Fate/strange Fake 1

内容(「BOOK」データベースより)

あらゆる願いを叶える願望機「聖杯」を求め、魔術師たちが英霊を召喚して競い合う争奪戦―聖杯戦争。日本の地で行われた第五次聖杯戦争終結から数年、米国西部スノーフィールドにおいて次なる戦いが顕現する。―それは偽りだらけの聖杯戦争。偽りの台座に集まった魔術師と英霊達。これが偽りの聖杯戦争であると知りながら―彼らはそれでも、台座の上で踊り続ける。真偽などは彼岸の彼方。聖杯ではなく―他でもない、彼ら自身の信念を通すために。そしてその時、器に満ちるのは偽りか、真実か、それとも―。


 新刊発売直後に近くの書店になく、amazonでも在庫切れ続いていた(る?)のでなかなか読めずにいたがようやく読了。
 聖杯戦争は群像劇となるが、そうした群像劇を書くのが上手い作家さんだから、期待通り読みやすい。
 しかしこうした作品読むと、やる夫スレの聖杯戦争プラットフォームがかなり優秀なことを改めて実感させられるな。
 アメリカの架空都市スノーフィールドで行われた聖杯戦争を描くシリーズ(解説によれば5巻「予定」)になるようだ。
 stay/nightやzeroの舞台となった冬木の聖杯戦争のシステムを模倣して、新たにその土地の魔術師などが聖杯戦争を作った。偽りの聖杯戦争と名乗るなど、単純にマスターやサーバント巻での勝利以外にもなんか裏がありそうな雰囲気。しかし呼び出される英霊は本家でも呼ばれていたギルガメッシュなど、そうした力は本物。
 1巻はほとんどプロローグ、各陣営のマスターとサーバントについてのお披露目、それぞれのキャラを掴むための紹介に終始したという感じ。
 ロード・エルメロイII世(zeroのウェイバーのその後の姿)が登場。なんかその後に彼が偉くなったなどというのは知っていたが(というと実際の知人みたいな感じになって変だけど?)、実際にロード・エルエロイII世として彼が登場する作品を見るのははじめてなので、Zero後の彼の姿を見ることができたのはちょっとうれしい。まあ、二次作品ではあるのだけど。しかし彼自身が魔術師として大いに成功したということではなく、教授として魔術師を育てる才能が開花し、きわめて有能な教導者となったということなのね。そして彼がゲームをやっているのは、なんでとちょっと思ったけど、すぐにあっライダー(イスカンダル)の影響かと察してほんのちょっとしんみり。
 その彼自身がこの聖杯戦争に参加するというわけではなく、彼の弟子で、この聖杯戦争に関心を持った一人の才あふれるが変わり者(ロード・エルメロイII世からの評は「才能のある馬鹿」)の青年が好奇心の赴くままに(師から止められているにもかかわらず)聖杯戦争に参加する。
 キャスター、ネットで魔術の噂をあれこれ修習したといっていたが、何でそんなものがネット上にころがっているんだよと思っていたが、宝具の力か。しかし121ページあたりで、そこらのことをほのめかしているのに、278ページで身近なところでそうした指摘をされるまで気づかなかったとは、オーランド署長は、ちょっと自分のサーバントを甘く見すぎていたようだ。
 ギルガメッシュの友人、エルキドゥの登場。著者が新たに登場させた英霊というわけではなく、既にCCCという作品で原作の奈須さんがこの英霊とギルについて書いているようだ。
 ギルガメッシュとエルキドゥの戦闘はあるが、それも規模は大きいものではあったもののかつての友人通しのじゃれあい的なものでもあるため、本格的に聖杯戦争始まったぞーという感じではない。しかし規模的、威力的には最終決戦でもおかしくない宝具の打ち合いがじゃれあいとはなあ。無論、それが開始の合図の役割を果たしたけれど、入念に準備したり勝つために、互いを倒すために戦闘に入ったということではないからね。
 しかし、あとがき見ると改めてFateシリーズってかなりいろんな作品出ているということがわかるな。私はstay/nightとzero以外の作品は、主にやる夫スレ経由で幾人かのキャラクターは知っているという程度の知識しかないからな。それと以前著者が、エイプリルフールにfate二次作品を書いて掲載したようだが、それが元になっているようだ。
 そしてこの作品、他の色々なシリーズのキャラクターが登場しているようだね。無論あくまでパラレルな世界観みたいだけど。
 あと解説で、5巻分というプロットがあったようだが、プロットの量的に5冊で収まらなさそうなもののようだから、このシリーズは結構長く続きそうだということは、ちょっと驚いたけど楽しみだ。