ログ・ホライズン TRPGリプレイ 山羊スラ戦車と終わらない旅 下

 このリプレイシリーズも、これで最終巻。冒頭の注にもあるように、ボリュームが大きくなった結果、前回と今回とで上下巻に分割されたようなので、当然今回も1つのシナリオのリプレイを収録。
 しかし回を重ねてきただけあって、メンバーの掛け合いもプレイヤーキャラ間でもプレイヤー間でも軽口も増えてきていいね。また、1シナリオで1冊を構成しているからそういうシーンが増えているということやキャラクターが互いにしっかりしてきたこともあるのだろうけど、そうやって互いに良い意味で遠慮がなくなったおかげで面白い掛け合いや日常シーンも多くなっている気がするから嬉しい。
 あと、アマゾンで買ったらなぜか感想用のハガキが2枚も入っていて思わず何か2つのハガキに何か違いがないか見てしまったよ。
 しかし前回から、マスダさんからAKおじいちゃんへの不信が続けていて、マスダさんのPLがAKのPLに冒頭のプリプレイからインタールー度にかけて相当にハードルあげているのが笑える。
 注で、僅かな変化は見過ごしやすくいわれてみて改めて気づくことの例として、ニコが『フォークでポークソテーを食べて』(P31)と書いてあるけど、そんなシーンあったっけ(笑)。たしかに気づかないものものだなあ。
 ロデ研「協力」で、このキャンペーンのマスコット(?)敵存在である山羊スライムの催促作戦、本来は1つの本に2つのシナリオを載せて1巻でまとめるつもりだったが、巻をまたいだ伏線となった。しかしよく考えてみたらプレイヤーたちは、どのくらい日を置いて収録しているのかわからないけど、読者と同じように日を置いての伏線となっているのか。
 82ページの注でロデ研が封音盤と拡声器を作成していたことが書かれているけど、こうした設定が明らかにされるのは色々と想像が広がっていいね。
 前回の次回予告で明らかにされていた、山羊スライム戦車が登場した折、その姿を説明するときに、クトゥルフ神話の神話的存在が登場してきたときみたいなSANチェックが入りそうな描写をしていたのは笑った。 
 増殖する山羊スライムを燃料代わりにして移動するというのは笑った。しかし482万ゴールドって、原作的に一人の熟練プレイヤーが数万もっている程度だったから、それで考えてもえらい値段だ。そんな金をAKが返せないだろうと暗い気分にならないわけじゃないけど、その金を払いきれないだろうから、一時的に(というか長く)ロデ研の負担となるだろうによくそんなの作ったなとロデ研にも呆れる。
 それに仮にも円卓会議のメンバーなのに詐欺まがいなことをするのはどうかと思わないでもないな。まあ、このTRPGは自由にキャラや設定を多少をおかしくても自由にやっていいんだということをリプレイでアピールするためにそういうちょっと滅茶苦茶なことをしているとか、そういう理由があるんだろうけどさ。
 ハーフアルヴの種族特徴、舌に魔法陣のような紋章があることが特徴なのか。これは、もしかしたら前にもどこかで説明されていたのを目にしていたかもしれないけど、最初にシロエのイラストを見たときに感じた人間と変わらんじゃないか、どこが違うのという印象が強いから、そうなんだとはじめて知ったときみたいなことを思ってしまう。あるいは本当にはじめて知ったのかもしれないけど(笑)。
 山羊スライム戦車、山羊スライムのぬいぐるみの燃料が万能エネルギーってキャンペーンの最終回だからといってかなり突飛な設定をぶちこむなあと思っていたが、最後に山羊スラが燃料になるのはアルヴの電池のような存在である水晶が内臓されているからであり、結果的にロデ研がしたのは(当人は知る由もないことだったが)その技術の復活だったというようにちゃんと理屈が合って、世界観が維持されているということにちょっと驚いた。
 注に、TRPGリプレイは日本ではライトノベルの1ジャンルとあって、別個のものではなくそういう認識でいいのかと、今までどういう位置づけのものかいまいち判らなかったからそれを知って少しあったもやっとしたものが消えた。
 後衛であるAKが最終決戦で2ターンを費やしておもむろに前線に突っ込んでいき、今まで未使用で、GMのそれを持っていることを忘れていた特技《ヴォイドスペル》を使ってボスの攻撃を一度無効化して一気に流れをPC側有利に傾けたのは格好いいなあ。
 そして最終決戦ではウルフがダイス目が神がかっていて、回避に攻撃にと大活躍。
 山羊スライムたちが意思を得るというエンドになるとは予想外。そして注でも書かれているが、世界級魔法的な。山羊スライムのおかげで謎の水晶を持つモンスターの騒動は解決する運びになったけど、在庫はなくなって、借金返す見通しも立たずに、にゃんこ亭のメンバーの冒険はこれからだ的な終わりになるとは最後はきれいに閉められると思っていたので大分予想外だったわ(苦笑)。
 あとがき、リプレイシリーズミニとしてアニメ2期のDVD特典としてアニメの声優さんがPLとなったリプレイがつくようだが、それ以外にも普通に書籍として他にログホラのTRPGリプレイでないかな、でたらいいな。