RPF レッドドラゴン 5 第五夜 契りの城

内容(「BOOK」データベースより)

“死者の王”として復活を果たした〓震戒(ロー・チェンシー)こと天凌府君が呼び覚ます還り人の群れによって、蹂躙の限りを尽くされるニル・カムイの大地。そのさなか、“赤の竜”を殺す方法を唯一人知る巫女“喰らい姫”の託宣に従い、忌ブキたち革命軍、ドナティア軍、黄爛軍、そして天凌府君軍が一堂に集うとき、人と竜とが契りを交わしつくられたという伝説の魔城“契りの城”が屹立する―!いよいよ迫り来る最終決戦!!

 前回で道が分かれた赤の竜調査隊のメンバーだったが、今回はそれぞれの目的を胸に、赤の竜を倒すべく最終決戦の地に各人は赴くことになる。
 前回ニル・カムイの首府であるシュカが壊滅して、メンバーは各勢力にばらけて各地へと散っていく。
 スアローは麒麟船をファンブルで赤の竜への攻撃もできずにぶっ壊したことで、自分の力、呪いのような能力によって救えるものがあるという希望がちらと目の前に瞬いた瞬間にそれが潰えたことでわりきったはずの無力感にさいなまれる。
 還り人となった婁震戒は殺した者を還り人化できる能力を得る。そして彼は天凌府君を名乗り、手始めに廃墟となったシュカで残った人々を平らげて、その後もそうして大きな町を平らげることで配下を増やし、勢力を拡大していく。PLもつっこんでいるけど、彼だけ別ゲーの様相を呈している(笑)。
 禍グラバはどうしても口と金でまるめこんだり、優位に立とうとしているからどうも印象よくないな。それが武器だからその持った武器で、自分の目的を達成するにはそうするしかないにしても結局一独立領主でしかなく、その地の現在を守るために他も守ることがあっても、ニル・カムイという国とその未来を守ろう、勝ち取ろうとする革命軍とは食い合わせ悪い。それなのにわざわざ共に行動しているから、余計に俗物的な臭みを感じる。守るために金に飽かせて、天凌を除く全勢力にベットしているところとか。彼がどうあっても所詮一地方領主に過ぎない、国を変えるためにはあまりにも微力な存在であるなら仕方ないことかもしれないが、そうでないからこそ、そして現在も局外者で拠点にこもって、暗躍しているのならばまた思うところも違っただろうが現在では国の変革に際して出張ってきているからこそ気になってしまう。
 拠点に戻った革命軍が、嫌なニュースがあったがそれを切り替える意味もこめて宴会をするという場面で、サプライズでニル・カムイ料理(巻末のレシピを見たら、それっぽく名前を変えたタイ料理みたいだけど)を出して、雰囲気を味わいながらPLやFMが食事しているシーンは好きだな。こういうのいいなあ。
 皇統種か、そのそばに居る一人が意思判定に成功したら人格保ったまま還ることができる。エィハのシリーズ冒頭の死亡後の意志判定、人格が保ったまま還るのか、そうでないかの判定だったのね。
 精霊とか土地神とかそうした類の存在である喰らい姫が、各大勢力に時代の移り変わりに浮かび上がる<契りの城>が、出現することその日時と、そのときそこには赤の竜がいることを書き記した手紙を送る。その情報を得たことで各勢力は<契りの城>へと向かい、そして各勢力が、そして全てのかつての赤の竜調査隊のメンバーが、競争相手として同じ場所に集うことになる。
 阿ギトが主たる忌ブキに膝を突いたときに『すべてを熱情の顎(あぎと)で飲み込まんと、遥か彼方の天を焼く』(P280)という描写があったので、阿ギトの名前って、そうした意味がこめられていたのね。そして最終決戦前にそうした描写をいれてくるのはいいね。
 そして各勢力が契りの城が出る場所に到達し、実際に契りの城が出現したところで今回は終わり。そして次回はついに最終決戦が始まる。