新宿鮫 1

新宿鮫 新装版: 新宿鮫1 (光文社文庫)

新宿鮫 新装版: 新宿鮫1 (光文社文庫)

内容(「BOOK」データベースより)

ただ独りで音もなく犯罪者に食らいつく―。「新宿鮫」と怖れられる新宿署刑事・鮫島。歌舞伎町を中心に、警官が連続して射殺された。犯人逮捕に躍起になる署員たちをよそに、鮫島は銃密造の天才・木津を執拗に追う。突き止めた工房には、巧妙な罠が鮫島を待ち受けていた!絶体絶命の危機を救うのは…。超人気シリーズの輝ける第一作が新装版で登場!!長編刑事小説。

 購入後、しばらく積んでいる間に新装版がでていたようだ。そのため上のは新装版。
 警察官を主役とした小説は、どういった作品が評価が高いのかということも全くわからなかったということもあって警察小説というジャンルには手が伸びず、面白いものがあったら読みたいし、面白いし好きになれる作品が何冊もありそうなのに、このジャンルに手をつけないのはもったいないと思いつつも、今までほとんど読んでこなかった。
 しかし「この警察小説がすごい!」が発売され、そこでのリストで、ある小説、シリーズを読み終えても、別の高品質の作品を探すのに手間取ることはなくなったから、これがいい切欠だと思って、「この警察小説がすごい」のランク上位の作品が面陳されていたフェアをやっていたときに、そのなかで名前は聞いたことあって以前からちょっと気になっていたこの小説を、ランクインしている小説の中で、とりあえずの1冊目ということで購入したが、それがいまいち小説を読む手が進まない時期だったということもありしばらく置いていたら、その後はカバーつけたままで購入していたことすら忘れるという始末……。最近になって、何か読みやすい本ないかなと、棚に積んでいる本を物色している最中にこの本の存在を発見して読了。想定以上に読みやすくて、なんだかんだで1年半くらい積んでいたのが阿呆らしく思えるほど。さて、次はこのシリーズの2巻目を読もうか、それとも別の警察小説を読んでみようかどちらにしようかな。
 それは少し古いが一番古いといわれるから、ある意味仕方ないことなのかも知れないが、晶の口調は古臭いし、やたらと警察用語が多用されているのはそうした用語になじみがないので、最初は少し面食らったが、すごく読みやすいし、ハードボイルドも正直あまり好きではないのだが、それでも面白かったと思えたのだから、1作目を読んだだけだが、きっとシリーズ通して外れがないだろうという安心感を素直に持つことができる。
 鮫島、警察内部の暗黙のルールを気にせず、不正・不法を見逃すことをしなかった結果、エリートコースから外されたが、ひねくれていて扱いづらい人間だということはわかるから内部的には邪険にされやすいし、実際されているけど、悪者と妥協せずに徹底して対峙しているその姿はある意味では国民が求める理想の警官でもあるよな。ちょっと(どころではないかもしれないが)粗暴ではあるけど。
 『マンジュウ』桃井が鮫島を、良くも悪くもクールな態度そのままに、間一髪で助けたのは男前だね。しかしいくら鮫島が殺される寸前だったとはいえ、射殺するとは想定外というか、そうしたところには物語であることを強く感じさせられたな。
 そして、公安の香田は典型的な嫌な奴だけど、典型的とは思えどもやはりむかむかしてしまう。
 警察好きで、犯人を騙って事件の中に自分も入ろうとした男のパートは最初は難であるのか分からなかったが、彼の視点で事件の終結時の鮫島の活躍シーンで彼が鮫島にヒーローを見たおかげで、彼の活躍がより一層格好良く映ったから、こうして最後に主人公の格好良さを強調するためのキャラだったのかと合点がいった。