ログ・ホライズン 11

 久しぶりの新刊。
 ネタバレあり。
 特殊なバッドステータスを喰らったクラスティは中国サーバーにある狼君山の上にある白桃廟という場所に滞在していた。彼は魂冥呪という特殊なバッドステータスによってHPの回復やサーバーを越境しての移動が不可能になり、記憶の一部を失っていた。
 一方でカナミ一行はというとより安全に移動するために大地人から情報収集をしていたり、カナミがトラブルなど色んなことに関わっていたこともあってスローペースな旅となっている。
 エリアスは強くなりたいと思っているので、相手のHPを25パーセント以下に減らせないという自分に備わっている制限を呪わしく思う。そんな時に葉蓮仙女がエリアスを訪ねてくる。彼女は魔人(クラスティ)が白桃廟を制圧し、その魔人が周辺の町や村を脅かしていると誣告して魔人征伐を頼んでくる。
 そしてエリアスたちはその場所へ行くことになる。しかし白桃廟のある山につくと山頂の白桃廟へ行くためのダンジョンには一定の範囲内のレベルのパーティーでないと入れないという制限があって、100レベルのエリアスはレベルが高すぎて入れなかった。そのためエリアスを除くメンバーでダンジョンに入ることになる。
 一人で留守居役を任されることになったエリアスは葉蓮仙女に言われて、ダンジョンを通らずにそのまま登山するという方法で頂上を目指す。
 一方クラスティは記憶の欠損に対処するために一度人里に下りようとするが、ダンジョンに入る正攻法では下りれないのでそのまま山肌を下って山を下りることで街に行こうとしていた。その途中で彼は従者の花貂をからかっていたら、その姿を見てエリアスがクラスティを魔人だと思って襲いかかって来て戦闘になる。クラスティはエリアスが襲いかかってきたことを何かの誤解だろうと気づきつつも、それも面白いとそのまま彼と戦闘を続ける。しかし、その戦いに地盤が耐えきれず二人ともダンジョンの中にばらばらに落下。そこでクラスティはカナミと遭遇する。両人にとって中国サーバーで邂逅するなんてすごい偶然のはずなのに互いにあまり驚いた様子がないのはこの二人らしい。
 しかし鴻池晴秋(クラスティ)の家庭事情を見ていくと彼とレイネシアやエリアスには案外共通点があるなと気づく。互いに良い生まれだが同時に制限された立場という意味で共通している点があるということに気づく。その三人の違いなんかも面白い。

 葉蓮仙女と彼女に精神を混濁させられたエリアスと鵺を相手にカナミやクラスティらは戦うことになる。レオナルドはエリアスとタイマンをはる。そこでレオナルドが彼の知る英雄エリアスのことを話して、その言葉を受けてエリアスはそれまで抱いていた苛立ちから解放された。
 そしてクラスティは記憶を捧げてMPを回復しや技の再使用規制時間を短縮するという秘儀を活用し、自身にかかっていたバッドステータス<魂冥呪>の記述を一部加筆して奪われていた記憶を取り戻す。そして典災である葉蓮仙女を打ち倒す。
 その後、カナミ一行やクラスティが合流して放送局(電視台)でシロエと会話。クラスティには、まだ『サーバー境界を越えることを禁じる呪いがあるせいだけではなく、楽しい課題(てき)が見つかった今、それを片付けずにアキバへ帰ることなどもったいないというのも事実だ。
 記憶は取り戻したが西王母(ブカフィ)にはこの呪いを押し付けられたという貸しもある。折角招待状をもらったのだ、パーティーに参加させてもらわなければ嘘だろう。(中略)迎えが来るのが早いか、それともクラスティが<封禅の儀>の謎を解いて西王母のもとへ殴りこむのが早いか、競争ということになるだろう。(中略)ゆっくりと骨休めしたせいか、ずいぶんと騒がしく楽しい時間がめぐってきたようだ。』(P322-3)ということはカナミ一行には加わらないのか。それは少し残念。しかしクラスティは呪いはいまだに解けてはいないけど、その呪いを押し付けた敵を倒すという目標ができて楽しそうだ。