髪の少年に、またもや全力で逃げられてしまったこと。

「……そうか、お前が『アリア』か」
二つ――自分しか知るはずのないその名前を、調教師の女が知っていたこと。

だが、そんなアイズを試すように再びダンジョン探索のクエストが舞い込む。
まるでそこに答えがあるかのように……

これは、もう一つの眷族の物語、
──【剣姫の神聖譚(ソード・オラトリア)】──
amazonのページより)


 4月には本編7巻、5月にこの「ソード・オラトリア」の続刊。
 「ソード・オラトリア 2」から数日後の話か。食人花などのきな臭い出来事の裏にいる、未知の都市・神々の敵対者サイドに関連する話が引き続き書かれる。しかし本編よりも、こちらの本筋のほうが、都市の根幹やダンジョンの謎といった世界のあり方とも関わるようなスケールの大きな話だから、本編よりよほど本編っぽい気もする(笑)。
 前回アイズらと相対した謎の調教師の女。彼女は食人花のモンスターと関連して、よからぬことを画策、破壊工作にいそしんでいることは確かだが、詳しい彼女の素性分からない。
 前回に階層ボスを単独撃破したことから、アイズのレベルが6に上がる。
 ダンジョンへの長期遠征。深い階層へ潜っていくのに、装備やアイテムの準備に多大な金がかかる。更に深く潜るために、ファミリアの資産をかなり切り崩して挑戦しようとしているが、そういう冒険商人みたいなことが描写されているのは、なんか好きだ。安全安全に行くのではなくて、そうやってハイリスク・ハイリターンの博打的なことをして前へ前へと進んでいくのは、なんかとっても冒険者らしい、細かいことを気にしない豪快で颯爽とした感じがするから好き。
 ギルドも、24層でモンスターたくさん発生という情報隠したり、なんだかきな臭い。
 その大量発生にレベル詐称を脅しのネタにされて立ち向かうことになるヘルメス・ファミリアの面々。そして同じく依頼されてその助力に向かうことになったアイズ。その依頼者、どうもウラノス(ギルドのトップである神)の配下のようだから、ヘルメス・ファミリアのレベルについてのあれこればれているようだ。そしてその大量発生は、実はモンスターが増えたわけでなく、ダンジョンの食料庫が一つ閉鎖されたことでモンスター移動が起こったのが、多数のモンスターが発生したように見えたことの原因だったようだ。そして閉鎖された食料庫では例の調教師の女らがそこで食人花を製造していて、調査をしにきたへるメス・ファミリア+アイズは、そこで食人花+調教師の女、そしてもう一人白ずくめの男と対決することに。
 かつて壊滅した闇派閥という集団(どういう思想かはわからんが、悪党らしく。かつてはダンジョン内で多くの人間を殺した集団のようだ)の残党を使役する。例の調教師の女の他に白ずくめの男が登場、彼は元闇派閥の幹部格で、死後に半モンスターとなって蘇る。しかし今回登場したと思ったら、あっさり斃れたな。
 彼の言葉から、彼をよみがえらした存在『彼女』がいて、その彼女は迷宮都市を滅ぼすことをもくろんでいるそうだ。本編に出てきた情報も考えると、その彼女が神々によってダンジョンに封じ込められた(ダンジョンそのものを生成している? )存在っぽいな。
 レフィーヤらが援軍来たこともあって勝利。
 レベル6になったアイズ、食人花をばったばったと切り伏せる。それにはレベル5のロキ・ファミリアの狼人が驚いているなど、その桁違いの実力に、レベルの上昇は相当能力上がることなのねと再認識。
 相手陣営はろくに人材いなくて『彼女』が使役している主力級がそろってこのざまじゃ、あまり脅威に感じないなあ。迷宮都市全体を相手取るにいささか不足感があるような。
 結局やつらを押し返してしまったしねえ。ただ「ヘルメス・ファミリア」には数名の犠牲者がでたようなのは、良かったといっては何だが、もし相手が闇派閥の死兵、食人花+調教師の女、そしてもう一人白ずくめの男がいるのに犠牲者ゼロなら興ざめというかしらけてしまうから、そうした意味では最低限の脅威を感じさせてくれたので、なんかホッとした。
 調教師の女が、アイズに向かっていっていた「アリア」。彼女の母親の名前であり、有名な精霊の一人? 一柱? まあそんなところなようだ。その二人が同一の存在かまだ確定はしていないが、その可能性が濃厚。それだと結局本編主人公ベルだけでなく、外伝主人公のアイズも血筋の存在からして特別ということになってしまい、なんだかなーという思いがちょっとはある。近年の作には結局「血統」がというのが多いなあ。まあ、昔からよくあるパターンといえばそうなんだけどさあ。でも、そうじゃない単なる一個人としてのサクセスというのも見たいな。
 本編で、アイズがベルの師匠役を買って出たのは何でだろうと思っていたが、もちろん彼に対する行為もあるだろうけど、何やら分からぬ強い敵手の存在を知り、それで一足飛びの成長をしている彼の成長の秘訣が知りたいと思ったというような理由もあったのね。それを見て、彼女がベルに修行をつけていたことに、なるほどと得心がいく。