ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 外伝ソード・オラトリア 4

内容(「BOOK」データベースより)

「聞いても、いい?」「えっ?」「どうして君は、そんなに早く、強くなっていけるの?」「…何がなんでも、辿り着きたい場所があるから、だと思います」「私も…」―悲願がある。何がなんでも、辿り着かなければならない場所が、遙か先の高みにある。少女にも、少年にも。ついに始まる『遠征』。未到達領域59階層への挑戦。少女は『未知』へと挑み、そして少年は―。『―冒険を、しよう』これは、もう一つの眷族の物語、“剣姫の神聖譚”―

 前半は本編3巻ベルがアイズに修行をつけてもらい、ミノタウロスを打倒するといったストーリーの裏でのアイズらの話であり、ダンジョン深層へのアタックのための準備期間の話し。そしてロキ・ファミリアの面々がベルのミノタウロス打倒を目撃したのはダンジョン下層へのアタックを試みる途中の道行きでのことだったが、後半はそのダンジョン深部へのアタックの様子が描かれる。
 しかし本編が6巻7巻とダンジョン探索がメインでない話が続いたから、そう感じるだけかもしれないけど、なんだか外伝の方がダンジョンパートが多い気がするな。あと、そう感じるのは、ロキ・ファミリアがろくに情報のない深層に行ったり、そこで未知の敵と戦いを繰り広げたりしているというのもあるからかもね。
 しかし相変わらず外伝のほうで、ダンジョンに巣食う者たちとの戦いあり、表には出ていない厄い情報ありというダンジョンという存在の謎(この都市、世界設定の根幹的なもの)を強く感じさせるような話などが書かれるな。まあ、いずれ本編ともリンクするのだろうけど、まだ本編では基本的に一つの事件は直ぐに後腐れなく解決できる後味の良い英雄譚がメインで、ダンジョンがどうもおかしいというところまでは描かれても、そうした得体の知れない敵、すぐさま対処できない勢力と対峙していないな。
 アイズがベルに修行をつけていたシーン。あまり考えておらず、とりあえずという軽い感じで模擬戦で訓練つけているのかと思っていたが、言葉で伝えること苦手だから考えてそういう形式にしていたのか。こうした本編でも描かれていたベルとの絡みをアイズ視点で見ると、彼女の不器用さが際立つな。
 外伝のもう一人の主人公エルフの魔法使いレフィーヤ、ベルがアイズに指導を受けていることを知って彼をライバル視するようになる。
 ヴェルフの魔剣作成能力は、(本編時点では)かつて所属していたヘファイストス・ファミリアの団長・椿よりも勝る。そうした情報が以前に出ていたかはわからないけど、そんなに彼の能力はすごいものだったのか。
 レフィーヤ、取得できる魔法の数に制限があるこの世界でエルフの魔法ならば、その詠唱と効果を完全に把握できれば使えるようになるというのは普通に凄く強いよね。特に今回のように友人になったコに魔法を一つ教えてもらって直ぐ使えるようになるという展開を見ると、そう感じる。
 ロキ・ファミリアの団長フィンは小人族再興のために動いているということで、妻も同族がいいと思っているから、ティオネの積極的なアプローチに全然なびいていないということか。
 58階層から52階層にまで大火球で攻撃をしかけてくる砲竜が登場。階層ぶち抜いて攻撃というだけでその強さがわかるので、強敵感がでていいね。
 ロキ・ファミリアの初期メンバー、団長で小人族のフィン、大魔導士のエルフ・リヴェリア、ドワーフのガレス。ガレスは他の2人に比べて今まで印象が薄かったが、その砲竜にすばやく強烈な一撃を加えた後、その竜の尻尾をつかんで振り回して放り投げるシーンで一気にキャラの印象が憑いた。いやあ、強い強い。しかし普段裏方に回っているとかで、他の少人数で降りて(落ちて)きた一線級のメンバーもその力に驚いている。
 しかし5人で砲竜を倒す。そして58階層で8時間も休みなく戦い続けられる継戦能力など冒険者は単に強いだけでなく、思っていた以上にタフな存在なのね。そして彼ら、彼女らは、そんな長時間戦えているのだから、そうした階層でも案外余力持って戦えているのだろう。
 古代、神に遣わされて英雄に協力した精霊たちの中で、モンスターに喰われてなお自我を保ち、在り方が反転した穢れた精霊。ラストのウラノスの話を見るに、ダンジョン深層にいるであろう穢れた精霊の本体が、このダンジョンに巣食う脅威の元凶ってことなのかな。神に地上に遣わされた存在だから、神への悪意があるから、本編でダンジョンにヘスティアがいるとわかったとき、ああなったということかな。