オーバーロード 9 破軍の魔法の詠唱者


内容(「BOOK」データベースより)

王国と帝国の戦争は、例年通り睨みあいで終わるはずだった。しかし、帝国の支配者である鮮血帝・ジルクニフがナザリックを訪れ、アインズが参戦を表明したことで、小競り合いに大きな変化が―。暴虐の嵐が戦場に吹き荒れ、恐怖に染まり、そこは地獄と化す。


 今回は大分アインズ様が絶対強者感を漂わせて活躍している回。
 冒頭、ナザリックのダークエルフの双子にダイナミックエントリーされた帝国の対応から始まる。そうした力を見せ付けて、ワーカーを送り込んだことについて非を鳴らして皇帝を呼び出した。そういうこともあって皇帝はアインズとの対面前からもう、大分ぐるぐる考えて、逃避的な思考に流されたりしている。
 しかし皇帝の大物感がweb版よりも減じた印象だ。まあ、それはキャラクターの違いではなく相手の力について知っていることがweb版よりも多いという前提条件の違いだろうけど。
 アインズはweb版よりもずいぶん皇帝にプレッシャーかけるね。『「貴殿のおかげで、大人しく暮らしていても面倒ごとに巻き込まれると知った。ならば、地上に出て面倒ごとを叩き潰しておこうと思ってな」(中略)「まずわれわれに害をなす者たちにその愚かさのつけを支払ってもらう。その後、煩わしい者たちもだ。私の愛する静寂が戻ってくるまで、順次始末していく。」』(P74)と静かにいっているのは悪の絶対強者っぽいセリフでいいな。
 まあ、帝国の皇帝に対してとりあえずそれっぽく対応して、その行動に頭の切れる配下アルベドデミウルゴスにありもしない深慮遠謀があると思われて、内心あせりつつも良くぞ見抜いたという幹事で代わりに説明しろといって、それを聞きながらそんな意図ないからと思っているのはいつも通りだけど(笑)。しかしアインズ様は、正直web版よりも大分知力強化されているから、改めてそうして説明されるまでは、どこまでが狙い通りと言うのかがわかりにくい。だから、ひょっとしたら皇帝の考えているくらいの読みではなくても、その中の結構な部分は的を射ているのでは、とちょっと思ってしまうものがあるよね。
 フールーダがナザリック入りしなかったのはあら? と思ったけど、帰りの馬車で皇帝がフールーダの裏切りを疑っているのを見て、そういえば前巻とかでナザリックのメンツが彼と接触していた気がするから、それでナザリックに入らなかったのかと納得。まあ、web版でフールーダがアインズの力に興奮して弟子入りを直訴する場面は好きだったから残念でもあるが、まあ、そうした状況に置くことでのナザリックのメリットもあるからいいけど。例えば、それによって帝国への枷にもなるし知識はしっかりと得られるし、新鮮な情報提供者ともなるだろうし。
 しかしデミウルゴスをカエルといっているのは伏線かね。と思ったけど、王国の王都襲撃で姿出していたからばれないように万一でも姿を変えていたということか。それが幻覚なのか、きぐるみ的な装備なのか、それとも単純に代役立てたのかはわからないけど。
 ナザリック、建国する。そしてアインズ魔道王を名乗ることにする。
 web版ではアインズがこのカッツェの戦闘でつけていた籠手は、書籍版ではマーレが装着しているのね。
 間章竜王国の女王の顔見せあったのは、web版で(確か)まだ登場してなかったキャラだから嬉しいな。しかし竜王国はなんか窮地に瀕しているのか、なんかもっとやばい力の持ち主で脅威だと思っていたから意外。いや、実際多くの国民の犠牲を払えば超強力な必殺技が放てるのだから、アインズにとっては警戒すべき人物と言うことは変わらないけどさ。
 カルネ村をアインズを助けたということで情報を聞き出すため(そして王が息子を危地から遠ざけるため)に第一王子が軍と共にその村に派遣される。しかしゴブリンやオーガを村に抱えていることで隠れるための時間がかかり、また救村の英雄であるアインズが王国と敵対したことを知って、そうだとしたら王国が間違っているのではないか、そして助けてくれたアインズに不利益となることはするべきでないという声が村民の間からあがる。
 そうしてしばらく門を開かずに意見交換をしていると、さっさと用事を終えて帰りたい王子は苛立ち、脅しで火矢を射掛けてくる。その行為を見てもともと先の村への襲撃で軍に反発を抱いていた彼らは交戦を決意する。
 そのようにカルネ村は自ら選んで、自らの力のみでアインズ側に立ち交戦することになった。それも英雄アインズの邪魔にならないために死を覚悟して。
 こういう展開いいね。web版にはなかった展開だからどういう経緯になるかわからないのもいい。ゴブリンや村人たちが壮烈に戦っていて、いいね。このイベントのおかげで、今後エンリやこの村がどれほど厚遇されても気にならなると思うから、こうした描写があってよかった。
 小鬼将軍の角笛、なんか条件があってゲームでは発動しなかった真の能力が異世界で始めて発動される。んー、何年もやっていてそんなことってあるものかいな。まあ、製作者の悪ふざけと言うか気づいても気づかなくてもというものだということはわかるけど。
 超位魔法を発動するための時間を課金アイテムでなくすことができるというのは、よくよく考えてみるとなかなか酷いというか、ガチで戦闘するには課金前提なタイトルのゲームだったのだなという印象を受けるな。
 レエブン侯いいキャラしているので生存ルートは嬉しい。しかし彼のために黒い仔山羊が止まったのはてっきり彼が使えるから利用しようとしたのかとも思って、彼がナザリックに取り込まれるのかなとちょっと期待していたのだが、レアな人間とわかっているガゼフの勧誘のために一時停止したことで止まったというだけで、レエブン個人を惜しいと思ったわけではないということなのはちょっと残念だな。レエブンはいいキャラしているし、何よりも国よりも家庭だと思ったようだから、ナザリックについたら疑われるような行為しないだろうから、彼を取り込めたら大きいと思っていたので。
 レエブンの代わりにガゼフが逝ったか。しかしガゼフとアインズの決闘。まともな勝負にならなかったが、前後の会話でアインズが純粋な強者としての立ち居振る舞いしているのが好き。
 割譲されたエ・ランテルで英雄モモンを使った芝居によって市民の反発を抑えたため、混乱なく平和的に統治を進める。
 そしていよいよ次回からは完全にwebとは完全に別物の展開になるようで、どうなるのか楽しみだわあ。web版未登場のドワーフの王国が出てくるということにもワクワク。