絶対ナル孤独者 3

内容(「BOOK」データベースより)

凶暴なルビーアイ二体を倒すことに成功した“孤独者”こと空木ミノルは、同じような能力を持つ“味方”が集まる厚生労働省安全衛生部特別課―通称“特課”にスカウトされる。“特課”最強の能力者といわれる“屈折者”小村スウとコンビを組んだミノルは、敵の隠れ家に侵入する作戦に挑む。そこで目撃したのは、最強最悪の敵“液化者”の意外な正体で…!絶体絶命の窮地に陥ったミノルとスウの運命は…!

 ネタバレあり。
 新登場の表紙のキャラ、小村スウ、いいね! メインヒロインは1巻からでていたユミコなんだろうけど、今回だけで彼女がヒロインになってくれたら嬉しいと思うくらいになった。キャラデザインも好きだし、似ていると思っているから、不思議と気安くなるのかもしれないがトラウマもちなのに、誘っているかのような行動・言動を主人公相手にとっちゃうのもいい。
 前回の緊急時にミノルがユミコを防御殻に取り込めたことの再現実験をするも上手くいかず防御殻から大きく弾かれて、ウレタンマットに叩きつけられる。何度も繰り返し、うっすらと人型のくぼみができる。何が原因か不明でも、それならユミコに文句言われてもしょうがないね(笑)。
 冒頭のミノルの能力を生かして人が入れない原発に潜るというミッションの挿話。あとがきにも書いてあるが実際の事故でなく、別の場所での事故という設定になっている微パラレル世界。こうした対ルビーアイでの戦闘ばかりではなく、別の場面でそうした能力を活かした仕事をしていることが書かれた挿話もいいね。そこで回収した探査ロボットのAIが融通聞かないが普通に会話できるもので、なんか今後も登場してきそうな気配もあるな。どんなときに登場するのかいまいち想像はできないけど。
 主人公が所属するジェットアイの集団である特課。ルビーアイ保持者を捕獲し、そのルビーアイを摘出し記憶を忘れさせる。
 『ほとんどの攻撃型サードアイ所有者の能力よりも拳銃一丁の方が強力』(P79-80)ならば、なぜか少年少女の多いジェットアイ所有者に戦闘させずに探索のみさせて、捕まえるのは警察とか自衛隊とかがやったほうがいいのではないかとちょっと思う。サードアイ所有による身体能力強化は、個別の特殊能力とかよりも絶大ということなのかなあ。
 今回の敵の一人トランサーの能力は、ふーっと息を吹きかけることで水分を凍らせて、はーっと息を吹きかけることで水分を蒸発させるというもの。雨や雪の日に本領を発揮し、銃弾がきてもふーっとやって弾丸に氷を付着させることで狙いをはずしたり、威力を大きく弱めたりする。この能力はわかりやすくて、絵になる能力なので個人的に好きだな。
 リキダイザーとトランサーとの戦闘。ほぼ総力戦も苦戦。危険なリキダイザーを迷わず止めを刺そうとしたユミコの判断は、下手に捉えても逃げ出して今後も出てきそうな敵の強キャラだからいい判断と喜んだが結局逃げられる。一応情報は得て、別隊がその情報を下に襲撃して打撃を与えることになるのだろうが、敵能力者を減らせず仲間に怪我人が多くでるという結果はやりきれないなあ。そしてスウの怪我はなるべく早く復帰できるものであってくれよ! 是非、今後とも登場してほしいから。
 そして逃走時にリキダイザーは、ルビーアイが寄者に殺人衝動とその行為への陶酔感を与えるように、ジェットアイにも寄者への影響があるということをいっていたが、その影響ってなんだろうな。ちょっと気になる。
 しかし1年ぶりだから前回もそうだったか忘れたが、主人公はユミコやスウとのちょっとのことでどぎまぎするようになったな。そして今回の戦いで自身の能力は親愛が根源だと知って、孤独と言うよりも友情パワーの方向に大きく舵をきる。AWもそうだけどトラウマに向き合う物語という感じか。
 目的が近づいたわけでもないのに既に当初のミノルの信念・目標を放棄する方向に行く。最終的にそうなるとは思っていたけど、想像以上に早かったな。
 あとがきにも『ミノルくんがなんだかラノベの主人公みたいになってきてる……!』(P346)とあるように主人公の変化が見られる。