RPF レッドドラゴン 6 第六夜(上)夢幻回廊



内容(「BOOK」データベースより)

長き旅路の果て、ニル・カムイの核心を成す伝説の魔城、「契りの城」に集った革命軍、黄爛軍、ドナティア軍、そして天凌府君軍。それぞれの思惑が激しく交錯する四つどもえの死闘のさなか、スアロー、婁、エィハ、忌ブキ、禍グラバら五人の英雄たちはそれぞれに秘められた“天命”へと導かれ、ついに“赤の竜”と対峙する―!!至高の最終決戦が今始まる!!

 最終決戦用に3Dプリンタで実際にフィギュアを作って、最後のセッションで出す。しかし婁震戒が<天陵府君>バージョンでフィギュアになっているということは、(具体的にどのくらいの期間が婁が<天陵府君>になってから、今回のセッションまで時間があったかはしらないけど)結構なハイスピードで新しく3Dモデリングをしたのか。もし婁のモデルを既に作っていたが、それが展開によって<天陵府君>と称すことになり見た目も変わったので新たにモデリングしなおしたのなら、すごい力の入れようだな。
 赤の竜が正気を取り戻すための方法を聞いて、エィハは忌ブキの友人である赤の竜の正気を取り戻すためにそういう選択肢も視野に入れる。しかしそのために先に倒さなければいけないもの(竜殺し)たちがいて、その中に阿ギトがいることで躊躇したりもせず、またそれを当人に気取らせないポーカーフェイスぶりと、冷静にそいつらをどう処理しようかと計算している黒さがいいね。
 そして相変わらず虚淵さんの反語的なといいますか、自身のキャラが絶対思っていないことを絶対言わないような口調でいうという冗談(68ページなど)は面白いなあ。そうしたことは毎回言っているけど、それほどこうした冗談は好きだし、個人的にはこうした冗談がシリーズ中でも一番笑えた。あとエィハの黒さとかもそうだけど、そうしたキャラの仄暗くシリアスな部分をプレイヤーがネタにするのが好きなのかも。
 <契りの城>が出現して、<契りの城>からでてきたモンスターらと各勢力が激突する。そのとき軍規模の戦闘と言うことで特殊なルールが用いられることになるが、互いに別の勢力に横槍を入れて攻撃もよいということもあって、特別なルールの下でそうしたことも色々考えながらプレイヤーたちが軍を動かしているのは面白い。
 そして短時間で精鋭(プレイヤーなど)が城へ突入してしまったからこのルールで軍を動かしたターンは少なかったが、他の本気っぷりからしてこの軍規模の勢力同士の戦闘ルールも詳しい詰められているのだろうなと言うことを思うと、その詳しいルールについてちょっと知りたくなる。
 <契りの城>で赤の竜の残留思念が、狂った自分自身(赤の竜)を倒したら得られるものについて各人に語っているが、婁(天陵府君)が赤の竜を殺したら、天陵府君と彼によって還り人になった者は、この島から出られる(通常は出られなかった)ことを知ったほかのプレイヤーがかなり動揺しているのが面白い。まあ、もしそうなったらゾンビものみたいな展開になってしまう可能性もわりとあるから、そのリアクションも致しかたないか(笑)。
 エィハは忌ブキが目標を達成できるように彼の剣として立ち振舞ってきたが、<契りの城>で赤の竜の残留し年は「彼女が」赤の竜を倒したら、自分や自分の意思にとどめておける(180人)だけのつながれものやまじりものの短命を克服できると伝える。その選択肢ができたことでここにいたって忌ブキの影でなくなる。その選択によって、エィハは忌ブキを出し抜いてそれを目指すかという決断が迫られる。そのことでエィハやプレイヤーを迷わせて、決断を迫ることになる。スアロー(奈須きのこさん)がFMにクズっていったのもわかるような惑わせっぷり。でもエィハが忌ブキの剣、側近のような存在として一本筋の通ったプレイングをしてきた彼女に最後にそんな窮極の選択を迫るのは面白い。
 霊母が<竜>を殺したことによって人が魔術を使えるようになった。
 今回、もう直ぐ<契りの城>が出現して、そこに赤の竜がいると予言されて、各軍が距離を置きながら結集していた場所に、ついに城が浮かびでる。そしてその城から強力な敵やモンスターが、その城に入れまじと続々と出現する。その地に集結していた各軍を食い止めながら黄欄、ドナティア、革命軍、そして天凌府君軍といった各勢力は少数精鋭の人物を城へと送り込むことに成功し、かつての赤の竜調査隊のメンバーたち(PC)、そしてその他の重要メンバー(霊母の分身である雪蓮や阿ギトなど)が最後の決戦の場所へと集うことになる。そして<契りの城>の中の幻想的なフィールドでその集ってきた人々と赤の竜が登場して争うことになる。
 その最終決戦のフィールドもこのためだけに作って、その最初にあったキャラのフィギュアをそこに乗せて戦うという大掛かりさはすごいな。
 しかし改めてみると、ラスボスを前にしてラスボス倒すことを目指すほかの勢力たちとも戦うことになるというのは中々に珍しいシチュエーションだな。