元素生活

元素生活(文庫版)

元素生活(文庫版)

内容(「BOOK」データベースより)

原始時代の5倍、江戸時代の2倍。私たちは、人類史上もっとも多様でたくさんの元素に囲まれて生活しています。118個すべての元素と、ミネラルから元素危機まで、今こそ必要な元素の基礎知識が、見てわかる。絵とキャラクターで見る、イキイキ元素の世界。


 それぞれの元素にゆるいキャラクターのイラストを付けて、イラストや説明文で各元素の性質だったり、その元素がどんな利用されているかどんな製品につかわれているかなどについて解説している。各元素の説明は、その元素で説明できること(利用され度合い、エピソードの多さ)にもよるが基本的に1ページで、特に有名・身近なものは2ページ。そしてマイナーなもの(元素番号が三桁とか、後のほうの元素)は2分の1ページだったり、4分の1ページだったり、最後のほうのものは6分の1ページ。
 しかし一目見ればわかるようにという配慮のもとでそうなっているのはわかるのだが、キャラクター(元素)のヘアスタイルが雑というか変な髪形で、その髪型の雑っぷりに少し笑ってしまう。
 カバー袖にあるいろんな符号を見て、イラストのキャラがこの髪型だったらこういう分類の元素とか覚えるの面倒そうだと思ったけど、案外それ覚えなくともなんとなくで読める。それに中盤は各元素の説明で、キャラのイラストと共にどうやって利用されている元素かということを書いてくれているので、いちいち暗記する必要なくてほっとした。
 冒頭の好奇心から純正ヘリウムを吸って息ができなくなり危うい目にあったという話は、たぶん本来は単純な笑い話だったはずが、最近ヘリウムを吸いすぎたことでテレビ番組の収録か何かで事故が起こったというニュースが出たので事故防止のための啓蒙的な意味がやたらと強くなって聞こえるな。
 そのヘリウムは地球上ではわずかなもののようだが、宇宙全体では27パーセントと全体の71%ある水素に次ぐ2番目に多い元素で、太陽でも4.8%(水素は95.1%)と2番目に多い元素であるようだ。
 ベリリウム(元素番号4、Be)アルミニウムの約3分の2と軽く、熱に強い(融点1278度)、バネにすれば200億回以上の衝撃に耐えられる優良な物質だが、その粉末は猛毒で、粉末にしないと加工できず、防護服など手間がかかるためあまり利用されない。こういう有用だけど、事情があって(例えばこの元素のように毒のため)利用できない元素・物質を知るのはなんか面白いな。
 マグネシウム(元素番号12、Mg)、ノートパソコンや携帯電話のボディに使われているが、豆腐のにがりにも使われている。また、植物の葉の緑色(葉緑葉)の中心元素でもある。
 アルゴン(元素番号18、Ar)アルゴンガスはふつう何ものとも反応しないため、アルゴン内で保存すると変化しない。そのため古文書を保存することに利用されている。
 カルシウム(元素番号20、Ca)大理石もカルシウム(炭酸カルシウム)で、日本の壁などに使われる漆喰もカルシウムと言うのは面白いな。
 マンガン(元素番号25、Mn)アルカリ乾電池とマンガン乾電池、仕組みが異なるだけで中の成分はほとんどかわっていないというのは意外。
 コバルト(元素番号27、Co)昔の銀鉱山で、銀がとれないのはコボルト(山の精)の仕業だと考えられ、恐れられていたことが名前の由来。コバルトという名がコボルトから来ていたということには驚いた。
 セレン(元素番号34、Se)日本がこの元素の生産量で世界一のようだ。イラストでは日の丸を振っているけど、この元素をいちばん生産しているのが日本なのか、この元素が世界で一番生産されているのだと旗ふってアピールしているのかちょっとわからなかったから、ちょっとぐぐったが前者であっているようだ。いや、まあ、それほど耳にする元素でないから前者っぽいとは思ったけれど、一応確かめるためにぐぐった。
 ジルコニウム(元素番号40、Zr)あまり耳にしない元素だけど、このジルコニウムの酸化物の粉末を焼き固めるとセラミックになるのか。
 フランシウム(元素番号87、Fr)『天然に存在する放射性元素のなかではもっとも短命で、最長21分しか存在しません。』(P158)
 人体を構成している元素、値段的には1万3000円と書かれているのは、なんとなく鋼の錬金術師を思い出す。
 最後のほうにはミネラルとして認められている17種類の元素とそれが欠乏したり過剰にとったりすると起こる症状やそのミネラルが含まれる主な食べ物が、これもイラストと共に書かれている。
 本文では各元素の説明について元素番号准だったが、巻末にはその各元素の説明がされているところについてアイウエオ順での索引あり。