パリでメシを食う。

パリでメシを食う。 (幻冬舎文庫)

パリでメシを食う。 (幻冬舎文庫)

内容(「BOOK」データベースより)

三つ星レストランの厨房で働く料理人、オペラ座に漫画喫茶を開いた若夫婦、パリコレで活躍するスタイリスト。その他アーティスト、カメラマン、花屋、国連職員…パリにいつのまにか住み着いた日本人10人の軌跡。時にセーヌ川のほとりで、時にワインを片手に、彼らが語る軽やかでマイペースなパリでの暮らしぶりに、思わず肩の力がふっと抜ける好著。


 著者が知り合ったパリで仕事をする面白い日本人のエピソード、人生について書いた本。そこで扱われる人物は、当然かもしれないが普通のビジネスマンでなくて、料理人やアーティスト、カメラマン、スタイリストなどバラエティ豊かな職業の人について書かれている。
 そうした人たちの人生、いかにパリにたどり着いて、この仕事をしているのかというライフヒストリーを描く。
 パリで仕事を見つけ生活の場にするという明確な転機があるし、異国でそうした仕事を見つけるまでの苦労の部分もあるからストーリー的にもわかりやすくてメリハリあって、その人生を変える転機で見事に変えられた人たちを描く。
 この本で描かれているバラエティ豊かな職業についている人たちは、のびのびと自由な人が多いから、ゆったりとした明るい雰囲気の話ばかりでいいね。また、自然とパリに流れ着いて、そこが自分の場所となったという感じの人が多いからか、自然体で充実しているって感じで肩肘張らない感じな語りをしていて、説教臭さみたいなものがないのもいい。おかげで気軽に読める。
 エツツこと悦子さんの話、なんだか村上春樹とかに出てきそうな人物とストーリーで面白いなあ。美術の基礎的な勉強をしていないのに、パリでいつのまにやら絵だけで生活できるアーティストとなったってすごいな。
 そしてヨーヨー・アーティストYukki、元ヨーヨーの世界チャンピオンだが技術的な高みを目指すのではなく、サーカス学校に入り、プロとなり、ヨーヨーを使い芸術的な演技をしようとするも、そうした方向性に行くもの他になく茨の道を一人歩んでいるので、スランプというか悩みが深かった時期に著者と出会い交流していたことが書かれる。このYukkiさん、透明感のある可愛らしさのあって、彼について書かれた文章を読んでると少女マンガとかに登場するような儚げな美少年を連想する。
 鍼灸師鍼灸操体、オイルマッサージなどを有機的に組み合わせた治療をして、多くの人の身体の痛みを治す。こうした整体とか鍼灸の名人という存在は、神秘的で魅力的だから惹かれる。まあ、実際のところ単純に鍼灸だけならプラシーボしか効果がないみたいだけど。でも、この先生は色々組み合わせて身体を整えているのだから、たぶん実際に効果があるのだろうと思えるから、いいね、惹かれる。