FLESH&BLOOD 3

FLESH & BLOOD3 (キャラ文庫)

FLESH & BLOOD3 (キャラ文庫)

 kindleで読了。ネタバレあり。
 今回はナイジェル回。
 海斗はビスケットに潜む穀象虫に最初は驚いていたようだが、もう慣れたというのは適応力高いな。そして航海長ナイジェルに罰を与えながらも、彼は不器用な人間で悪い奴でないことがわかっているから嫌いになれない。そのように感じたことで、海斗はこの世界に来て我ながら寛容になったと思い内心苦笑いする。
 ジェフリーがカイトの善良さと脆さを見て、生命の危険などから遠いところで育っていたのだろうと思い、たぶんジパングならそれでも安穏と生きられたのだろうが、ジェフリーの世界ではその性質は命取りになりかねないと危惧している。カイトが未来人ではなくジパングから来たとごまかしたことで彼はそう思っているのだが、実際の当時(戦国)の日本の荒っぽさを思うと、そのギャップにくすりとくる。
 スペイン商船を襲撃して勝利して、船ごと戦利品にするという私掠船としての活躍が書かれる。ジェフリーは鹵獲した船の船長から情報を引き出すために、歓待している風に食事に誘う。食事する場である船長室の食卓をコーディネートする。海斗がそうした細やかなところでの活躍しているのがいいね。
 そのスペイン人船長の言葉で、日本で活動しているのは(史実の)イエズス会ではなくフランシスコ会だということが明らかになる。そのことで海斗はこの世界は自分の知っているものと良く似ているけれど、微妙に異なった平衡世界であることがわかる。だからその時代についてかなりの知識を持つ海斗がジェフリーのことを知らなかったと合点がいくと同時に、自分の予言(史実の知識)が通じるか不明だということに激しく動揺する。
 そして時代の流れを史実に近づけなければと意識を新たにする。ドレイクに向かって自信をなくしたといっているときは、予防線を張っているのかと思ったが、どうやら少し偽りを述べてより有利にことを運ぼうとしたら、重大な結果に繋がりそうになったため海斗はそういったようだ。そのこともあって今後は不確定要素を省くために、余計なことはすまいと自らを戒める。
 ドレイクが神意(予言)に基づいた自信を持って狂信的にも見えるくらいで、ジェフリーはそれを危ぶむ。そうした変化の描写もあるので、未来が不確定になって史実と変わるのではないかという不安が生じる。
 ビセンテの船が再びジェフリーと海斗の前に姿を現す。今回は白兵戦となり、海斗はナイジェルと共に身を隠す。そのときにナイジェルは自分の過去のことなどを怯える海斗の気を紛らわせるために語る。今回も無事撃退する。
 そしてジェフリーはどうやらナイジェルが海斗に惚れたようだと感じる。