ゴブリンスレイヤー 7

 ネタバレあり。
 今回ゴブリンスレイヤー達は、妖精弓手姉の結婚式があるということでパーティーのメンバー、そして牛飼娘と受付嬢といつものメンバーがそろってでエルフの森に行くことになる。
 ゴブリンスレイヤーたちがエルフが暮らす森へ行くために筏で渓谷に流れる川を上っていた時にゴブリンの襲撃を受ける。崖上と高所から攻撃を受ける。不利な状況ではあったが敵の頭数を着実に減らしていき、敵は逃げかえらせた。しかしゴブリンが崖の上にいたので追撃することはできなかった。
 妖精弓手が語る姉婿となる従兄弟の話で、『ねえ様に贈り物をするからと引っ張り回され、鹿を仕留めようとして失敗したこと。』(P116)とあるけど、エルフって肉食べないのに鹿を仕留めて何に使うのかちょっと気になる。
 一行はエルフの街に行く前に森で一晩を明かす。そして翌日の早朝に件の姉婿、輝ける兜の森人が一行のもとにきた。彼は前日にゴブリンスレイヤー達が撃退したゴブリン達を退治した後に、ゴブリンに刺さった鏃を緩めた妖精弓手の矢を見て、妖精弓手はこんなことをしないから彼女の身に何かあったのではと思って、一行を問い詰めにくる。彼のその心配は杞憂ではあったのだが、一人で問い詰めにくるくらい妖精弓手のことを心配していたことが伝わってきていいね。
 故郷に戻って来た妖精弓手。精霊の力で作られたエルフの街を前に感嘆する一行に、妖精弓手は故郷のことを誇らしげに、そして嬉しそうにしながら、満面の笑顔で仲間たちに『ようこそ、私の故郷へ!』(P133)と歓迎の言葉を述べているのいいね。
 エルフの街は樹の洞が居住スペースになり、蔦や枝が空中通路になり、街の外周には螺旋状の回廊がある。そして簾のように垂れた蔦の扉に、毛足の長い苔の絨毯がある。
 エルフは肉は食べないが、虫は食べる。そのことに鉱人道士がぶつぶついいながら食べているのが面白い。そういう食文化の違いの描写も楽しい。
 ゴブリンスレイヤーオルグボルグ)の名前がエルフたちにも知られていて、イメージ違うといわれるのを見て、そういえば彼の話を噂に聞いて、妖精弓手や蜥蜴僧侶や鉱人道士がゴブリンスレイヤーのもとにきたのがこのパーティーができたきっかけだったということを思いだす。
 ゴブリンの誘導もあって川を堰き止めるものがエルフの集落に襲来。ゴブリンスレイヤー達は川を堰き止めるものは殺せないという縛りがかかった中で対処することになる。
 エルフたちは寿命が長い分だけ悠長で、どう対処しようかと長々と議論をしているなか、ゴブリンスレイヤーはゴブリンの巣を見つけて排除するために動き出す。牛飼娘と受付嬢の非戦闘要員はエルフの街に置いて、いつものパーティーメンバーでゴブリンスレイヤーたちはゴブリンの巣を探しにいく。餞別として秘薬の賦活剤(エリクシル)をくれる輝ける兜の森人。
 エルフの里から船で川を上っていくと立派な遺跡がゴブリンたちの巣になっていることを発見する。広い遺跡を遭遇したゴブリンを倒しながら進む。今回はゴブリンが巣くうダンジョンが広く、ゴブリンスレイヤー達は敵に気づかれないようにしつつ遭遇したゴブリン達を討ち取りながら進んでいく。そんな敵地で休息をとったり、崩れた階段を蜥蜴僧侶が壁を掴んで乗り越えたりとダンジョンを攻略している冒険感が面白い。
 敵の首魁たるゴブリンシャーマンのいる場所には大勢のゴブリンがいる。数の差もあって厳しい戦いを強いられたゴブリンスレイヤーたちは一度離脱して、ゴブリンスレイヤーらしい方法(鉱人道士の隧道の魔法で堤防要塞に穴をうがち、水でダンジョンを一掃)で敵集団を打ち倒す。
 そして最後は再び森人の里に帰ってきた一行の会話が書かれて終わる。
 あとがきによると、次回は王国の都に行き、最も深き迷宮に現れたゴブリン退治をする話となるようだ。