ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンライン 3 セカンド・スクワッド・ジャム 下

内容(「BOOK」データベースより)

“リアル世界のピトフーイの死”をかけて戦う第二回SJ。最悪の事態を回避できる唯一の方法は、レンの手によってピトフーイを殺すことだった…。参加を決意したレンは“ALO(アルヴヘイム・オンライン)”からコンバートした地元の親友・美優とタッグを組み、次々と強敵をなぎ倒していく。一刻も早くピトフーイのもとに辿り着こうと焦るレンたちをよそに、鬼のような強さと狂気をみせるピトフーイは「死」を愉しむかのように参加チームを壊滅させていき―。果たしてレンはピトフーイを救うことが出来るのか?79,408発の弾丸が乱れ飛ぶ緊迫&白熱のクライマックス!!

 前回から引き続き、第二回スクワッド・ジャム(銃火器で対戦するVRMMOガンゲイル・オンラインでのチーム戦の大会)の後半戦。シリーズがこの巻で終わりだと思っていたけど、どうも勘違いで終わりじゃなくて単に、この第二回の大会が完結ということでいいのかな? ちょっと前巻のあとがきとかを見て、どう書いてあったか再度見てみようと思ったけど、本棚のどこにあるか所在不明になっていたのでよくわからなかった(笑)。しかし改めて探して、あとがきを読んだら初、最初から三巻構成でしたよなんていっているのでたぶんこれでラストでいいんだよね? よくわからないけど。それともこの上下で1巻分ということなのかしら。
 今回は結構長めとなっているが、ほぼ全篇通して戦闘シーン。今回レンたちと高校生チームSHINCとが全面共闘していて、尋常じゃない強さを誇るピトフーイやエムらのチームに一矢報いる活躍をSHINCが見せているのはいいね。
 ピトフーイはこれ見よがしにいたぶるまねをするなど、相変わらず嗜虐的すぎて少し引く。だから、どうにも好感が持てないなあ。
 戦闘での死亡後には10分間だけ破壊不能オブジェクトとして死体が残るということを利用した色々な戦術を使ってきていたり、その仕様をもとにした戦闘模様を今回いくつものシーンで書いている。それを利用して死んだふりを決め込むのはいいとして、敵の死体を盾として使ったり、味方を殺して銃座として利用する戦術を取ったりとかなりえげつない利用の仕方をしているね。本気で勝ちに行っているからこそ、そうした倫理的にあれなこともしているのだろうが、やはりゲームでもVRMMOでそうしたことを堂々とされることにはちょっとした違和感があるなあ。
 『スコープのど真ん中に、完璧にヤツの可愛い顔を捉えたというのに』(P100)というような、さりげないパロディ的な表現はクスッと笑えていいね。
 前回レンたちと優勝を争った高校生チームに、事情を明かして共闘することになる。ピトフーイの命がかかっている、というか勝手に彼女がスリルある戦いにするために命を懸けている、ことを知って直ちに当初望んでいたレンとの勝負を脇に置いて、協力してくれるとはいい人たちだな。
 そんな彼女たちの一人のトーマと、前回ピトフーイーの紹介でレンとコンビを組み、今回ピトフーイと組んでいるエムとで砲撃戦のようになっているのは普通の銃撃戦とは趣が異なった変わった対決でなんかいいな。
 ピトフーイを自分が倒さなければという思いに囚われて、その使命感が思い切りの良さを減じさせていた。しかしそんな煮え切らない彼女に発破をかけるために無理攻めをして犠牲になった高校生チームSHINCのメンバーや相棒のフカ次郎を見て、ようやく吹っ切れて細かいこと考えずとにかく戦うと決心する。しかし第一回のスクワッド・ジャムのときもそうだったので、どうもレンはあれこれ考えるよりもアドリブでその場その場を切り抜ける際のが強い、土壇場に強いタイプみたいね。
 しかしピトフーイは、フカ次郎の手足を打って友釣りを狙うというようなえぐいことをごく普通にやるねえ。そんなSAOで本当の命を懸けた戦いを行えなかったことを悔やみ、それに囚われていたピトフーイもこの大会とレン、そしてエムのおかげでようやく憑き物が落ちたという感じかな。少なくとも命を懸けた戦いを切願するような死に急いでいる感じではなくなったと思う。
 最期はレンとリアルでのピトフーイが初対面を果たす。まあ、ピトフーイのリアルは大方の予想通り。そしてその後、二人の距離が今までよりも縮まって遠慮がなくなった友人として、このGGO世界で遊んでいることが示されて終わる。
 巻末のこのシリーズに出てくる銃器の解説が載っているが、その『解説は、登場銃器のネタバレがありますのでご注意ください』(P522)という注意書きがあるのには笑った。銃を知ったところで普通何もわからないだろうと思うのだが、銃に詳しい人ならこの銃器が出ているということはとか色々予想できるのかしら? 銃器のネタバレって、そうすると何が困るのかがいまいち想像できないわあ(笑)。