本好きの下剋上 第三部 領主の養女 3

 ネタバレあり。
 工房を任せられる新しい側仕えを増やす。その新しい側仕えのフリッツは、シキコーザの元側仕えなのか。シキコーザが貴族になってからしばらく経っているから、彼がマインに酷い対応をして処罰されたことを知らないだろうし、P44でローゼマインが『どうやら側仕えをしていた経験があるようで』と考えているのを見ると彼女も知らなそうだ。互いに知った所で何もないだろうが、そんな変な因縁? (つながり?)があるのね。
 冬の間の子供の交流部屋。挨拶だけだけど、ここですでにハルトムートが登場していたのか。そして子供部屋で、カルタやその他の教育プログラムをやる。そしてカルタ効果でしばらくして貴族院から帰って来た年長者たちに勝ったりして、彼らもやる気になって効果が波及していっているのがいいね。
 主であるローゼマインが報酬を用意して、ようやく自分の座学の試験に真剣になるアンゲリカ。しかし彼女は長期間余計に貴族院に拘束されることにはさして抵抗ないのか。
 ハッセの一件も今回で終わる。ユストクスが滅多に見られぬものを見ることができて大変喜んでいるのは彼らしいな。
 素材を取りに女神の水浴場へ赴いたローゼマインや神官長たち。夜に備えて、ローゼマインは騎獣レッサーバスの座席を倒して、足を伸ばして眠れるようにする。それを見て神官長は非常識と呆れているが、便利でいいね。今回は他にも冬に雪の中での空を飛んでの移動でも、レッサーバスの便利さが示されていた。そうした見た目は微妙だけど色々便利というローゼマイン特有の道具であるレッサーバスの活躍というか、便利さが発揮されているシーンは好きだな。
 エピローグで、神官長の側仕えであるエックハルト視点で、神官長はローゼマインの引き起こした厄介事を面倒などと顔をしかめる割には楽しんでいるように見えるし、神官長があれこれとローゼマインに常にないくらいに気を使っていることがわかる。そして例の苦い薬はローゼマインは嫌がっているけど、実は貴重な薬だったのね。
 フェルディナントの肖像画エックハルトとユストクスという神官長の側近の二人もしっかり全種類購入していたのか(笑)。流石の神官長愛です。
 今回の巻末短編は「冬のお披露目と子供部屋」と「神殿長の専属」の2編。
 「冬のお披露目と子供部屋」ヴィルフリート側近視点での短編。ヴィルフリートが次期領主になるためにはどうすればいいかと考えをめぐらす。そしてコルネリウスとランプレヒト兄弟の側仕えという仕事への意見が語られる。
 「神殿長の専属」インゴの話。ここでのベンノの働きを見ると、彼がこれまでいかに裏で色々と根回しなどで苦労していたことがうかがえる。ローゼマイン関係の仕事を上手く回すためには彼は必要不可欠な要素だな。彼が有能だからこそ、色々なことが上手く回っていたことを改めて感じる。